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私はゆかこ。もうすぐ中学校を卒業する平凡な女子中学生。趣味はライトノベルを読むことと、あとソーシャルネットワークっていうネットのサイトを更新すること。髪はショートで黒のまま。身長その他は普通。それはさておき、えーと。制服を着て、カバンを持って、今、自宅を出たところ。中学校にはバスで通っている。バス停に向かう。
3年間、面白くもつまらなくもない日常生活を送ってきた。どちらかというとつまらないかな、飽きたという感覚はあるんで。だけどあと1週間で終わり、同時に義務教育も終わる。一応、高校には進学する。少しは面白くなると期待はしているが、教師どもは「学校で習ったことなんて社会に出ても役に立たない」と断言しやがる。だったらお前ら、どうして教師やってんだよと突っ込みたくなるが、クズに説教をしても仕方ない。かといって就職するにもやりたい仕事がない、適当な企業に行けば良いんだろうが、ありがち過ぎるのもどうかと思う。等と悩みつつもバス停に着いた。
バス停には同じ中学校の制服を来た男子が1人と女子が2人。どちらも知り合いではない、というか時間を調整すれば同じクラスの奴に直面できるが、朝からストレス向上に貢献するほど私はバカではない。だからいつもこの時間。少し遅めに出ている。おっと、バスが到着した。
バスに乗って席に座った。だいたい30分くらい乗っている。同じクラスの奴が乗り込んで来たが適当にやり過ごした。くだらん仲良しごっこに付き合っても仕方ないから。しばらくして、バスは中学校前に到着し、私は降りた。中学校に入る。
今日もツマラナイ日常が始まるってワケ。
FILE 1 中学校(ゆかこ編)
#1 ゆかこ
私の在籍する3年A組の教室は3階の端にある。教室に入り、席に座った。友達なるものは少ない。好きな異性もいない、バカしかいないし。今日は卒業式が近いためか、簡単な授業しかない。
休み時間。
「ゆかこ!」
「え…あ、レイカ!」
声をかけてきたのは数少ない友達のレイカ。長髪が似合うお嬢様系の少女。
「結局、中学生活ってとくに面白いことなかったね、高校はどうかな?多少は変わると良いな」
レイカが聞く。
私とレイカは同じ高校に進学する。
「変わるワケないでしょ、どーせっ」私は答えた。
適当な会話をしている間に、休み時間が終わった。その後の授業は「公民」だった。公民の授業は今回が最後だったためか、教師が「そもそも、国家とは…」と役に立たない道徳なるものをブチまけて終了。勿論、誰も聞いてなかった。12時を過ぎると担任の教師が来て「今日はもう授業がないのでお昼もないです、簡単清掃して帰りましょう」と言い、それに従って帰宅時間となった。
最後に生徒どもによる「帰りの会」が行われ日直の男子が「きょうつけ、礼!」「さようなら」
と言い、他の生徒が「さようなら」と礼をして解散した。もっとも、私は礼をしつつも声は出してないが。
荷物(役に立たない教科書など)をカバンに入れると左手に持って、席を立った。気のせいかレイカが一緒に帰りたがってたけど面倒なんで早歩きで教室を出た。スマソ。1人で帰りたいから。
で、自宅へ帰った。
私は家庭が嫌い。親だの弟がいるけど気が合わない。考え方が根本的に違うから、よくトラブルになる。できるだけ目を合わせないようにしてる。極力、スルーする。
午後はやることもなく、ライトノベルの続きを読んだ。
プルルルルル。
携帯電話が鳴った。
「はい、もしもし、ゆかこです」
「あ?ゆかこ?」
レイカの声だ。
「あのさ、実はさ、明日、近くで同人系のイベントがあるけど、知ってる?」
同人とは正規ルートでは扱えない商品全般のこと。元々は著作権をクリアしていないパロディ漫画が中心だったが20××年現在では、手作りの洋服や小物、インディーズの映画やドラマ、過激な言論を展開している本など、ジャンルは多岐に渡っている。
通常は同人マーケットと呼ばれるイベントで個人が商品を売買する。
「近くであるの?」と私は答える。
「うん、でさ、学校、終わったあと、帰り、そのまま行こうと思ってるの、ゆかこも行かない?」
私は『灼眼のモナ』の18禁エロ小説本を書いている、前回のイベントでの売れ残りがあるし、調度いいかな。
「わかったー、私もモナの残り、売りたいしね、でもまだスペースあるワケ?」
「売り場なら確保してるから大丈夫だよ」
そんな話をしたあと「じゃまた明日ね」とレイカが言って「ばいばいー」と答えて、私は携帯電話を切った。
その後、すぐに寝た。
起きてても、どーせ意味ないし。
次の日。
昨日と同じく簡単な授業だけだった。体育の時間はハンドボールだったが、私の人生にハンドボール選手になるという予定はないため無意味と判断し欠席した。「ノロウイルスの亜種」と仮病を使った。私1人、教室に残ってライトノベルの続きを読んで時間を潰した。
体育の後は「道徳」の授業があって教師が「これからの日本は維新憲法を大事にし、一国平和主義から脱さなければなりません」と自説を展開していたが例によって誰も聞いてなかった。ちなみに私は、教科書の表紙をライトノベル『灼眼のモナU』に被せて見つからないよう読んでいた。そのまま読み続けていると、いつの間にか「帰りの会」が終わっていた。Uは前作より面白い。
「おぅい!何、妄想にふけってんの? もう時間だよ?」
「あ、レイカ…」
他のみんなは、だいたい帰った。
「まぁた、ファンタジーもの小説で妄想してたんでしょ?」
「違うって! そっち系のじゃないよ」
「じゃあエロ系か? とにかく帰ろ! 今日、アレ、行くんでしょ?」
アレとは同人マーケットのこと。
一緒に学校を出た。
街はすっかり冬になり、寒くなり始めていた。
「さむ〜、手袋つけときゃ良かった」と私。
適当に話しつつ、会場に向かった。
とことこ…
20分後。
「着いた」とレイカが言い「言われなくてもわかる」と私は答えた。入口にでかでかく【雨宮市主催・同人マーケット】と書いてある。
「受付すませた?行くよ?」とレイカが言うので、さっそく中に入ってみた。
わいわい、がやがや…
多くの人々が来ている。
数多くの店が開いている。
私とレイカは予約していた売り場に着いた。最初は私が店番を担当し、レイカは買い物をしてくる。
「じゃ、行ってくる」
レイカはそう言ってどこかに行った。
少しすると客が来た。若い女性。
「コレください!」「500円ですー」
『灼眼のモナ』のエロ小説本を買ってくれた。
また客が来た。若い男性。黙って「モナ」を立ち読みし始めた。
すると、
「君がつくってんの?」
と言うので
「え?、ええ、まあ」と答えた。
「ふぇぇ〜」と男性は何故か感心した。
なのに、買わずに立ち去った。結局、立ち読みだけかよ!ちぇっ!コレだから男性インテリオタクはっ!
辺りを見渡していると、マイクを持った男がしゃべりながら歩いているのを発見した。テレビか?いや、ビデオカメラはない。よく見ると男の服に「分化放送」と書いてある。そうか、ラジオか。どうやら同人マーケットの取材らしい。
と思っていたら私の方に寄ってきた。
マイクを私の方に向けて「ここはどんな物を売ってるですかー?」とダミ声で男。
「えっと… いろんな、本とか、です」
「ちょっと、見ていいですかぁ」
「え、あ、はい」
私が返事をする前に、男は同人誌を手にとった。
「なんじゃコレ、しゃくがんの…モナ?はァ?」
と言って同人誌を元の場所に戻した。
男は後ろにいた仲間に近寄り「つまらん、まだやんの?飽きた」と話しかけ、仲間が「出店者の感想は結構、録れました、あと、足りないのは、客の意見ですね」と答えた。
そうして2人はどこかに向かった。
少しすると客が2人、来た。「モナ」が2冊、売れた。
レイカが戻ってきた。
「どうだった?売れた?」
「うん」
今度はレイカが店番を担当し、私は買い物に向かった。
私は同人サークル・ヴェルデルーチドの店に来た。
「どれ買う?今日は最後だか7ら安くしとくよ」と男性店員が言った。
「今日が最後って?」と私は聞いた。
「来月から、ウチの商品もコンビニで流通するようになったんだ、これからは同人マーケットに店を出す必要なくなるんだ」
同人商品がコンビニで販売される?スゴイ話。
ヴェルデルーチドの次は、いろんな店を見て回った。
で、自分達の売り場に戻ってきた。
「疲れた」とレイカが漏らす。私も隣の席に座った。
結構、売れたらしい。「客は多くなってるけど、店が少なくなってる」のだという。
確かにそう。ヴェルデルーチドのように撤退するサークルが増えたのかな。
!
「同人商品をコンビニで売るのってどうやるの?」と聞く。
「ええ? 無理だよそんなの、正規ルートに置いてくれるなんて、ありえない」
普通そう。一部の例外を除いて、そんなことはない。
男性が来た。
「こういうの始めました、ご利用下さい」とチラシを置いて行った。
チラシには「同人コンビニ、スタート!」と大きく書いてある。読んでみると、なんでも同人商品を正規商品と同等に扱うコンビニチェーン店が出てきたという。雨宮市にも近いうち開店するよう。ヴェルデルーチドもコレを利用したのかな。私もそうしようかな?
チラシをレイカに渡す。
「あ、ホントだ〜 便利、面白そう、ん?裏にも書いてある」
「なんて?」
「今夜のラジオで、同人コンビニが特集されるんだってよ」
「どの局かな」
「分化放送だってさ」
「げ」
もしかして…さっきの…?
つづく
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著作者:kaname
kaname666@gmail.com