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http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm
日本はドイツを見習え
安倍首相が、また日本のイメージを損なうような発言を行いました。従軍慰安婦問題についての「強制性を裏付ける証拠はなかった」という発言です。
「国辱」という言葉が、頭をよぎりました。「愛国者」であろうとするなら、このような言動は慎むべきでしょう。国際社会での反発を高めて、日本の評判を落とすようなことは……。
さっそく、韓国の外交通商省や中国政府が批判しました。『ロサンゼルスタイムズ』などの米紙、フィリピンやインドネシアなどの新聞も、この発言を取り上げて批判しました。
「ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)否定論者にも似た行為だ」「愚かさにあきれ、開いた口がふさがらない」と批判する声などを紹介し、米議会で審議中の慰 安婦問題に絡む日本政府への決議案採択に向けて大きな弾みがつくだろうと予測する米紙もあるといいます。同時に、「日本はドイツを見習え」という声が、国 際社会でわき起こっています。
先の大戦(というのは、第2次世界大戦のことです。念のため)では同盟国として同じような過ちを犯した日本とドイツですが、過ちに対する反省、その精算のしかた、戦後の歩みや周辺諸国との関係は大きく異なっています。
なぜ、日本は、ドイツと同様の歩みを辿ることができなかったのでしょうか。なぜ、日本国民は、ドイツのような政府を実現することができなかったのでしょうか。
安倍首相の発言に対する海外からの批判は、このようなことを言って恥じることのない首相を戦後60年以上も経ってから登場させてしまった私たちの責任を も追及するものでしょう。その責任をどう果たすのかが、春から夏にかけての統一地方選挙と参院選で問われることになります。
以前に見た映画『ヒトラー 最後の12日間』では、陥落寸前のベルリンからの市民の脱出を促す部下が、ヒトラーに「300万の市民を救う道を」と進言します。これに対して、ヒトラーは「国家存亡の危機だ。市民などに構ってはおれん」と答えるのです。
「市民」なしの「国家」などはあり得ません。この発言に、ヒトラーの誤りが集約されています。その誤りを、安倍首相もまた共有しているのではないでしょうか。
また、ヒトラーは、「我々は一度として強制していない。国民が選んだのだ。自業自得だ」「彼ら自らが選んだ運命。自業自得にすぎん。違うか」とも言いま す。ヒトラーの独裁は、形としては選挙の結果として生じたものであり、全権委任を定めた授権法も形式的には議会で成立したものだったからです。
安倍内閣の成立もその暴走も、基本的には選挙の結果として生じたものでした。小泉前首相のペテンによって騙されたとはいえ、「郵政選挙」で自民党に絶対多数議席を与えてしまったのは日本の国民です。このことを忘れてはなりません。
今度の選挙では、このような過ちを二度と繰り返さないように心する必要があるでしょう。「我々は一度として強制していない。国民が選んだのだ。自業自得だ」「彼ら自らが選んだ運命。自業自得にすぎん。違うか」などと、言われないために……。