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『偽イスラエル政治神話』
第2章:二〇世紀の諸神話
第3節:"六百万人"の神話
[六百万マイナス三百万は六百万という奇妙な算術]
アウシュヴィッツ=ビルケナウの犠牲者の数が、公式に、四〇〇万人から一〇〇万人に減らされた以上、ユダヤ人全体についての絶滅の数字として、六〇〇万人[原注1]使い続けることは不可能なのだが、不思議なことに、それが繰り返され続けている。六百万マイナス三百万は六百万という奇妙な算術が、まかり通っているのである。
原注1:アメリカ・ユダヤ人出版協会がフィラデルフィアで発行した『アメリカ・ユダヤ年鑑』の一九四二年版によると、ナチの支配圏が最大限度に広がり、ロシアまで達していた一九四一年現在、ドイツに残っていたユダヤ人をも含めて、ドイツの支配下にあったユダヤ人の総数は、三一一万と七二二人(!)だった。それなのに、どうやって、六〇〇万人の絶滅ができたというのだろうか?
以上の一連の見積もりは、アウシュヴィッツ=ビルケナウという一つの集中収容所に関する数字だった。同じ性質の論証が、他の集中収容所に関しても可能なのである。
たとえば、マイダネクでの死者の数は、どうなっているのだろうか?
●一五〇万人というのが、ルシー・ダヴィドヴィッツの著書『ユダヤ人に対する戦争』(87)に出てくる数字である。
●三〇万人というのが、リー・ロッシュとエバハルト・ジャケルの共著、『死神を唯一の主人にした第三帝国』(91)に出てくる数字である。
●五万人というのが、ラウル・ヒルバーグの『ヨーロッパのユダヤ人の破壊』(前出、85)に出てくる数字である。
[後略]
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