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新聞によって見出しのニュアンスが違いますなあ・・まあ、いろいろあってよい、とも言えますが・・
マスメディアが世論を誘導する手法は次のように分析されています(『政治行動の社会心理学』p.30)
(1)議題設定効果(何を取り上げるか)
(2)プライミング効果(どの論点が強調するか、で誘導する方法)
(3)フレーミング効果(どういう観点から取り上げ、枠づけるか)
それを前提として各新聞の記述を分析すれば、各新聞社の価値観や目的(どのように世論を誘導したいか)が見えてきます。
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【東京新聞】の「日教組 全体集会を中止 プリンスホテル 高裁の使用命令拒否」は主として「プリンスホテルが高裁の命令を拒否した」ということを強調する見出しになっている。司法権がないがしろにされた、ということを強調する見出しになっている。(たけ(tk)も、これが一番の問題だと思う)
【西日本新聞】の「日教組 教研全体集会中止に ホテルが使用拒否 51年以来初 「右翼の妨害」理由に」では高裁判決が見出しに出ていない。この見出しだけでは「日教組.vs.右翼」の視点のように見える。しかし、本文では中見出しで「●「司法無視」の批判必至」「●妨害者取り締まりが筋」「●ホテルは責任問われる」というコメントを付加しており、いちばん詳細に問題点を論じている。
【産経新聞】の「日教組が教研集会中止 会場拒否のプリンス提訴も」では、日教組だけの問題のようにみえる見出しになっている。一応「会場拒否のプリンス」というコトバでプリンスの問題も暗示しているが、プリンスホテルが高裁判決を無視した、ということが出ていない。したがって「プリンス提訴も」というのは日教組の勝手な不満というように読める。「プリンスホテル.vs.高等裁判所」は問題にしたくないようである。
【読売新聞】の「日教組の教研集会で初、全体集会なし」は、全くもって、日教組だけの問題として扱いたい、という趣旨だろう。本文中でも「プリンスホテル.vs.高等裁判所」の問題は、「 同日午前に開催されるはずだった全体集会は、「グランドプリンスホテル新高輪」(東京都港区)が、右翼団体の街宣活動などを理由に、裁判所の決定を無視して会場の使用を拒否したため、1951年の第1回以来初めて全体集会なしという異例のスタートとなった。」という長い文章の途中で「プリンスホテルが・・裁判所の決定を無視して」とぶつ切りで書かれている。フツーに読んでいては、それが問題だとは気づかないだろう。
もちろん、各紙のぶん本文を詳細に読めば、「日教組.vs.プリンスホテル.vs.高等裁判所.vs.右翼」という構図は読み取ることができる。しかし、第一印象を決めるのは、見出しである。
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【東京新聞】
日教組 全体集会を中止 プリンスホテル 高裁の使用命令拒否
2008年2月2日 朝刊
二日から東京で始まる「教育研究全国集会(教研集会)」の全体集会について日教組は一日、開催中止を決めた。会場となっていたグランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が一方的に契約を解除、東京高裁が使用を命じる決定をしたにもかかわらず、従わないため。教研集会は一九五一年から開かれているが、五十七回の歴史で初めて全体集会が開けない異例の事態となった。
教研集会は日教組に所属する教員が、日ごろの教育実践などについて発表し、意見交換をする。日教組側は昨年五月、約二千人が参加する全体集会の会場として、同ホテルと「飛天の間」の使用について契約した。しかし、十一月になってホテル側が、右翼団体による抗議活動の可能性などを理由に契約を一方的に解除した。
日教組の申し立てに基づき東京地裁は会場の使用を認め、東京高裁も先月三十日、ホテル側の抗告を棄却した。
日教組は、契約上は使用開始となるはずだった一日午前にあらためて使用できるようホテルに要請。だがホテル側の姿勢は変わらず、予約していた会場は既に他の団体に貸し出されていたことも分かり、全体集会の開催を断念したという。
集会は四日まで。二日午後から各教科や「生活指導」「教育格差」などのテーマに分かれて行う分科会は、予定通り都内の複数の会場で実施される。
教研集会では過去にも、日本武道館や東京体育館などの使用をめぐり裁判となったが、集会の中止に追い込まれたことはなかった。
プリンスホテルの話 集会が実施された場合、大規模な抗議行動により周辺地域が多大な騒音にさらされることが予想され、周辺に迷惑をかける。裁判所の決定は、極めて短時間に、十分な審理のないままなされたもので大変残念だ。
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【西日本新聞】
日教組 教研全体集会中止に ホテルが使用拒否 51年以来初 「右翼の妨害」理由に
(2008年2月2日掲載)
日教組は1日、東京で2日開幕する「教育研究全国集会」の全体集会開催を中止すると発表した。会場となっていたグランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が、右翼団体による妨害行為などを理由に一方的に契約を破棄、施設使用を認める裁判所の仮処分が決定した後も使用を拒んでいるため開催は困難と判断した。都内各地での分科会は予定通り実施する。
1951年に始まった教研集会の歴史で全体集会が中止に追い込まれたのは初めて。憲法が保障している集会の自由や、企業の社会的責任をめぐり論議を呼びそうだ。
記者会見した日教組の森越康雄委員長は「司法の判断に従うというのは法治国家の基本。それに従う必要はないというホテルの姿勢は自由や民主主義を壊滅させるものだ。これまでに謝罪の言葉すらない」と批判した。
日教組は「プリンスホテルの不法行為は断じて容認できない」とする緊急の抗議声明を発表、損害賠償請求訴訟の提起も検討している。
一方、プリンスホテルは「当社は『お客さまの安全・安心』を企業理念、規範、行動指針の第一に掲げており、今回の姿勢はそれに沿ったもの」とするコメントを発表した。
日教組は昨年5月、ホテルと会場の使用契約を交わしたが、11月になり、ホテルが右翼団体による妨害行為の可能性などを理由として契約破棄を通告。日教組の申し立てに基づき、今年1月には会場使用を認める東京地裁の仮処分が決定し、ホテルが東京高裁に行った抗告も棄却された。
教研集会の開催をめぐっては過去4回、自治体や第三セクターの施設側が使用を拒否した例があるが、いずれも司法判断に基づき予定通りの会場で開催が実現している。今回は完全な民間企業の施設を利用して開催する初のケースだった。
今回の教研集会は2−4日の日程で、全国から集まった組合加入の教職員らが教育実践や教育現場の問題点を報告、議論する。延べ1万2000人の参加が見込まれ、全体集会には約3000人が出席する予定だった。
× ×
●「司法無視」の批判必至
【解説】グランドプリンスホテル新高輪が、裁判所の仮処分決定に従わずに施設使用を拒否し、日教組教育研究全国集会の全体集会を中止に追い込んだのは、社会的責任の重い大企業が、法治国家の根幹である司法判断を公然と無視したという批判は免れないだろう。
プリンスホテル側は右翼団体による妨害行為の可能性を契約破棄の理由に挙げ「宿泊客らの安全が保てない」と主張している。しかし、施設使用を認めた東京高裁も「昨年3月の施設使用の申し込み時点で多くの右翼の街宣車が集まることは予測できた」と指摘しており、契約成立後にこうした判断に至った経緯について説明を尽くしているとは言い難い。
大阪府泉佐野市の市民会館使用をめぐり、集会の自由を最大限尊重するよう求めた最高裁判決は、自治体が管理する施設のケースで、民間施設と必ずしも同一に論じることはできないが、宿泊や会議、食事など不特定多数が利用するホテルを、公共的な施設と認識する人は少なくない。
プリンスホテルを含む西武グループを率いていた堤義明元コクド会長の証券取引法違反の罪が確定したのは、わずか2年余り前。その再出発の際、法令順守や信頼回復に向けた努力を掲げたはずだった。契約の一方的破棄というビジネス上の問題点も併せ、プリンスホテルが企業としての社会的責任を果たしているかどうか、多くの人が視線を向けていることを忘れてはならない。
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●妨害者取り締まりが筋
▼横田耕一流通経済大教授(憲法)の話
民間同士の契約なので憲法の問題にはならないが、損害賠償訴訟になったら、憲法が保障する集会の自由の考え方が考慮されるだろう。本来、妨害する人を取り締まるべきなのに、日本では、正当に権利を行使して平穏に集会を開こうとする主催者側を排除する傾向がある。ハンセン病の患者の宿泊をホテルが拒否した問題と似ている。民間だから何をしてもいいわけではない。憲法に示されている人権の理念を尊重するべきだ。
× ×
●ホテルは責任問われる
▼阪口正二郎一橋大教授(憲法)の話
ホテル側にも憲法が保障する営業の自由があり、使用を拒むことはできるが、ホテルは全くの個人と同じではない。いろいろな理由で使用を断ると、集会に使える施設が限られてしまう。警察を入れても本当に混乱が避けられない状況なのか、きちんと検討してほしかった。なぜ最初の段階で断らなかったのか。契約破棄の通告も遅すぎで、ホテルの社会的責任が問われるだろう。今後、ほかのホテルも日教組の使用を断ってしまわないか心配だ。
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【産経新聞】
日教組が教研集会中止 会場拒否のプリンス提訴も
2月1日21時8分配信 産経新聞
日本教職員組合は1日、2日から3日間の日程で開催する第57回教育研究全国集会について、初日午前の全体集会の開催を中止すると発表した。昭和26年の教研集会開始以来初めて。グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が会場提供を拒み続けており、1日午前の協議で改めて通告した。日教組は損害賠償請求などの訴訟も辞さない構え。
同会場では1日夜に前夜祭のイベント、2日午前には大学教授の記念講演などの全体集会が開かれる予定だった。2日午後以降の分科会は予定通り開催される。
日教組は「司法制度の根幹を揺るがす暴挙。法治国家においてあるまじきことだ。集会・結社・表現の自由を保障した憲法にも抵触し、断じて容認できない」との抗議声明を発表した。
この問題では、日教組は昨年5月、プリンス側と使用申込契約を締結。しかし、プリンス側は11月、右翼団体が昨年、会場周辺で大規模な街宣行動を展開したことを踏まえ、「利用者や周辺住民に迷惑がかかる」と契約解除を通告した。
これに対し日教組は、同会場の使用を求めて12月、東京地裁に仮処分を申請し、地裁は仮処分を決定。プリンス側は今年1月、東京高裁に抗告したが、棄却されていた。
日教組によると過去4回、同様の問題で裁判に発展したが、いずれも会場使用が認められ、予定通り開催していたという。
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【読売新聞】
日教組の教研集会で初、全体集会なし
日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会(教研集会)が2日午後、東京都内で開幕した。
同日午前に開催されるはずだった全体集会は、「グランドプリンスホテル新高輪」(東京都港区)が、右翼団体の街宣活動などを理由に、裁判所の決定を無視して会場の使用を拒否したため、1951年の第1回以来初めて全体集会なしという異例のスタートとなった。
「法に従わないなんて理解できない」。全国から集まった教師たちからは、同ホテルの判断に不満が相次いだ。
教研集会は4日までの3日間、全国から延べ約1万2000人が参加。今年は教育格差や学力問題などのテーマについて、24分科会と2つの特別分科会で約800の報告が行われる。
日教組は今月1日に全体集会の中止を決めた後、全国の教職員組合に中止を伝え、2日朝から混乱を防ぐため同ホテルに専従職員を待機させたが、目立ったトラブルはなかった。
午後から都内の13会場で始まった各分科会では、全体集会の中止について責任者が説明。分科会「子どもの安全・安心と学習権保障」では冒頭、女性司会者が経緯を話し始めると、約150人の参加者全員が押し黙ったまま、じっと聞き入っていた。
教研集会に10回以上参加している北海道の小学校の男性教諭(60)は「教研集会は、学校現場で私たちが取り組んでいる実践例を持ち寄って議論する場。何とか全体集会を開いてほしかった」。
別の分科会に参加した福岡県の男性中学教師(58)も「全体集会は、同じ志を持った仲間がこんなにいるんだという熱気を肌で感じることができる数少ない機会だった。法律に従わないという感覚が理解できない」と憤った。
(2008年2月2日20時47分 読売新聞)
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