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【社説】http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007051702016722.html
ロイター買収 報道が変質しないか
2007年5月17日
カナダの総合情報サービス大手トムソンが英金融情報大手ロイター・グループを買収する。メディアの再編とともに、強まるビジネスの論理が報道の信頼性をゆがめる恐れはないか、心配もある。
ロイターといえば、英国の代表的な通信社として知られている。世界的ニュースの現場には、いつもロイターの記者がいた。大事件のたびに、同社が配信する速報を食い入るように読んだ日本の新聞記者も多いはずだ。
そのロイターの収入源は、実は戦争や革命に代表されるニュースの配信ではなかった。日々動く株式や債券、外国為替市場のような金融経済情報が主軸である。単に情報を配信するだけでなく、情報の分析、加工、取引実行さえも可能なサービスを提供している。
ひと言で言えば、ロイターは古き良き時代の報道機関というよりも、金融情報サービスの先端企業である。そうした分野では、ここ数年、世界的な競争が激化し、企業の再編が進んでいる。代表的な二強が新たに誕生するトムソン・ロイターと米ブルームバーグだ。
背景には、経済のグローバル化と情報技術(IT)の進歩、さらに好調な世界経済がある。米メディア大手のニューズ・コーポレーションは米ダウ・ジョーンズの買収を提案している。詳しい金融情報を求める需要がある限り、再編の波もしばらく収まりそうにない。
そこで懸念されるのは、メディアのビジネス化が進む一方で、報道の客観性や正確さが損なわれる恐れはないか、という点だ。市場を動かすようなニュースをライバルに先駆けて配信すれば、記者の評価は高まり、企業の収益も増える。
市場が大きく動くような局面では、記者たちの競争が激化する。ひたすら政策当局者の後を追いかける記者を指して「金融パパラッチ」という言葉さえあるほどだ。
そんな競争は「なんでもいいから、市場が注目するニュースを出せ」とゆがんだ姿勢を招きかねない。金融情報企業の顧客は普通の読者ではなく、ビジネスの最前線にいる投資家たちだ。ニュースを扱う記者が、従来にも増して投資家と近くなりがちな点も気になる。ロイターは輝く報道の伝統を守ってほしい。
金融経済情報の世界で、国境はとうの昔になくなった。「日本語」という高い壁は残っているものの、欧米の情報企業が、日本のメディアに関心を寄せても不思議ではない。日本も、欧米メディアの再編を対岸の火事と眺めてはいられない。
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