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http://mainichi.jp/select/biz/news/20080107ddm012020039000c.html
NHKは今月25日、福地茂雄氏(アサヒビール相談役)が会長に就任する。監督機関の経営委員会委員長と併せ、財界人がトップを占めることになる。次期会長選びが残した課題を検証した。【臺宏士、丸山進】
◇密室性に批判−−議事録作らず、内容は闇のまま。
NHKの新会長人事をめぐっては審議の密室性と、経営委員会の古森重隆委員長(富士フイルムホールディングス社長)の意向を反映した人選への批判が委員会内外から相次いだ。
深谷紘一氏を除く経営委員が福地茂雄・アサヒビール相談役と初めて顔を合わせたのは、昨年12月25日午前にあった会合。経営委員会は同日夕、初めてとなる採決による賛成多数で福地氏を選任するが、採決直前まで事務局も関与しない事実上の秘密会合だった。委員が福地氏にどんな見識をただし、見解を引き出したのか。古森氏は会見で議事録について「作成しない」と明言。審議の内容は今後も闇のままだ。
経営委員会が次期会長の資格要件をまとめたのは11月27日で、外部登用の方針は12月13日に決まった。福地氏の説明では、初めて古森氏から会長就任の打診を受けたのが11月上旬で、3回打診の末に引き受けたのは12月上旬だという。古森氏は同13日の記者説明で「(会長候補を)絞り込む」と複数候補がいることを示唆したが、この時点では既に内定していた可能性が高い。新会長選任前日の24日、音好宏・上智大教授ら「デジタル時代のNHK懇談会」の有志10人は慎重審議を求めた。多賀谷一照委員長代行は「4回にわたり討議しており、十分だ」と突っぱねたが、福地氏選任の経緯をたどると、当初から議事の流れは、古森氏の思惑に沿っていたことが浮かび上がる。
新会長選びでは公募や推薦制の実施を求める動きもあった。NHKと同じ公共放送の英国放送協会(BBC)の経営委員会(現・BBCトラスト)委員は、女王が首相の助言に基づいて任命するが、公募制を導入しているのが特徴だ。文化メディアスポーツ相が任命する推薦委員会が公募を実施して作成した複数の候補者リストから同相が選ぶのだという。
BBCを参考に市民グループが公募制実施を求め、川口幹夫・元NHK会長らは12月10日、ジャーナリストの原寿雄さんと永井多恵子副会長の2人を候補に推薦した。推薦者の一人の野中章弘氏(アジアプレス・インターナショナル代表)は「どのように議論されたのか、いまだに説明がない」と憤る。
総務省は「会長選出方法は、経営委員会が決める」との見解で、公募制は放送法で禁止されてはいない。しかし、古森氏からは会長選改革の意欲は見えてこない。
◇焦点は副会長−−海老沢派復活には強い拒絶反応も。
新会長が福地氏に決まり、次の焦点は橋本元一会長と同時に任期満了を迎える永井副会長の後任選び。放送法や経営委員会運営規程は、副会長と理事は会長が指名し、経営委員会の過半数の同意を得て就任すると定める。NHK外部から池田芳蔵氏を会長に迎えた20年前、内部昇格の島桂次氏が実務面を補佐するかたちで副会長に就任しており、これにならって内部やNHKのOBから選ばれるという見方が有力だ。
OBの候補としては、元理事でNHK関連会社のトップを務めたことのある人物の名が取りざたされている。内部の人材では、理事の昇格や局長クラスの抜てきがささやかれている。
また、古森氏周辺に海老沢勝二前会長時代の元理事が接近したとの情報から、政治部出身のNHK幹部が昇格するといううわさが飛び交っている。
ある職員は「“子海老”(海老沢氏の子飼い)のそのまた子分の“孫海老”では、時計の針を戻すようなもの」と強い拒絶反応を示す。相次ぐ職員の不祥事と、その後の対応のまずさから辞任に追い込まれた海老沢氏は、受信料不払い急増の元凶とされる。海老沢派が復活すれば、やっと減少し始めた不払いがまた増えるとの懸念が根強い。
また、現理事(10人)の進退も注目される。トヨタ自動車専務から一昨年9月に就任し、5カ年経営計画案の内容に理事の中でただ一人反対した金田新理事と、昨年4月に新任として就任した3人の理事は残留が有力視されている。
注目されるのは、残る6人の去就。経営計画案不承認というかたちで、経営委が執行部に不信任を突きつけただけに、NHK幹部は「計画策定にかかわった理事は、辞任を求められても不思議はない」。
理事会の陣容をどうするか。福地新会長の経営方針の一端が示されることになる。
◇財界コンビ−−報道トップとして手腕は未知数。
富士フイルムでリストラを断行し、コストカッターといわれる古森氏。さらに、同氏と旧知で営業一筋の福地新会長。報道機関であるNHKは今月25日から執行部も、それを監督する経営委員会もトップはジャーナリズムとは縁のない財界出身者が占めることになった。
政府・与党によるメディア規制の姿勢が強まる中で、この2人で乗り切れるのか、NHK内部からも不安の声が上がる。
「そういう人もいるだろうが、私は実績で示したい。経済人だからだめということにはならない」
昨年12月13日の会見で、古森氏は、記者からの「財界がNHKを牛耳っているという不信感が出かねないのではないか」との質問にそう答えた。
経営委員長と会長がともに財界出身者だった人事は過去にもある。磯田一郎委員長(当時、住友銀行会長)が88年7月、既に77歳と高齢だった池田芳蔵・三井物産相談役(当時)を2人続いたNHK出身者に代えて任命した。当時のNHKは赤字体質で、受信料の値上げや衛星放送の有料化などの大きな経営課題を抱える中での就任。池田氏は国会質疑で英語で答弁したり、「不偏不党を取り消した」などと発言し、放送人としての資質に疑問符が付いた。
こうした発言をめぐり、日本放送労働組合(日放労)も72時間のストライキを打つなど労使対立も激化した。池田氏は、わずか9カ月で辞任に追い込まれ、磯田氏も任命責任を取る形で退いた。
12月25日の福地氏の会見でも「政治との距離」などジャーナリズム観を問う質問が飛ぶ。福地氏は、「全くの素人」などと前置きするなど慎重に言葉を選びながら、政治的中立や不偏不党の重要性を強調した。
あるNHK関係者は「NHKは報道機関であり、営利企業の倫理とは異なる。会見を聞く限り公共放送への理解があるとは思えない」と懸念を隠さない。
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■現理事の顔ぶれと担当
<05年4月就任、07年4月再任>
原田豊彦専務理事(放送など)
畠山博治理事 (広報など)
小林良介理事 (営業)
中川潤一理事 (経営企画)
石村英二郎理事 (報道)
西山博一理事 (技術)
<06年9月就任>
金田新理事 (視聴者対応)
<07年4月就任>
日向英実理事 (番組制作)
溝口明秀理事 (関連団体)
八幡恒二理事 (総務・労務など)
※任期2年
毎日新聞 2008年1月7日 東京朝刊
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