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インターネットの法規制は実効性に疑問
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20071231-01-0901.html
2007年12月31日 ビデオニュース・ドットコム
佐々木俊尚氏(ジャーナリスト)
佐々木俊尚氏
12月6日に総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」が提出した報告書を元に、2010年をめどに、通信・放送をめぐる法規制は一本化され「情報通信法」(仮)としてまとめられる予定だが、その中でインターネット上のコンテンツにも一定の法規制が必要との立場が打ち出されている。
匿名掲示板や個人のブログなどを通じて、個人情報が流出したり個人や団体に対する誹謗中傷の言説が飛び交うなど、インターネット上の言論に対する規制を望む声が根強いことは事実だ。
しかし、著書「グーグル」などで知られるジャーナリストの佐々木俊尚氏は、インターネット上の言論に法規制をかけようとする動きには、実効性の観点から疑問を呈する。法律でネット上の言論を制限することは実質的には困難で、サーバを海外に移転されてしまえば、日本の法律が適用できないことを考えると、「意味が無い」と言い切る。むしろ、現状のように、現行法に従って問題行為や違法行為を管理するだけで十分ではないかと佐々木氏は語る。
また、その一方で、自由な言論空間を形成しているインターネットに法規制をかけることで、失われるものも多いはずだ。
政府が目論むネット規制の動きとその背景について、佐々木氏に話を聞いた。
報告書の評価
神保:総論として今回の報告書をどのように受け止めるか?
佐々木:電波・ケーブル・ブロードバンドと伝送路で分けられていた今までの枠組を、インフラ・プラットフォーム・コンテンツとレイヤーごとに分けるという、法体系の全体を作り直すねらい自体は間違っていないと思う。通信と放送を融合しなければならず、全体を見ることのできる法律を作るのは悪くないと思う。
ただ、報告書を見ると、メディアサービスとオープンメディアコンテンツと分かれていて、前者がテレビ放送やケーブルテレビ、後者はWebや電子掲示板であるとしているが、ここに若干の混乱がある。コンテンツを伝送路で分けるのではなく、インフラで分けるのが本来の目的だったはずだが、そのコンテンツそのものをもう1回分けて、それぞれに対して別々の規制するような言い方がされている。
また、ネット上での映像配信はどちらに入るのか明らかでないほか、影響力がないといわれているオープンメディアコンテンツの中でも月間100万ページビューを超えるところもあり、地方で小さくやっているケーブルテレビ事業者とどちらの影響力の方が強いのかという問題も出てくる。
境界線が曖昧な部分があって、どのように運用されるのか、どのような規制がかけられるのか見えてこないのは問題で、あまりにもグレーゾーンが多すぎるのではないかという感じがする。
インターネットの法規制は可能なのか
神保:今回の報告書を受けて規制が議論されるわけだが、何か懸念すべきことはあるか。
佐々木:まず、どういう規制をするのかが気になる。
絶対に知られたくないプライバシーを暴くような問題は別にして、誹謗中傷だ、名誉毀損だ、と巷間言っている問題のかなりの部分は、単なる正当な批判だったりする。
まっとうな批判は許すが誹謗中傷は許さないとなれば、その境界線をどこにするのか誰にも分からない。ケースバイケースで変わってしまうからだ。誹謗中傷を法律によらずに一律に規制するのは、そもそも無理があるのではないか。
神保:具体的にどんな規制が可能なのか。放送では停波があり得るが、インターネットの場合はどんな方法があるのか?
佐々木:行政代執行でサーバを押収するしかない。
しかし、その場合に海外移転したらどうするのかという問題がある。実際、2ちゃんねるもサーバの大半が海外に置いてあって、日本の法律は及ばない。もし、仮に2ちゃんねるの管理人である西村博之さんを逮捕して、運営を止めるよう命じても、アメリカなど外国に住んでいる人が運営を引き継いで、その国のサーバを使って日本向けに2ちゃんねるを続けたら日本の法律は及ばなくなってしまう。現実的には無理ではないか。
インターネットというのは自律・分散・協調が特徴で、負荷分散されているので、一部の回線を切っても全てを切れる仕組みにはなっていない。一箇所のサーバを差し押さえても、外国にサーバを置けば、それ以降差し押さえなどはできなくなってしまう。それを考えると、国境がないインターネットの中で一国だけで特殊な規制をするのは、現実的には非常に難しいと思う。
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