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社説(2007年12月13日朝刊)
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071213.html#no_2
[ビラ配布有罪]
表現の自由萎縮しないか
共産党のビラを配るため二〇〇四年十二月、東京都葛飾区のマンションに立ち入ったとして住居侵入罪に問われた僧侶荒川庸生被告(60)の控訴審判決で、東京高裁は逆転有罪(罰金五万円)を言い渡した。一審東京地裁の無罪判決を破棄したもので、荒川被告は即日上告した。
荒川被告はマンションの廊下を歩きながら各戸のドアポストに共産党の都議会報告などを入れて逮捕された。
高裁判決は「マンション管理組合の理事会は、住居の平穏を守るため住民の総意で部外者の立ち入りを禁止した。その意思に反して立ち入れない」と認定した。表現の自由は、「憲法で無制限に保障されたものでなく、他人の権利を不当に害することは許されない」との判断を示した。
政党ビラの配布は、憲法二一条で保障されている。無罪判決を言い渡した一審地裁判決も、他人の「住居の平穏」を不当に害することは許されず、各戸へのビラ配布について「憲法二一条だけを根拠に直ちに正当化することは困難」としている。その上で、「ビラ配布の目的だけであれば、廊下など共用部分への立ち入りを処罰の対象とする社会通念は確立していない」とまったく逆の結論を導いた。
ここ数年、同じようなビラ配りで逮捕、起訴されるケースが目立つ。背景には、プライバシー保護の高まり、不審者への警戒感などセキュリティーに対する住民意識の変化がある。
それでも、政党ビラの配布が身柄を拘束し、刑事罰を科さなければならないほどの事件なのかどうか。一審、二審のいずれが市民感覚の「常識」に沿った判決だろうか。
考えてみると、この問題はビラを配布する側と受け取る側が現場で解決できるものかもしれない。嫌がる相手に、ビラを押し付けることはないだろうから。
社会が多様な意見を認め合う寛容さをなくすれば、息苦しさは増すばかりだ。今回の判決がそれを後押しし、表現の自由を萎縮させないか憂慮する。
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