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【週刊・上杉隆】「鳩山・アルカイダ」記事を黙殺したマスコミの“面子”
2007年11月14日 上杉隆(ジャーナリスト)
アルカイダ発言で揺れるマスコミから痛烈な批判を浴び続けているのが、
鳩山邦夫法務大臣である。
「私の友人の友人がアルカイダなんです」
「その男はバリ島の中心部の爆破事件に絡んでいたようで、
今は別の島に逃げています」
「2年くらいの月日が経って、その過激派の男が事件後に2回も、3回も
日本に来ていたようです」
「いまも、テロリストは日本国内をうろうろしています」
「私は、ちゃんとこうした危機を伝えました。防衛、警察、法務などの
役所の担当者に伝えたんですが、みな動かなかったんです」
確かにこうした発言だけを聞いていると、マスコミによる辛らつな批判も当然のように思えてくる。案の定、マスコミは社説等で法相批判を展開し、中には「閣僚失格」という烙印を押すところまで出始める。
〈鳩山法相 軽率すぎて話にならぬ〉(朝日新聞/2007年10月31日)
〈資質問われる失言連発の法相〉(日本経済新聞/2007年11月4日)
しかし、そうした批判報道が続いても、なお鳩山法相は発言を止めない。ついには、首相官邸からも「謝罪文」の提出を求められ、町村信孝官房長官は、鳩山法相に対して、「経過報告書」を書くように命じた。
内閣の〈問題児〉となった感のある鳩山法相だが、それでも発言を止めない。あらゆる機会に、「私は、事実を言っているに過ぎない」と繰り返しているのだ。
「少しおかしくなったのではないか……」
記者たちの何人かは、元秘書である筆者にこう語り、ワイドショーのコメンテーターらも同様のコメントを出している。
だが、仮にそれが事実だったとしたら。もしも、鳩山が正しいことを言っていたとしたら……。
マスコミ報道だけからしか情報を得られない者は、誰ひとり、鳩山が〈正直者〉であるなどとは思いもしないだろう。
無理もない。この2週間、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など、ほとんどのメディアが、鳩山は〈ウソつき〉で責任を他人(役人)に転嫁する〈卑怯者〉だというレッテルを貼ってきた。まさにスクラムを組むかのように、単一の情報に乗っかって、「愚かな鳩山法相」という内容で報じつづけてきたのだ。
振り上げた鳩山糾弾の拳を今さら下ろせない?
実際は、鳩山を取材している記者の多くは事実に気づいているのかもしれない。あるいは、強烈に振り上げた拳の落とし処に困っているのが現状なのかもしれない。
仮に、善意で考えればそうなるし、そうでなければ、日本のマスコミは揃いも揃って情報収集力と取材力と分析力が無いだけの集団だったという話にすぎないのだ。
自らのミスに対して真摯に向き合えないのは日本のマスコミの特徴だ。
仮に間違いを犯しても、自らのミスを別の報道で糊塗し、時間をかけて修正し、そしていつの間にか、ミスそのものを無きことにしてしまう。
これこそが、これまで何百回も繰り返されてきたマスコミの欺瞞に他ならない。
衆議院法務委員会で鳩山法相を厳しく追及している野党・民主党の加藤公一議員でさえ、違和感を覚えたのだろう。率直に自身のブログで〈疑念〉を提起している。
〈法務委員会での質問に立ちました。
一昨日の鳩山法務大臣の発言「私の友達の友達はアルカイダの幹部だ」という発言について、厳しく問いただしました。
現職の日本国の大臣がテロ組織の幹部とつながっていると海外のメディアでも報じられ、波紋を広げています。こうした疑惑は、日本の国益を損なう由々しき問題です。
しかも私と大臣の議論の中で、大臣がアルカイダの幹部の動きを察知していたのは、疑惑ではなく本当のことであることがはっきりしてきました。
さらに法務省の入国管理局が、アルカイダの幹部が日本に入国しているという事実を鳩山邦夫氏から聞き及んでいるにもかかわらず、なんの対応も採らなかった疑いも出てきました。
日本の安全をどう守っていくのかという重大な問題です。
まずは事実関係を把握すべく、必要な書類を提出するよう求めました。
法務委員会の理事として、私も引き続きこの問題を追及していきます〉(「衆議院議員加藤公一の公式ブログ」より)。
マスコミには、加藤議員ほどの謙虚さなど微塵もない。つまらない面子に基づく、陳腐な無謬主義に陥って、相変わらず事実から目をそむけようとしている。
週刊朝日の記事にマスコミは一切沈黙
案の定、「週刊朝日」が発売されても、マスコミは沈黙を決め込んでいる。記事の中には、本来ならば喜んで飛びつくような「キーワード」が盛られているにもかかわらず、現時点で、ほとんどすべての新聞、テレビ、そしてワイドショー番組までもがこの話題を避けている(13日正午現在)。
なぜだろうか? ここに記すまでもない。あまりに判り易すぎて、
もはや笑うしか他ないではないか。
記事の詳細は、火曜日発売の「週刊朝日」に譲るが、ひとつだけ記せば、マスコミが飛びつくような「キーワード」とは、鳩山がテロリスト情報を伝えたとされる役人の〈氏名〉である。その相手とは、当時の「モリヤ」防衛局長、つまり、あす木曜日、参議院での証人喚問が予定されている守屋武昌・前防衛次官、その人なのである。
国内のテロ対策もできず新テロ特措法とは笑止
取材継続中のため、明かせない事実もある。たとえば、首相官邸、法務省、外務省、警察庁、防衛省からの回答を待っているため、現時点では明かせる情報が限られてしまっているのだ。さらに鳩山法務大臣の事務所からは〈出入り禁止〉を言い渡され、取材に制限が加わっている。
このような時こそ、マスコミがスクラムを組んで、政府の隠蔽工作を暴いてほしいものだ。だが、それも期待は薄いだろう。比較的弱い立場の報道対象になると、よってたかって叩きにはいるが、相手が最強最大の国家権力(官邸、警察、法務)となると、途端に腰が引けてしまう。
まもなく(13日正午)、政府・与党は、新テロ特措法を衆議院で通過させる。反対する野党に対しては、「対テロ戦争」には不可欠な法律だと説明している。
だが、国内のテロ情報を疎かにしておいて、「対テロ戦争」を謳うことなど、まったくもって笑止千万ではないか。同時に、それを許しているマスコミの機能とは一体なんなのか?
日本のマスコミは、そろそろ本来のジャーナリズム精神を取り戻す時期に来ているのではないだろうか?
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