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「正解はCMのあと」は逆効果 視聴者86%「不愉快」
2007年11月06日13時48分
http://www.asahi.com/culture/update/1106/TKY200711060131.html
場面を盛り上げるだけ盛り上げておいてから「正解はCMのあとで」「最新情報はこのあとすぐ」。こんなテレビの「山場CM」が多い番組に視聴者が不快感を抱いていることが、榊博文・慶応義塾大教授(社会心理学)らの調査で明らかになり近著で発表された。国際比較でも日本の山場CMは欧米より格段に多い。テレビ局側の思惑とは裏腹に、そうしたCMへの好感度が低くなり商品の購買意欲も下がるという。
山場CMと一段落CMに対する視聴者の評価
榊研究室は、慶大通信教育部、文学部の727人を対象にアンケートを02年に実施。調査対象の半数近くが20代で、次いで30代が多かった。
調査では、視聴者をCM明けまで引っ張ろうとする山場CMに対する印象として、強い肯定から強い否定まで九つの尺度で聞いた。「不愉快」について86%が肯定。CM明けのシーンの繰り返しには、74%が「イライラする」と回答した。
山場CMを含む番組については、84%が「好感が持てない」。山場CMの商品について42%が「好感が持てない」、34%が「買いたくない」と回答。それぞれ60%前後あった「どちらともいえない」を除けば大半がマイナスの評価だった。
話の流れが落ち着いたところで出る「一段落CM」と比較すると、山場CMが「商品を買いたくない」で3.8倍、「商品を覚えていない」も2倍と本来の効果をうち消していた。
また、日本と欧米のテレビ番組の山場CMを02〜03年に比較した。ニュース、ドキュメンタリー、ドラマなど7分野で各国の代表的な3番組ずつを録画して比率を調べた。
その結果は、日本の40%に対し米国は14%で、CMのタイミングが法律で規定されている英国は6%、フランスにいたってはゼロだった。
自らのテレビ視聴体験から調査を思い立ち、山場CMと命名した榊教授は「テレビ局は視聴率ダウンを避けようと始めたのだろうが、広告効果を下げているばかりでなく、CM明けの期待外れの展開を学習した視聴者のテレビ離れを招いているのでは」と分析する。
日本アドバタイザーズ協会(旧・日本広告主協会)の小林昭(ひかる)専務理事は「初耳の研究結果だ。テレビ局が決めているCMを入れるタイミングについて議論したことはなかったが、今後の対応を検討していきたい」という。
一方、民放テレビ局は「視聴者の受け止め方に関心を払わなければいけないが、CMのあとも見ていただく努力については度を超さない限りは許していただきたい」(テレビ東京)、「CM明けについての説明は親切に告知する意味合いもあると思うが、視聴者の声に対しては謙虚に耳を傾け、その感性に敏感でなければならないと考えている」(テレビ朝日)と言っている。
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