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噂の眞相94年8月号特集4
“無知蒙昧”の羽田孜に群がった御用文化人の“醜い欲得”の泡沫
● 本誌特別取材班
●羽田孜を囲む文化人の会を計画化
この1カ月、水面下で様々な暗闘が繰り広げられた結果、羽田政権は内閣総辞職を選択。自社連立によって村山政権が誕生した。新生党代表幹事・小沢一郎によるシナリオは、最後の最後になって挫折したわけである。しかし、いったんは下野したものの、今後、小沢が権力を掌握するために様々な権謀術数を仕掛けてくることは確実だろう。そして、その時、当然、小沢の切札として再び表舞台に登場するのが確実だと思われるのが、新生党党主・羽田孜である。
総理就任以来、無知蒙昧ぶりをさんざんさらけ出してきたこの「普通の人」は、日本を軍事大国化しようという野望を持つ小沢にとって、最も忠実な操り人形であり、その危険な本質をカムフラージュする格好の広告塔なのである。その羽田の再スタートを期して、近々、ある会が開かれるという。出席者はほとんどすべて「文化人」と呼ばれる人々。彼らが一同に介して、羽田を励ますのだという。
実をいうと、この会は羽田が内閣総辞職をする直前の6月14日、首相公邸で開かれることになっていたもので、「羽田さんの総理就任を祝う会」と名付けられていた。
「一気に政局が流動化したことで、会は結局、延期になったんですが、実現していれば、前代未聞だったでしょうね。何しろ、一国の首相が個人的に文化人を集めて公邸でパーティを開くなんていうのは、聞いたことがない」(官邸担当記者)
また、この会合、建前上は、羽田と個人的に親しい文化人が集まって、首相を祝う会ということになっていたが、実際は、少数与党政権で政治的に窮地に陥っていた羽田を側面から支援するブレーンを改めて組織する目的があったといわれているのだ。
「50人ほどの文化人を招待していたようです。舛添要一、林真理子、宮崎緑、麻生圭子、浅羽克巳、真木準らが出席を予定していたと聞いている。一説には広告代理店関係者も加わり、イメージ戦略を練るという予定もあったらしい」(関係者)
そして、この会を主催したのが、作曲家・三枝成彰と「インサイダー」主幹の高野孟の二人なのである。三枝、高野といえば、羽田の総理就任が決まった直後も、様々なメディアで「あれだけお金にきれいな人はいない」「裏口に通じることは一切やらない。信念の人」などと発言、そのクリーンイメージの旗振り役もつとめていた。「二人は羽田にとって最大のブレーン。今でも頻繁に連絡を取り合っていますし、三枝にいたっては、公邸に再三出入りしていた。文化人の会も羽田にブレーンづくりの協力を要請されて企画したんでしょうね。本来ならそこに田原総一朗が加わるんでしょうが、田原は今、病院ですからね」(政界関係者)
報道番組やワイドショーに出演しているジャーナリストや文化人が、一人の政治家にここまで協力するというのは、異常というほかはない。いったい、その背景には何があるのだろうか。
●羽田孜と田原、高野、三枝の関係
そのルーツともいえるのが、本誌でも何度も報じたことのある「青の会」である。
いまさら説明するまでもないが、「青の会」は約10年近く前、田原総一朗が中心になってつくった学者・ジャーナリストの集まりで、当時は、自民党各派閥でネオニューリーダーと呼ばれていた藤波孝生、森喜朗、加藤紘一、そして羽田孜という4人の政治家を囲み、頻繁に勉強会を開いていた。メンバーには田原の他に高野孟、舛添要一、三枝成彰、ジャーナリストの嶌信彦、都市計画の専門家で名大教授の月尾嘉男、元野村総研研究員で国際問題アナリストの大磯正美、元TBSディレクターの田中良紹、さらには電通の関係者などが顔を揃えていた。
「発足当初は、将来の首相が確実視されていた藤波孝生が会の中心だったんですが、藤波がリクルート事件で失脚してからは、羽田にシフト。いわば羽田を総理にする会といった色彩が濃くなっていった」(青の会関係者)ことに田原、高野、三枝の羽田に対する接近ぶりは相当のもので、普段も頻繋に会ったり、連絡を取り合ったりして、完全に私設応援団の様相を呈していたという。
「自分たちがレギュラー出演している『朝生』『サンプロ』などに頻繁に羽田を出演させて、論客・政策通として売り出したのも、田原や高野ですしね」(テレビ朝日関係者)
羽田が自民党を離党、新生党党首に就任してからも、こうした動きは止まるどころか、ますます露骨になっている。その代表的なものが昨年9月に開かれた「エイズ撲滅コンサート」だろう。
羽田がプロの交響楽団を前に指揮者としてタクトを振るい、大きな話題になったこのコンサートは、表向き「売り上げをエイズ基、に寄付するために各界著名人に参加を呼びけた」という形になっているが、実際は三枝、高野のコンビが羽田のイメージアップのために仕掛けたものだった。
「羽田はこのコンサートのおかげで、クラシックに造詣の深い政治家などという報道をされたが、実際は、舞台の袖で三枝がタクトを振っているのを、羽田がそっくり真似て手を動かしていただけなんですよ(笑)。いわば完全なやらせなんです」(コンサート関係者)
もっともこれだけなら、昨年秋のテレビ朝日・椿問題でも取り沙汰された癒着疑惑の延長線上で、いまさら驚くには値しないかもしれない。しかしこうした文化人人脈が、メディア上だけでなく、羽田の裏側での利権漁りにまで関与していたとしたら、どうだろう。
●信州国際音楽村をめぐる疑惑
中央ではクリーンイメージが定着している羽田だが、先月号でも報じたように、地元・長野では田中角栄ばりの利益誘導型政治家として知られている。その羽田が地元で握っている利権の巣窟のひとつといわれているのが、丸子町にある信州国際音楽村だ。
丸子町は羽田の出身地・上田市の隣にあり、町ぐるみで羽田を支持しているまさにお膝元。90年には町の会計から1億8千万円の使途不明金が発覚し、当時の町長であった大野太郎一が自殺するという事件が起きているが、これにも羽田が関与しているのではないかとの疑惑が囁かれている。そして、この大野町長と羽田が二人三脚でつくったのが、前述の信州国際音楽村なのだ。
総敷地面積7千8百平米、木づくりのコンサートホールを中心に、野外劇場、研修宿泊センターなどからなるこの文化施設がオープンしたのは、87年。当初、町おこしの一環として持ち上がったこの計画は、林野庁のモデル木造建設事業(昭和61年度事業)に指定され、国の補助金によって建設されている。そして、この決定をしたのが、誰あろう当時、林野庁を管轄する農水大臣の職にあった羽田孜なのだ。まさに職務権限を使って地元に利益を誘導した典型的なケースといえる。
さらに信州国際音楽村は現在、財団法人という形で運営されているが、その理事・監事はすべて羽田人脈によって占められている。例えば、理事長の若林邦彦・上田電線電気工業社長は、羽田の地元後援会「羽田七日会」の会長。副理事長も、やはり「七日会」の会計責任者である島田基正・上田第三木材社長が就任している。他の役員も羽田の元秘書で現県議の寺島善幸、羽田の第一秘書が役員を務める丸子建設の下村恭社長、斎藤木材工業の斎藤敏社長といった具合だ。
「国際音楽村の役員は14人中8人が『羽田七日会のメンバーと重なっているんです。『七日会』は羽田の後援会の中でも、建設関連会社中心の組織で、音楽村の施設建設も請け負っている。しかも、こうした企業は毎年、羽田にかなりの額の献金をしているんです」(丸子町関係者)
実際、90年の政治資金収支報告書を見ても、羽田の政治団体への献金企業として、音楽村の役員たちの経営する会社がズラリと並ぶ。
丸子町のある町議は断言する。「ようするに、音楽村は、羽田に連なる建設業者の口を潤し、その金を羽田に還流させるための装置として作られたんですよ」そして、この利権装置に全面協力したのが、ほかならぬ「青の会」なのである。
●「青の会」が利権拡大の先兵に!
89年11月10〜11日、この信州国際音楽村で「JTスーパーシンポジウム/日本人てなんだ?」というタイトルのイベントが開催されている。内容は、前夜祭として三枝成彰によるコンサート、後夜祭として竜童組のコンサート、そして、メインプログラムには、田原総一朗司会のもと、舛添要一、嶌信彦、田中良紹、月尾嘉男、高野孟、そして三枝らによるシンポジウムが組まれていた。ようするに「青の会」メンバーが勢揃いというわけだ。それもそのはず。このイベント、名目上の主催は信州国際音楽村ということになっているが、実際の企画・運営はすべて「青の会」によって行なわれたのである。
「音楽村を盛り上げたいという羽田からの要請に、田原、高野、三枝らが協力して企画。電通を間に入れたり、日本たばこのスポンサードをとりつけてかなり大がかりにやったようですね」(青の会関係者)
メインのシンポジウムには、羽田はもちろんのこと、音楽村の若林理事長、さらには翌年、自殺に追い込まれた丸子町の大野町長も参加。丸子町と音楽村の将来について議論をかわす風景も見られた。報道に携わるれっきとしたジャーナリストたちが一政治家の地元にまで押し掛ける癒着ぶりには、今更ながら呆れさせられるが、話はこれだけでは終わらない。このイベントをきっかけに、「青の会」と丸子町は急接近。信州国際音楽村をめぐる利権は、きわめて大規模なプロジェクトに変質していくのだ。
「丸子町は当初、音楽村の周辺を公園にしようと計画。土地の買いあげを進めていたんです。ところが、イベント等で羽田さんや『青の会』関係者と話を進めていく中で、音楽村一帯を、一大文化発信基地にするというプランが生まれた」(前出・丸子町関係者)
この計画は、新映像都市構想と名付けられており、具体的には、音楽村敷地内にマルチメディア関連施設や映像ソフト会社、CATV局などを誘致。さらに隣接する茂沢地区の山林を開発して、光ファイバーや双方向性テレビといったニューメディア設備の整った住宅団地を建設、芸術家や学者に住んでもらうというきわめて大がかりなものだ。そして、こうした計画立案だけでなく、その実現に向けた動きにも、高野、三枝を中心とする「青の会」は深く関わっている。
例えば、今年の2月14日に信州国際音楽村内に建設されることが決まった「マルチメディア支援センター」もそのひとつ。この「マルチメディア支援センター」は通産省が新たな映像メディアをつくりだすために、全国で一カ所のみ建設を計画していた、総工費22億円という本格的な国家事業。そんな施設の誘致に丸子町が成功した裏には「青の会」メンバーの力があったのだ。
「羽田が政治力を使って裏から根回ししていたのはもちろん、それと連動する形で『青の会』が事前運動していた。通産省の担当課長を招いて音楽村で『映像塾』なるイベントを開いたり、アメリカのマルチメディア都市視察ツアーを仕掛けたりして、抱き込んでいったらしい」(前出・丸子町関係者)
事実、音楽村の若林理事長も新映像都市構想に「青の会」が関与していたことを認めているばかりか、その尽力に感謝感激の体なのである。それはそうだろう。たんなるホールや公園では、絶対に生まれない巨大な利権が、彼らの手元に転がり込んだのだ。
「支援センターの建設入札はすでに終わっており、噂では、音楽村関係の建設業者が軒並み入りこんでいるようで、様々な計画が目白押しの状況なんです。そしてその度に羽田系の建設業者が潤う仕組みになっている。おそらく音楽村一帯はこれから、羽田の一大金脈となると考えて間違いないでしょう」(前出・丸子町議)
だとすれば、「青の会」の文化人たちはまさに、羽田の利権拡大の先兵役を務めていたということではないか。しかも驚いたことに、彼らは丸子町からその見返りまで約束されているとの噂があるのだ。
「音楽村に隣接する住宅団地が完成した暁には、『青の会』メンバーに優先的に分譲されることが決まっているというんです。すでに三枝、高野の二人とは話がついているという人もいる」(丸子町関係者)
●国会テレビでも羽田と「青の会」人脈が
羽田と「青の会」文化人の良識を問われるような癒着は何も、信州を舞台にしたものだけではない。永田町のどまん中でも、きわめて胡散臭い動きを見せてきたのだ。
ここ数年前から、国会内で改革のひとつとして検討されているものに、国会テレビ中継の問題がある。これは、NHKなどがやっているようなごく一部の国会中継とは別に、国会中継専門局を作り、本会議はもちろん、すべての委員会にテレビカメラを入れ、衛星やCATVを使って、フルタイムで放映しようという計画。現在は院内の「国会審議テレビ中継に関する小委員会」で実現に向けて審議されているこの計画だが、そもそもは当時、自民党の選挙制度調査会長だった羽田孜が言い出したもの。
自民党関係者はその経緯をこう話す。「この計画は、党の通信部会等とは関係がなく、当時、羽田が担当していた政治改革のひとつとして選挙制度調査会から出てきたものなんです。羽田は配下の吹田●(りっしんべんに晃)、田名部匡省らを使って、これを国会で取り上げさせるよう、かなり熱心に働きかけていたようです」
そして89年12月、羽田の強引な働き掛けで、自民党は議院運営委員会に「C―SPANをモデルとする国会中継テレビの創設」という意見書を提出する。ところが、このわずか2カ月後、まるで事態の推移に呼応するかのように、ひとつの会社が創設されているのだ。その会社は「株式会社C―NET」なるもので、C―SPANの日本総代理店として、アメリカの議会中継を日本で配給することを主な業務とする一方、将来的には、日本の国会にも同様のシステムを導入することを目的としている。
まるで、羽田のプランを実現するために作られたかのような会社なのである。それもそのはず。実は、このC―NETの社長を務める田中良紹はTBSの元田中派担当記者で「青の会」メンバーなのだ。しかも、共同ピーアールの椎野育太、テレビマンユニオンの村木良彦らも役員に名前を連ねるこの会社には、田原総一朗、高野孟、三枝成彰らも全面協力しているという。
「そもそもC―SPANをモデルにした国会テレビ開設を最初に提唱したのは、この田中なんですよ。田中が個人的に親しい羽田にもちかけ、これは利権になると判断した羽田が、国会で計画を検討するよう動いたんです。二人の動きは完全に裏でつながっていますよ」(政界関係者)
実際、羽田のC―NETに対する肩入れは相当のもので、同社が91年に、C―SPAN社長を招き、プレスセンターでレセプションパーティを開いた時も羽田は主賓として出席、挨拶をしている。いや、それどころか羽田は、自民党に働き掛け、C―NETからアメリカ議会の中鍵や報告を受ける年間契約を結ばせているのだ。
先の自民党関係者もこう証言する。「ええ、一時は、自民党もC―NETと契約を結んでいました。たしか料金は年間5干万円だったと思いますよ。羽田が離党してからは、契約を切りましたが」
そして一時は、C―NETを母体に、羽田―田中ラインで、国会中継専門局を作る計画がかなり本格的に進行していたのである。「当時はそのバックに、郵政利権を支配していた金丸信がついていて、CSを使ったマルチチャンネル放送でやることが決まっていたようです。ところが、バブルの崩壊でCS構想そのものが頓挫し、計画も一気に暗礁に乗り上げてしまったらしい。今の国会ではNHKの衛星放送にやらせるという方向で話がすすんでいるようですね」(政界関係者)
だが、当の田中はまだまだ諦めてはおらず、昨年末に、「国会テレビをつくる会」なる団体を旗揚げするなど、巻返しに余念がない。
●政治家に接近する文化人の堕落ぶり
信州国際音楽村、そしてC―NET……。こうして見ると、羽田孜と「青の会」文化人の関係は、癒着などというレベルを超えた、完全な利益共同体といった様相を呈している。ことに、羽田が近年、強い関心を持っているといわれるマルチメディア関連の利権については、ことごとく「青の会」文化人が先兵役を果たしているといっていい。
そして羽田は、この「青の会」以外にも様々な形で文化人を利用しようとしている。羽田は先の総理就任中、政府広報予算を使って、電波やページを買い取り、自らPRに乗り出したが、こうした番組・記事にも出版プロデューサーの残間里江子、政治学者の猪口邦子ら文化人を起用していた。また、「有識者の意見を聞く」との名目で、多くの文化人を官邸及び公邸に招き入れ、懇談を行なっていたのだ。
総理就任から6月18日までのわずか2カ月弱の間で判明しているだけでも、小林良彰、舛添要一、早坂茂三、立教大教授の斎藤精一郎、タレントの加山雄三、ニュースキャスターの木村太郎、そして筑紫哲也、さらには企業から半ば恐喝のような手口で金を掻き集めていることで有名な雑誌『経済界』主幹の佐藤正忠といった人物までが、羽田と会っているのだ。
「とにかく羽田は、文化人とみれば、手当たり次第に声をかけていたようです。とくに各局のニュースキャスターには全員、話をしたいと申し入れたらしく、木村や筑紫以外にも、桜井よしこ、木村優子、鳥越俊太郎、久和ひとみ、安藤優子、さらには久米宏にまで接触があったと聞いている」(民放関係者)
この事実だけをとっても、羽田の意図は明らかだろう。ようするに「有識者の意見を参考に」などというのは、あくまで建前にすぎず、メディアで自分に好意的な報道をさせるために、文化人を取り込もうという腹づもりなのである。
文化人を政治の道具に使おうとする政治家とその誘いにホイホイと応じ、権力に尻尾をふる文化人たち――この図式は今後もますますエスカレートしていくだろう。わが国のジャーナリストや文化人の御用化、墜落化は、もはやとどまることを知らないかのようである。 〈敬称略〉
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