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□「報道陣の劣化」を食い止めるために「へそ曲がり記者」を増やせ [JANJAN]
http://www.janjan.jp/media/0706/0706137213/1.php
「世相解剖」(4)「報道陣の劣化」を食い止めるために「へそ曲がり記者」を増やせ 2007/06/14
『毎日』名物記者の指摘
『毎日新聞』夕刊の週一コラム「牧太郎の 大きな声では言えないが」(6月12日付)が、「報道陣の劣化」を指摘した。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/maki200604/
【「消えた年金」。これは新聞、テレビが謝るべき重大な事柄ではないのか】と問いかけた上、【確かに熱心な記者が年金をフォローしていたことは事実だが、結果として「消えた年金」の実態を暴くことができなかった。もっと早くからキャンペーン報道を繰り返していれば、国民の被害はもっと少なくて済んだハズだ。報道陣は謝るべきだ】
【現場に突入しようとしない「マスコミの怠慢」は劣化の一因である。批判されるのは、我々報道陣ではないか】と、【自戒を込めて】書いている。
「報道陣」の劣化か、「報道人」の劣化かはともかく、
【昨今の報道陣はすこぶる素直だ。へそ曲がりがいない。疑うことを知らない。権力は常にウソをつく。権力は常に堕落する。それが歴史の真実なのだが……】という指摘には同感だ。
「よど号逮捕状」報道への違和感
23日の国会の会期末を前にして、全国紙には「7月参院選」に向けた政治パブ記事が目立つ。
【政府は北朝鮮向けラジオの事業関連費に1億3400万円を計上】(『産経』12日付)。こんなパブ記事が報道されるのも「報道陣の劣化」の表れではないだろうか。
レイムダック状態の安倍内閣が、唯一の得意技である「拉致問題」に注目を集めるために「対北ラジオ」に予算をつけ、自民党・比例代表からから出馬する中山恭子首相補佐官(拉致担当)の援護射撃をしようとしているのがミエミエ。だが『産経』はスンナリ1面トップの客観報道記事に仕立て上げる。
それ以上に疑問なのは、13日付の朝刊各紙が一斉に取り上げた「『よど号』妻に逮捕状」だろう。拉致事件に絡み、北朝鮮に住む2人に対して「結婚目的誘拐容疑」の逮捕状をとり国際手配するというのだが、すでに2人とも「旅券法違反容疑」で国際手配されているお尋ね者だ。2人が北朝鮮を出国しない限り実効性がない「国際手配」だが、各紙とも「新鮮で重要なニュース記事」に仕立て上げている。
この報道のポイントは、警視庁公安部がなぜこの時期に逮捕状請求をしたのか。それを掘り下げることではないのか。それこそが、読者が一番知りたいことではないのか。
「消えた年金」「松岡自殺」で、政権存亡の危機に陥っている安倍内閣が「拉致」に活路を見出そうとしているのは自明の理。年金への不満から有権者の目をそらさせ、自分の土俵に乗せようとする魂胆がミエミエだが、どの全国紙もそうした疑問に答えない。
「劣化した報道人」はいらない
「魂胆がミエミエ」だから書かないのだろうか。そうではあるまい。
「わかっちゃいるけど、政府や役所のやることに文句をつけない方が賢明だ」という意識に凝り固まっているのだろうか。
「劣化した報道陣」には、政府や政党、権力機構の思惑をえぐり出すという姿勢がまったく欠落している。「へそ曲がり」な記者ならば、すぐさま裏事情を調べて書くだろう。だが「疑うことを知らない」報道人は、逮捕状請求という事実の報道だけでオシマイ。
「へそ曲がり記者」を増やさない限り「国民の知る権利に答える」なんて大言壮語を吐いていられなくなる。
(松尾信之)
▽関連記事
□報道陣の劣化 [牧太郎の大きな声では言えないが…/毎日新聞]
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/maki200604/
牧太郎の大きな声では言えないが…
報道陣の劣化
自戒を込めて書く。昨今「報道陣」という人種はすぐ謝ってみせるけれど、肝心な事柄では“知らん顔の半兵衛”である。反省すべきを反省しない。
例えば、社員が痴漢で逮捕される。マスコミ各社はすぐさま謝罪会見をして、頭を下げる。謝っても良いけれど、それほどのことでもあるまい。社員が何千人もいれば変質者の1人や2人は交じるものだ。(職員1万1000人のNHKはこの半年で、わいせつ事件が6件。いささか異常ではあるが)痴漢行為は基本的には個人的な犯罪。経営者が仰々しく謝らなくても良い範ちゅうだ。
それに引き換え、5000万件にも上る「消えた年金」。これは新聞、テレビが謝るべき重大な事柄ではないのか。時効で泣き寝入りした年金は約950億円。国が国民との間で結んだ契約を平気で破る。著しい「国家の劣化」である。
国と国民の契約が公平に履行されているか? これを監視するのが報道陣の使命である(と僕は信じている)。確かに熱心な記者が年金をフォローしていたことは事実だが、結果として「消えた年金」の実態を暴くことができなかった。もっと早くからキャンペーン報道を繰り返していれば、国民の被害はもっと少なくて済んだハズだ。報道陣は謝るべきだ。
本当に我々報道陣は「消えた年金」を知らなかったのか。薄々、知っていながらキャンペーン報道を怠ったのか。いずれにしても「報道の劣化」である。読者、視聴者の「知る権利」を確保することでメシを食っているのだから、これは「契約違反」である。
何故、我々は劣化したのか。「現場」に居ないからである。権力が次から次へと発表する事柄を伝えるのに手いっぱい。行政の「現場」に足を運ぶ余裕がない。権力は過剰なサービスをすることで、報道陣の目を曇らせ、牙を抜く。
加えて、昨今の報道陣はすこぶる素直だ。へそ曲がりがいない。疑うことを知らない。権力は常にウソをつく。権力は常に堕落する。それが歴史の真実なのだが……民間活力の○○内閣に限っては、市民の味方××党に限っては、労働者の味方△△組合に限っては……と安易に取材対象を信じてしまう。
国家の劣化は複合的な汚染で生まれる。現場に突入しようとしない「マスコミの怠慢」は劣化の一因である。批判されるのは、我々報道陣ではないか。(専門編集委員)
毎日新聞 2007年6月12日 東京夕刊
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