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□おおいた評論:これも「報道」? /大分 [毎日新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070603-00000198-mailo-l44
おおいた評論:これも「報道」? /大分
6月3日17時0分配信 毎日新聞
元読売新聞の社会派記者、故・本田靖春さんは、近年のテレビ報道を厳しく批判していた。遺作となった自伝『我、拗(す)ね者として生涯を閉ず』で、米同時多発テロ事件の折のあるニュース番組の醜態を伝えている。世界貿易センタービルの崩壊に直面した女性記者が避難する様子を番組は延々と映したのだが、彼女が発した言葉は「逃げて、逃げてッ」という絶叫だけだったというのである。
<私は意地が悪いから、あえていう。「お前はニューヨークくんだりまで、逃げるだけのために行ったのかい」と>。本田さんはそう皮肉り、16年前の6月3日、長崎県島原市の雲仙普賢岳の大火砕流で亡くなったカメラマンの例を引く。プロの取材者は危険と知っていても体を張って対象に近づこうとするものだとして<そんなことまでやるのは嫌だ、という人間は、報道の世界に入ってはいけない><ひたすら逃げまくったくだんの若い女性は、バラエティ番組にでも行きなさい>と忠告する。
私たちの同僚とOB計4人も火砕流の犠牲になった。取材の安全を徹底すべきことは普賢岳災害がもたらした教訓であり、本田さんの称賛に素直にうなずくことは難しいが、取材者の気構えとしては全く同感である。
しかし本田さんの忠告は、どうやら通用しない時代になったらしい。島原では避難住民の留守宅に、東京の某テレビ局が「空き巣」に入り電源を使用。警戒のために消防団が危険地域を巡回して火砕流に巻き込まれ「報道による人災」との批判が起きた。あるテレビ局の知人と最近、話した。同様の大災害がまた起きたら、取材現場はさらにひどいことになろうと彼は言う。
「もはやテレビに報道とバラエティーの垣根はない。『情報番組』の名の下に、基礎訓練も受けていない素人記者が現場に押しかけてサッと引き揚げていく。彼らが求めるのは視聴率が取れる絵と音であって、事実の探求ではない。不二家が賞味期限切れチョコを再出荷していたと誤報した『みのもんたの朝ズバッ』も同じ手法」
普賢岳では東京の主要局の取材班も被災した。知人の言葉通りなら、尊い犠牲を払ってテレビはいったい何を学んだのだろう。私たちの会社でも、あの日々を知る者は年々少なくなっている。折々の機会をとらえて、若い記者たちに伝えていかなくてはなるまい。<大分支局長・藤井和人>
6月3日朝刊
最終更新:6月3日17時0分
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