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【書評】『ご臨終メディア』、森達也・森巣博共著 [PJ]
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投稿者 white 日時 2007 年 4 月 12 日 11:07:10: QYBiAyr6jr5Ac
 

□【書評】『ご臨終メディア』、森達也・森巣博共著 [PJ]

▽【書評】『ご臨終メディア』、森達也・森巣博共著(上)

 http://news.livedoor.com/article/detail/3115903/

【書評】『ご臨終メディア』、森達也・森巣博共著(上)
2007年04月11日13時19分

【PJ 2007年04月11日】− とにかくマスメディアが機能しなくなっていることを論じているのはタイトルの示す通り。特に著者のひとりの森達也氏は、テレビ局の下請けの番組制作会社勤務からフリーのディレクターとなってドキュメンタリーなどの番組制作に携わり、フジテレビなどと仕事をしていたという経歴の持ち主で、業界の内部事情にも詳しいようだ。

 テレビ局の正社員は高給取りのエリートで、始めはそれなりの心意気があろうもののマンネリ化して保身に走るようになる。その結果、要するに「事勿れ」主義になっているのが現状らしい(官僚と同様の既得権益の死守ということか)。よって不祥事だけは起こしたくないし、そして自分の乗っかっている船(会社組織)が安泰であることを願う。

 だから権力に逆らうような記事を書いてお上からクレームが付くようなことはなるべくしたくないし、一般視聴者から抗議が殺到するような記事も書きたくない。記者クラブも同じで、だから何の質問もせず、発表内容をそのまま横流しするような単なる広報に成り下がっているというわけだ。

 視聴者への迎合、それを端的に表したのが視聴率至上主義だ(新聞の場合は販売数)。視聴率が高く、抗議がこなければそれは視聴者に支持されていると解釈する。だから視聴率稼ぎは単なるスポンサーへの奉仕だけではなくて、世論の声に支えられているという「心の拠り所」にしているというわけだ。

 「世論をマスメディアが扇動する」という弊害を森巣博氏は糾弾するが、森達也氏のほうはそれはマスメディアと民意との共同正犯であると主張する。民意が支持するから「あなた好みの報道になっている」というわけだ。くだらない番組と言われても視聴率が高いということは多くの視聴者がそれを望んでいるからではないかと。卵が先か鶏が先かということか。

 結局、その悪循環を断ち切る方法は、マスメディアが視聴率主義を捨てて信念(それが正しいかどうかはまた別な問題)を貫くこと、さもなければ民意(の一部が)がきちんと抗議することしかない。マスメディア側は抗議されること、支持されないことを一番恐れているのだから(繰り返すが、それが彼らの心の拠り所だから)。だからこそ市民記者がマスメディアの立場からではなくて、民意の立場から抗議し続けることに意義があるのだ。【つづく】

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パブリック・ジャーナリスト 和田牧夫【 東京都 】
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▽【書評】『ご臨終メディア』、森達也・森巣博共著(下)

 http://news.livedoor.com/article/detail/3117208/

【書評】『ご臨終メディア』、森達也・森巣博共著(下)
2007年04月12日10時58分

【PJ 2007年04月12日】− (上)からのつづき。書評(下)に入る前にまずは、PJ(記者)の日頃不思議に思っていた疑問から。事件を伝えるテレビ局が何であんなにしつこく連日のように繰り返し似たような報道を流すのかということ。事件現場の取材といえば、例えば火事の現場をバックにして派遣された局アナが事件の概要を説明する。しかし、その内容は当局の発表の横流し。続報を伝える時は、手を換え品を換えして事件報道を飾り立て、周辺住民に「犯人はどんな人ですか?」「普通の人でした」などという他愛もない、お決まりの質問をして見せたり。そんなこと、あるいはそんな質問をすることにどういう意味があるのか理解に苦しんだ。かれらはエリートであり、頭がいいに違いないのだから・・・。

 しかし、この本を読んでその答えがやっと分かったような気がした。つまり、そういうことは意味もないこととかれらは重々承知でやっているのだ。すなわち確信犯的ということになる。せっかく視聴者が食らい付いている特ダネを少しでも引き伸ばして、ぎりぎりまで視聴率を荒稼ぎしようということなのだ。

 視聴者はそんな報道姿勢にはうんざりしているのだが、事件の事が知りたいがために我慢して俗悪ともいえるそのようなテレビ報道を見ているのだ(テレビに最も期待するのは速報性、新聞雑誌よりははるかに早いから)。視聴率イコール支持ではないことをかれらもわかっているくせに、広告代理店傘下の視聴率リサーチ会社1社のつたないデータにしがみついている。

 そもそも(新聞記者も含めて)最近の報道記者は取材活動というものをきちんとしなくなっているという。当局の発表を横流しして終わりということが多い。あるいは通信社の情報の焼き直しで済ませる。テレビ報道は新聞の情報をもとに映像を切り貼りして記事を作ったりしているのかもしれない。朝のワイドショーに至ってはもろにボードに新聞の切り抜きを貼ってそれを読んでコメントしているだけのこともある。ニュースソースは全く他力本願だ。これでテレビは報道機関といえるのだろうか。外に出て行きたがらず、綺麗なオフィスで綺麗な仕事をしていたいということなのだろうか。

 テレビで放映されている番組の7割が下請けの制作会社が作っているという。下請け会社の社員の待遇はテレビ局の正社員に比べれば月とすっぽんぐらい違っていて、安月給で働かされているという(森達也氏と同年代の正社員の年収は何と3000万円とのこと)。

 では、番組を作らない正社員たちは何をしているのか。あれやれ、これやれと指示しているだけ?まるで羊の群れを裁いている羊飼いのようだ。それで、粗相をした羊でも現れようものならがんがん頭たたいて群れから追い出してしまう。そして悪かったのはあの羊だという。でも外から見ていたものからすれば、「あれはあなたのとこの羊でしょ?」。「いや、もう追い出したから、うちの羊じゃない」って。 そして、今後は残った羊が粗相をしないようにせいぜい監視を強めますって。

 ちゃんと正社員に番組を作らせ、いい仕事をしているもののみに高給を与え、能力に併せて正社員も差別化していかなければ、全員がぬるま湯につかっているようなものだろう。いいものを作ろうと思ったらそれぐらいの努力が必要なのではないか。改革を断行できる指導者が外から注入されなければ、生え抜きのぬるま湯から抜け出てきた幹部ではだめなのではないだろうか。社内でのしがらみでがんじがらめだろうから。【了】

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