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□「ペコちゃん vs TBS」テレビ朝日経済部記者 冨坂範明 [お笑いみのもんた劇場]
http://montagekijyo.blogspot.com/2007/04/vs-tbs.html
2007-04-05
「ペコちゃん vs TBS」テレビ朝日経済部記者 冨坂範明
テレビ朝日 報道ブーメラン第372号
http://www.tv-asahi.co.jp/a-friends/
■02■記者コラム
「ペコちゃん vs TBS」
経済部 記者/冨坂 範明
不二家のフランチャイズ店の取材をしていると、口をそろえて言われる言葉がある。「おたくは、TBSじゃないよね?TBSだったら、取材に応じないから」。不二家の関係者たちがTBSを毛嫌いする理由はただ一つ。1月22日に放送した、朝の情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』の内容だ。
この日の『朝ズバッ』では、「不二家の平塚工場の元従業員」の証言として、「消費期限切れチョコレートを回収し、溶かした上で、牛乳を加えて再利用した」という内容を放送した。さらに、その翌日の放送で、司会のみのもんた氏が不二家のことを「チョコを溶かして再利用するような会社は、廃業すべきだ」と、ズバッと切って捨ててしまったのである。
しかし、実際には誤りがあった。溶かしたチョコに牛乳を加えると、水分で固まってしまい、駄目になってしまうことは、工場で少しでも働いたことのある人にはすぐわかることだったからだ。
この放送を見た不二家の関係者は「TBSがでたらめなことを放送している」と受け止めた。さらに「廃業すべき」とまで言われたのだから、心中穏やかなはずはない。
不二家というだけで、世間から白い目で見られていたころの話である。このころの不二家は、バッシングの嵐にあい、とても一つ一つの報道に対応できる状態ではなかった。しかし、『朝ズバッ』の内容に関しては、どうしても看過できないと思ったのだろう。不二家はすぐさま、TBSに事実関係の確認と訂正を求めた。
一方のTBSは、「牛乳を混ぜた」点については報道が不正確だったと認めながらも、放送で訂正はしていない。こうした一連の経緯が、不二家関係者にTBSの悪印象を植え付けたのだろう。
不二家とTBSの争いは法廷闘争に発展する可能性が出てきた。不二家の一連の問題が起こった原因を調査する外部機関「信頼回復対策会議」が、報告書をまとめ、一連のTBSの報道には「虚偽性、捏造の疑い」があり、報道内容について公正で客観的な調査をTBSが行わない場合は、損害賠償請求なども検討すべきだと結論付けたからである。
不二家とTBSの争点を整理すると次のようになる。
(1)賞味期限切れのチョコを溶かして再利用したこと
不二家は賞味期限切れチョコの再利用などは、ありえないことだとしている。一方、TBSは、牛乳を加えたことについては不正確だったと認めているが、賞味期限切れチョコを集めて再利用した点は、「取材に自信を持っている」と譲っていない。
(2)証言者の信憑性
TBSに登場した“元平塚工場の従業員”といわれる証言者は、「賞味期限切れのカントリーマアムを捨てようとしたら怒られた」とも証言している。しかし、実際には、平塚工場でカントリーマアムが製造されていた事実はない。これをもって不二家は、証言者が本当に平塚工場で働いていたのか信用できないとしている。TBSは「複数の証言がある」と反論している。
(3)証言を捏造した可能性
『朝ズバッ!』の放送では「賞味期限切れだからゴミ箱に入れようとしたら怒られた」という証言が、チョコの話として放送されている。不二家の信頼対策会議は、本来はカントリーマアムについて証言した内容が、チョコの再利用にすりかえられ、捏造されたのではないかと考えている。対するTBSは「捏造は全くない」とコメントしている。
現在のところ、双方の主張は平行線だが、不二家の信頼対策会議の郷原信郎議長の怒りはおさまらない。3月30日に行われた報告会見で、郷原議長は奥の手に打って出た。「いまから、TBSとのやり取りの録音テープを公開します」。
会場には、TBS『朝ズバッ!』プロデューサーの野太い声が、響きわたった。「心外なんですよ、嘘とか捏造とか言われるのが。そういうの(証言)と照らし合わせながら報道している訳!」
すかさず、元検事の郷原議長がTBSの態度を批判する。「取り調べの時だって、こんなに高圧的にはならないですから。いかにTBSが不誠実かわかるでしょう」。しかし、このテープは、録音する許可は取っていたが、会見で公にすることはTBSに連絡されていなかった。TBSは「道義やモラルに明らかにもとる行為だ」と強い遺憾の意を表明した。(テープの公開に関しては、郷原議長がTBSに対し公開質問状を送って、現在是非を争っている。)
かわいそうなのはTBSの現場の記者だ。『朝ズバッ!』が一部、不正確な内容で、過激な放送をしたばかりに、不二家への取材のハードルが、かなり上がってしまった。ある記者は「朝ズバッ!には毎回迷惑しているんだ」と言う。
「自殺者が出ないか、本当に心配なんです」。不二家バッシングが続いていたころ、不二家の広報担当者は真顔で私につぶやいた。もちろん我々は、不二家を叩こうとして、報道していたのではない。食品会社としての衛生管理のあり方、意識の低さを問題として、報道をしてきた。しかし、少しでも不正確な表現があると、とんでもないダメージを相手に与えてしまうことがある。
テレビの影響力は大きい。この問題を他山の石として、正確で、意義のある報道をしていきたい。あらためて、そう思った。(了)
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