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http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200712140077.html
2007年12月14日
重い心臓病患者の筋肉細胞からつくった「心筋シート」を心臓に張って治療する手術で大阪府の男性(56)が、補助人工心臓を外すまでに機能回復し、月末にも大阪大病院を退院することになった。世界でも例のない臨床研究で、心臓移植を待つしかなかった患者に新しい再生医療の選択肢を与える成果だ。澤芳樹大阪大教授(心臓血管外科)は「まだ1例で判断は難しいが、症例を積み重ねて普及をめざしたい」と話している。
この患者は昨年2月、意識のない状態で救急搬送された。補助人工心臓をつけて昨年8月、心臓移植の登録をしたが、臨床研究の説明を受け、今年5月に心筋シートを張る手術を受けた。
心筋シートは、患者の太ももから摘出した筋肉(約10グラム)からつくる。傷つくと分裂や分化して損傷を補う筋芽細胞などを取り出し、特殊な培養液で増やして直径約5センチ、厚さ約50マイクロメートルのシートにする。3、4枚重ねて弱った心臓の表面に張る。
患者は9月に補助人工心臓を外した。現在、心臓から送り出される血流が改善し、心不全の重症度をはかる指数も正常値に戻ったという。
筋芽細胞を培養し、心筋内に直接注入する臨床研究は欧米や国内で行われている。ただ、注入した細胞の一部しか機能しないという問題があり、不整脈などの副作用も指摘される。心筋シート方式で、こうした問題が回避できる可能性がある。
臨床研究は東京女子医大と共同で実施。補助人工心臓を着けて心臓移植を待っている70歳以下の拡張型心筋症患者が対象で2年間に6人を予定する。同症は心筋が弱って薄く伸び、血液がうまく送り出せなくなる。重症になると心臓移植しか治療法がなくなる。
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