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----勤務医 開業つれづれ日記 から転載---------------------------------------
http://ameblo.jp/med/entry-10056487727.html
2007-11-21 14:46:52
■ノーベル賞級! 「ヒト皮膚から万能細胞 京大チーム成功」
テーマ:医療崩壊
素晴らしい研究です。
今後の発展に大いに期待します。
また、ちょっとだけ
知ったかぶりで解説してみました(笑)。
間違っていたらご指摘下さい。
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ヒト皮膚から万能細胞 京大チーム成功
拒絶反応なし 臨床応用に道
2007年11月21日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071121-OYT8T00092.htm
人間の皮膚細胞から、さまざまな臓器・組織の細胞に成長する能力を秘めた「万能細胞」を作ることに成功したと、京都大学の山中伸弥教授(幹細胞生物学)らの研究チームが発表した。
患者と遺伝情報が同じ細胞を作製でき、拒絶反応のない移植医療の実現に向け、大きな前進となる成果だ。山中教授は「数年以内に臨床応用可能」との見通しを示している。米科学誌「セル」電子版に20日掲載される。
山中教授らは、やはり万能細胞として知られる「胚(はい)性幹細胞(ES細胞)」の中で、重要な働きをしている4個の遺伝子に着目。30歳代の白人女性の顔から採取した皮膚細胞(研究用市販品)にウイルスを使ってこれらの遺伝子を組み込み約1か月培養したところ、ヒトES細胞と見かけが同じ細胞が出現した。
培養条件を変えることにより、この細胞が、神経細胞や心筋細胞などに変化できる「万能性」を備えた「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」だと確認した。作製効率は皮膚細胞約5000個につき1個で、臨床応用するのに十分という。
これまで再生医療で脚光を浴びていたES細胞には〈1〉人間に成長する可能性がある受精卵を壊して作るため、倫理的な批判を伴う〈2〉移植に使うと拒絶反応が避けられない――という問題があった。クローン技術を利用するクローンES細胞を使うと拒絶反応を回避できるが、材料となる卵子の確保が困難だ。iPS細胞なら、これらの問題をすべて克服できる。
ただ、山中教授らが遺伝子の組み込みに利用したウイルスは、発がん性との関連が指摘されているほか、組み込んだ遺伝子の一つはがん遺伝子だ。移植後にがん化しないような工夫が課題として残る。
山中教授らは昨年8月、同じ4遺伝子をマウスの皮膚細胞に組み込み、iPS細胞作製に成功したと報告。人間でも可能かどうか実験していた。
米ウィスコンシン大のチームも人間の皮膚細胞からiPS細胞の作製に成功したと発表、こちらの成果は米科学誌「サイエンス」電子版に20日掲載される。方法はほぼ同じだが、京大とは組み込んだ4遺伝子のうち2個が違うという。今後、万能細胞を用いる再生医療は、iPS細胞を中心に展開していく可能性が高い。
岡野栄之・慶応大医学部教授(生理学)の話「非常に重要な成果だ。細胞移植医療への応用が見えてきた。我々が行っている脊髄(せきずい)損傷患者への再生医療研究にも、ヒトiPS細胞を利用したい。医療に応用するには、がん化の危険性を払しょくすることが課題だ」
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iPS細胞:ヒトの皮膚から万能細胞 京大などが成功
毎日新聞 2007年11月21日 2時00分 (最終更新時間 11月21日 11時54分)
http://mainichi.jp/select/science/news/20071121k0000m040170000c.html
ヒトの皮膚細胞から、心筋細胞や神経細胞などさまざまな細胞に分化する能力を持つ万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作り出すことに、日米二つの研究チームが、それぞれ成功した。患者自身の遺伝子を持つ細胞を作り、治療に利用することに道を開く技術。クローン胚(はい)から作る同様の能力を持つ胚性幹細胞(ES細胞)と違い、作成に未受精卵を使うなどの倫理的問題を回避できる。拒絶反応のない細胞移植治療などの再生医療や新薬開発など、幅広い応用に向けた研究が加速しそうだ。
京都大などのチームが20日付の米科学誌「セル」電子版に発表。米ウィスコンシン大などのチームが22日付米科学誌「サイエンス」電子版に発表する。
京大の山中伸弥教授と高橋和利助教らは、体細胞を胚の状態に戻し、さまざまな細胞に分化する能力をよみがえらせる「初期化」には四つの遺伝子が必要なことを発見し、昨年8月にマウスの皮膚細胞からiPS細胞を作ることに成功。これを受け、世界の研究者がヒトのiPS細胞の開発を目指し、激しい競争を繰り広げていた。
山中教授らは、マウスでの4遺伝子と同様の働きをするヒトの4遺伝子を成人の皮膚細胞に導入し、ヒトのiPS細胞を開発することに成功。この細胞が容器内で拍動する心筋や神経などの各種細胞に分化することを確認した。iPS細胞をマウスに注入すると、さまざまな細胞や組織を含むこぶができ、多能性を持つことが示された。
一方、ウィスコンシン大のジェームズ・トムソン教授らは、胎児や新生児の皮膚細胞から、京大チームとは異なる組み合わせの4遺伝子を使い、iPS細胞を作ることに成功した。
英紙によると、世界初の体細胞クローン動物、羊のドリーを誕生させた英国のイアン・ウィルムット博士は、今回の成果を受け、ヒトクローン胚研究を断念する方針を決めたという。クローン胚由来のES細胞より、iPS細胞の方が治療には有望と判断したためだ。
一方、初期化に使う4遺伝子にはがん遺伝子も含まれ、発がんなどの危険性がある。今後は安全性の確保が研究の焦点となりそうだ。【須田桃子】
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さて、わたしにとっては
論文を読んだわけではないので
きちんとしたことはいえないのですが、
幸いなことに
京都大学ニュースリリース
に、この発表の前の
”マウス”第2世代人工万能幹細胞の
記事が載っております。
ヒトとマウスと、
種は違いますが、
研究チームが同じなら
きっと手技も似ていると思いますので(笑)、
ご参考にしてみて下さい。
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マウス体細胞から第2世代人工万能幹細胞の開発に成功
(ヒト人工万能幹細胞の樹立に一歩前進)
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/070607_21.htm
2007年6月7日
JST(理事長 沖村憲樹)と京都大学(総長 尾池和夫)は、マウス体細胞からES細胞と遜色のない能力をもった第2世代の人工万能幹細胞(iPS細胞)の開発に成功しました。
胚性幹細胞(ES)細胞は、高い増殖能とさまざまな細胞へと分化できる多能性を持つことから、再生医学(細胞移植療法)におけるドナー細胞の資源として期待を集めています。しかしES細胞はヒト受精卵から作製するために慎重な運用が求められており、また患者さんへ移植すると拒絶反応が起ってしまいます。そこで患者さん自身の体細胞から直接、ES細胞と同じ能力をもった幹細胞を樹立することが求められています。
本研究チームは昨年8月に、4つの因子を組み合わせてマウス体細胞に導入することにより、高い増殖能と様々な細胞へと分化できる多能性をもつiPS細胞(第1世代)の樹立に成功しました。しかし第1世代iPS細胞は、遺伝子発現パターンがES細胞と異なり、分化能力もES細胞より劣ることから、その有用性に疑問の声もありました。
今回本研究チームは、選択方法を改善することにより、ES細胞と同じ遺伝子発現パターンを示し、分化能力においても遜色のない、第2世代iPS細胞の樹立に成功しました。
今回の成果により、ヒト体細胞からも第2世代iPS細胞が樹立できるようになれば、脊髄損傷や若年型糖尿病など多くの疾患に対する細胞移植療法につながることが期待されます。
第2世代iPS細胞の樹立は、ハーバード大学とマサーチュセッツ工科大学の2グループからも同時に報告されました。今後ヒトiPS細胞の開発を巡り、日米での熾烈な競争が予想されています。
本研究は、JST戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の「免疫難病・感染症等の先進医療技術」研究領域(研究総括:岸本 忠三 大阪大学大学院生命機能研究科 教授)における研究課題「真に臨床応用できる多能性幹細胞の樹立」(研究代表者:山中伸弥 京都大学再生医科学研究所 教授)の一環として、山中伸弥(同上)や沖田圭介(日本学術振興会特別研究員)らによって行われています。今回の研究成果は、平成19年6月6日18時(英国時間)に英国科学雑誌「Nature」のオンライン速報版で発表されます。
【研究の背景】
受精後まもないヒト胚から樹立される胚性幹(ES)細胞は、分化多能性を維持したまま長期培養が可能であり、細胞移植療法の資源として期待されています。しかし、ヒト胚利用に対する倫理的な反対意見も根強く、慎重な運用が求められています。体細胞からES細胞に類似した多能性幹細胞を直接に樹立することができたなら、胚の利用や移植後の拒絶反応を回避することができます。本研究チームは昨年、マウス体細胞に4つの因子(Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4)をレトロウイルスベクターで導入することにより、形態や増殖能がES細胞と類似し、分化多能性も持った人工万能幹細胞(iPS細胞)の樹立に成功しました。しかし、第1世代iPS細胞における遺伝子発現パターンをDNAマイクロアレーで解析すると、多くの違いが認められました(図1)。またES細胞は受精卵に戻すことにより、マウスの全身の細胞に正常に分化し、いわゆるキメラマウスが誕生しますが、第1世代iPS細胞にはその能力はありませんでした。このことから、第1世代iPS細胞は不完全な多能性幹細胞であると考えられ、その有用性を疑問視する研究者もいました。
図1 DNAマイクロアレーを用いた遺伝子発現パターンの比較 ( ※6月21日 図を追加しました )
DNAマイクロアレーを用いて、約1万の遺伝子発現を線維芽細胞、ES細胞、iPS細胞の間で比較しました。第2世代iPS細胞はES細胞に非常に近い発現パターンを示しました。
【研究の内容】
本研究チームは、マウス体細胞に第1世代と同じ4因子をレトロウイルスベクターで導入した後、従来よりも厳しい基準でiPS細胞を選択しました。こうして樹立された第2世代のiPS細胞は、形態や増殖能に加えて、遺伝子発現パターンもES細胞と極めて類似していました(図1)。またマウス受精卵に移植すると、第2世代iPS細胞は、マウスの全身のさまざまな細胞に正しく分化し、受精卵由来の細胞と導入したiPS細胞由来の細胞が混ざり合ったキメラマウスが誕生しました(図2)。第2世代iPS細胞は生殖細胞にも分化しており、次の世代では、全身が第2世代iPS細胞に由来するマウスも正常に誕生しました。これらの実験結果は、第2世代iPS細胞の分化多能性はES細胞と比べても遜色がないことを示しています。ただ、これらのマウスの約2割において、甲状腺腫瘍の発生が観察されました。この腫瘍は、4因子のひとつであるc-Mycのレトロウイルスが原因であることがわかりました。再生医学への応用には、c-Mycやレトロウイルスを用いない方法の確立が必要であるという課題も示されました。
【今後の展開】
今回の成果により、iPS細胞の能力は、ES細胞に引けをとらないことが明らかとなりました。今回の成果が将来、ヒト体細胞からのiPS細胞誘導につながることが期待できます。脊髄損傷や心不全などの患者体細胞からiPS細胞を誘導し、さらに神経細胞や心筋細胞を分化させることにより、倫理的問題や拒絶反応のない細胞移植療法の実現が期待されます。またこれらの細胞は、疾患の原因の解明や新治療薬の開発に大きく寄与するものです。
図2 第2世代iPS細胞のキメラマウス形成能
第2世代のiPS細胞をマウス受精卵で胚発生過程の途中にあるブラストシスト(胚盤胞)に移植すると、iPS細胞由来の細胞と胚由来の宿主細胞と混じった細胞で全身が構成されたマウス(キメラマウス)が誕生しました。第2世代iPS細胞は生殖細胞にも分化しているため、次の世代では、全身が第2世代 iPS細胞に由来するマウスも正常に誕生しました。これらの実験結果は、第2世代iPS細胞の分化多能性はES細胞と比べても遜色がないことを示しています。
【論文名】
「Generation of germ-line competent induced pluripotent stem cells」(和訳題名)
全身の細胞に正常分化できる人工多能性幹細胞の樹立
【研究領域等】
この研究テーマが含まれる研究領域、研究期間は以下の通りです。
戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
研究領域:「免疫難病・感染症等の先進医療技術」
(研究総括:岸本 忠三(大阪大学大学院生命機能研究科 教授))
研究課題名:「真に臨床応用できる多能性幹細胞の樹立」
研究代表者:山中 伸弥 京都大学再生医科学研究所 教授
研究期間:平成15年度〜平成20年度
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今までも、
”どんな組織にでも分化できる万能細胞”は
ありました。
生殖細胞であり、
胚性幹細胞(ES)細胞と読んでいました。
簡単に言うと、
ヒト受精卵から作製していたわけで、
このままなら
”人間として生まれることも可能”な細胞ですから、
倫理的な問題が生れて来ます。
一方、
生殖細胞以外の細胞を
体細胞と言います。
受精卵ではなく、
これを使って、
色々な細胞、
たとえば心臓や神経などの
各器官に分化できるような細胞があれば、
ダメージを受けた組織に
自分自身のほかの細胞を細分化させて
回復が可能かもしれません。
それをやり遂げたのが
今回のチームなのです。
>マウス体細胞に4つの因子(Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4)をレトロウイルスベクターで導入
この4つの遺伝子とベクターである
レトロウイルスが
今後の越えるべき課題になるでしょう。
c−Mycを導入したレトロウイルスによって
2割のマウスに甲状腺腫瘍が出来ている。
フランスでもX−SCID遺伝子治療で
2名(3名?)の方が白血病になっています(1)。
そのときのベクターもレトロウイルスでした。
今後も色々な検討を行って、
安全性を高めていただきたいのですが、
何より、
”あたらしい扉を開いた”
ことは本当に素晴らしいことだと思います。
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(1)
厚労省
遺伝子治療臨床研究に関するフランスの有害事象を踏まえた国内の取扱いについて(報告)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0318-8i.html
1. フランスでの有害事象の発生について
○ フランスで実施されているX−SCID遺伝子治療(※)において、平成14年の2例の有害事象(白血病)に続き、本年1月下旬、第3例目の有害事象(白血病)の発生が報告された。 ※ X連鎖性複合免疫不全症(X-SCID)に対し、レトロウイルスベクターにより、γc遺伝子を造血幹細胞に導入する遺伝子治療。
○ 第3例の白血病発症の原因については、現在フランスにおいて解析中。
○ フランスはX−SCID遺伝子治療を中断。遺伝子治療の導入に用いるレトロウイルスベクターを使用した遺伝子治療は継続。
アメリカにおいても、X−SCID遺伝子治療を中断するとともに、その取扱いについて、FDA等で対応を検討中。
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コメント
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■おめでとう
山中伸弥教授は整形外科のドクターですよ。
整形外科医でも研究できる人おりますよ。
元、同僚でした。
整形でも 2007-11-21 15:24:01 [コメント記入欄を表示]
■嬉しいニュースですね
久しぶりに明るいニュースを聞きましたヽ(^o^)丿
ここんとこ、厭になるニュースや鬱になるニュースばっかりでしたからね。医療関係は。
最大の問題は、分裂増殖し、細胞の方向性を制御する遺伝子に「がんをおこす原因では」と言われるいわゆるがん遺伝子を導入することで、未分化なまま分裂を促すメカニズムを確保していることで、これの制御ができなければ、ひたすら未分化なまま増殖し続け、「がん」になってしまうことです。
現在、分化誘導に必要なサイトカインなども積極的に研究されており、また、臓器に植えることによって特定方向に分化される、という研究もあるようで、実用化に期待が持たれます。
Seisan 2007-11-21 15:32:20
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