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エイズ発症の速度を決定する遺伝子発見、米テキサス大研究チーム
2007年10月22日 14:49 発信地:パリ/フランス
【10月22日 AFP】エイズ(HIV/AIDS)ウイルスに感染した人の、エイズを発症する速度を決定する2つの主要遺伝子を特定したとする研究が、21日発行の科学誌「Nature Immunology」に掲載された。
エイズ確認以来四半世紀にわたり、エイズ発症を促すのは血液内のHIVウイルスで、それが増大しヒトの免疫システムを破壊してしまうことが原因と考えられていたが、今回の研究は、その考え方に修正を促すものになりそう。
研究では、個人の遺伝子特性が、HIVの複製と、HIVへの身体反応に影響を及ぼすことが明らかになった。
HIVウイルスと免疫システムの相互作用は、「通常は軽い感染をも致死性のあるものに変えてしまう」と研究者。
今回特定された遺伝子は「CCR5」と「CCL3L1」。まだ解明されていない他の遺伝子も、同様の役割をになう可能性もあるという。
「CCR5」は、HIVウイルスがとりつく免疫細胞「CD4」の表面の主要な受容体を制御する。もう1つの「CCL3L1」は、HIVが受容体に付着するのを阻止するケモカイン(chemokine)と呼ばれる分子に信号を送る免疫システムを制御する。
以前からの研究により、「CCR5」のある種の変異体は、HIVウイルスの侵入を阻止する盾の役割を果たしているらしいことが明らかになっていた。
2005年には、今回の研究と同じテキサス大学ヘルスサイエンスセンター・サンアントニオ校(University of Texas Health Science Center)のチームが、「CCL3L1」遺伝子の複製の数も、影響を及ぼすことを明らかにしている。
この遺伝子複製の数には個人差があり、0から5、場合によってはそれ以上のこともあるが、この数が多い人ほどHIVウイルスに感染しにくいということがわかっていた。
今回の研究でテキサス大学のSunil Ahuja氏を中心とするチームは、好ましい、あるいは好ましくないCCR5の変異体と、CCL3L1の複製の数に基づき、遺伝子的「リスク・グループ」のいくつかを特定。
その上で、HIVウイルスに感染している米国人患者と健康な人3500人を比較・分析し、どの段階で感染者がエイズを発症するのかを調べ、これを「リスク・グループ」の特徴および免疫反応と比較した。
感染初期段階では、HIV感染者がAIDSを発症する速度に血液中のウイルスの量が及ぼす影響は9%にとどまった。
ウイルスの量と同じくらい重要なのは上述の2つの遺伝子の組み合わせのあり方であることも明らかになった。「個人の遺伝子の性質は、HIV1ウイルスの血中量と同じくらい、エイズを発症する速度に影響を及ぼす」とAhuja氏。
「ウイルスの量が及ぼす影響を考慮してもなお、遺伝子的な要素がエイズ発症の速度に影響を及ぼすのはあきらか」と、共同研究者で同じテキサス大学ヘルスサイエンスセンター・サンアントニオ校のHemant Kulkarni準教授も指摘する。
また「CCR5-CCL3L1」の特徴は、健康な人の免疫反応にも影響があることがわかり、この遺伝子の組み合わせは、エイズ以外の感染症への身体反応にも影響を及ぼすという結論も導かれた。
もう1人の共同研究者San Antonio Military Medical Center(サンアントニオ陸軍医学センター)のMatthew Dolan氏によると、今回の発見は個人の遺伝子的特徴に合わせたHIVの薬品とワクチンを作る必要性を補強する点で極めて大きな意味を持つという。
2006年末の時点で、世界で3950万人がHIVウイルスに感染するか、あるいはエイズを発症していると国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(World Health Organisation、WHO)が発表している。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2301452/2271595
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