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リタリンで生きられる患者がいる
悪用は許せないが、自殺しないですむ人間もいるのだ
西村大樹(2007-09-25 15:35)
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070925/15393
私は難治性のうつ病、そしてそこから派生する、睡眠障害と診断されている。
当時、アニメ制作会社に勤めていた自分が、突然の出社拒否になったことがある。自分は、なにがなんでも、完璧に物事をこなさなければならない人間だ。
そのように思っていたのにかかわらず、ミスばかりしており、心のどん底へと落ちていったのである。その時は、まだうつ病ということには気がつかなかった。半年ほどの引きこもり生活の後、友人がゲームの監督をしないかと声をかけてくれて、そこへと乗ることにした。
この時、自分が「うつ」という病であることを確信した。プログラマーに指示を出し、原画に指示を出し、それがきちんと完成しているのかを見るのが監督の仕事であるが、人間の思いというのが完璧に通じるはずもなく、リテイク(やり直し)を指示する毎日であった。
指示する方の責任もあったのであろうが、それを完遂できなかった作業者側の責任も当然ある。しかも、スタッフは素人同然であった。そのところを納得すればいいものを、完璧主義者(なんだか恥ずかしい言葉ですが……)な私には許せず、そのミス全てが、自分の責任であるかのように感じていった。そして、再び引きこもりに逆戻りである。
好きであったテレビのバラエティーを見ても、詰まらない。眠くて1日中寝ている。いや、3日寝ていた記憶もある。親に精神科に行きたいと言うが、「ただ、だらけているだけ、サボるのもいい加減にしろ!」と怒鳴られてしまう始末。
自殺。それしかない。友人の精神科医が、希望の手を差しのばしてくれた。持つべきものは、友人の医者である。彼は両親を説得し、病院へと連れて行き数々の検査をしてくれた。それはSF映画のようで少しだけ楽しかったりもした……。
診断結果。難治性うつ病。それに伴う過眠。子どもの頃のイジメが原因の、PTSDということだった。
うつ病はまだしも、まさか「難治性」というおまけまで付き、初めて聴く英文まで付いている。意味もわからず、長々とした病名を言われて、心でガッツポーズ。顔では泣き顔を作りつつ、話を聞いていく。
中学生の頃、私は自殺を考えるほどに、虐められた。登校拒否になっても親は「勝ってこい!」などといって送り出す。相手は複数。授業中でも、いつでも教室の後ろで暴行され続けた。
教師は、見て見ぬふり。ここから人が怖くなり、他人に話しかけることができなくなってしまった。ちなみに、これは、その後、映画界という体育会系の社会に入り、ある程度は完治したが……。
友人の医者が、選択してくれたのがいくつかの抗うつ薬、睡眠薬、そして、今回の本題である向精神薬リタリンである。
リタリンは「合法覚せい剤」などという呼ばれ方もしていたので、なにか悪の道へと1歩踏み込んだような高揚感があった。しかし、現実に飲んでみたら、高揚感などではなく、いままで、後ろ向きでしかものを考えられなかった私に、前へと進もうという気力が満ちあふれてくるではないか!
嬉しかった。毎日なにもせず、ただ布団で寝いた毎日。なにかをしたいのに、なにもできない私。辛くて毎日泣いていた。それでも親ですら「怠けているだけ」などと1日中怒り続ける。前に進める。仕事も見つかった。
それから何年かが過ぎた。2007年9月に入り、「毎日新聞」が突然、反リタリンキャンペーンを展開し始めた。
「リタリンは覚せい剤であり、処方してはいけないものだ」と日本テレビの番組に出演していた精神科医が言っていたが、正しくは覚醒剤だ。
リタリンを、覚せい剤の代用品として利用している人がいるという噂は聞いている。
しかし、だ。その薬を使うことで、副作用を出すことなく日々の生活を送っている人がいるのだ。私は先にも書いたが、リタリンがなければ明日にでも色をなくし、1カ月後には命を絶ち可能性すらある。難治性鬱病患者にとってのリタリンは、これほど重要なものなのである。
最近、この薬の製造元である製薬会社、ノバルティスファーマは、うつ病への適用除外を検討中との報道があった(たとえば9月25日付日経産業新聞)。なぜ、製薬会社はこのような措置をとろうとするのだろうか。
推測するに、「毎日新聞」のリタリンのバッシングキャンペーンである。この記事には、問題が多々ある。最も大きいのは、リタリンにより、救われた人のことを取り上げずに、中毒になり遊びに使っていた人を取材対象として選んでいることである。
救われている多くの人にスポットを当てる必要がある(写真はイメージ)
100人の患者がいたとする。遊びに使っている人数は、0.5人ぐらいではなかろうか。いや、もっと少ないと私は思う。ADHD(注意欠陥多動性障害)や、ナルコレプシー(睡眠障害)を含めればもっと真面目な患者はいるはずだ。
なのに、「リタリン」を悪者にするためだけに、2本の「毎日新聞」の記事(9月18日、9月22日朝刊)は作られている。偏向報道であり、ある意味、精神病患者への差別ともいえる内容である。
心の病に薬を飲む、という考えは普通に暮らしている人間にとっては、なにか怖いものもあるかもしれない。
しかし、明日自殺しようと考えることを、思いとどまらせることができるのは、肉親と心を落ち着かせる薬だけである。リタリンは、家から出られずに、社会と関わりたいのに関われないという人間にとっての、神様からのプレゼントなのである。
ノバルティスファーマが、難治性鬱病患者を適応外とした理由は簡単である。「怖い」のだ。マスコミにたたかれたのが怖いのだ。
組織を守るためには、それを必要としている人間がいようとも、あえて外すしかないのだ。心の病というのは、見えにくい。横綱朝青龍も、安倍前首相も悩んでいるが、そのことをわかる人間は本人だけ。マスコミは、仮病だと騒ぎ立ててバッシングする。
うつ病も薬を飲んでいれば、ある程度は、健常者として暮らしていくことができる。わからないのだ、みんなから。私のように、カミングアウトできればいいのであろうが、社会の目があり、そのようなことができる人は少数であろう。そのような人たちは薬を飲み、うつの病が過ぎていくことを待つのである。その待つために必要なのが、リタリンであった。
必要なのです、リタリンは。
リタリンを覚せい剤代わりに、乱用している者は、摘発してもかまいません。ネットで売りさばいている奴らも、摘発してかまいません。
でも、病院で、きちんと処方される人には、きちんといままで通りに、生きる期間をください。リタリンがなくなれば、自殺者が増えます。社会に適応できず、社会全体からイジメを受けて死んでいくことでしょう。
苦しめないでください、もう。
助けてください、私たちを。
だから……乱用者を摘発し、正しい患者を、救い続けてください。
事実、リタリンにより、自殺することなく生きていられる人間からの言葉です。
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