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http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070720-OYT8T00198.htm
相関関係、初データ
飲酒運転の違反歴がある男性ドライバーのうち、ほぼ2人に1人はアルコール依存症の疑いがあることが、国立病院機構久里浜アルコール症センターの樋口進医師が神奈川県内で実施した調査でわかった。
一般男性の場合、依存症が疑われる人は20人に1人と推計されており、自分の行動を抑制できなくなるアルコール依存症と飲酒運転との相関関係が初めてデータで裏付けられた。調査を受け、政府は依存症のドライバーに対する治療の方策などについて本格的な検討に入る。
今回の調査は、樋口医師が神奈川県警と共同で実施した。今年1〜6月の間に免許取り消し処分者講習を受けた人のうち、飲酒運転の違反歴がある約200人を対象に、医療機関で採用されている複数の検査方法で依存症の疑いがあるかどうかを探った。検査は、主に飲酒習慣や自己抑制力の低下具合を調べるもので、国際的に信用性が高い検査方法の場合、男性で「疑いあり」の該当者は48・7%だった。この検査方法によるサンプル調査(約1200人)から、一般男性の中で依存症が疑われる人の割合は約5%と推計されている。
また、同センターが開発した別の検査方法でも、男性の該当者は36・9%で、一般男性(7・1%)と比べ、高い割合を示した。女性は検査対象が少なかったが、両検査方法で約4〜6割と、男性とほぼ同様の結果が出た。
飲酒運転を巡っては、6月に成立した改正道路交通法で罰則が引き上げられるなど厳罰化が進んだ。一方、アルコール依存症は、酒を飲まないと震えが止まらないなど自己抑制力が低下する病気のため、「厳罰化だけで飲酒運転は減らせない」として、民間団体や専門家からは、常習者に対する治療などの対策を求める声が出ていた。だが、依存症との因果関係を示すデータはこれまで警察庁にもなかった。
米国では多くの州が、すべての違反者に依存症検査を義務付けている。裁判所が専門的な治療プログラムの履修や、アルコールを検知するとエンジンがかからなくなる装置の搭載などを命じる州もある。
政府は今年4月、飲酒運転常習者を対象とした関係省庁の対策会議を設置。今回の調査結果を受けて、全国の警察でも詳細な実態調査を行い、諸外国の例も参考に制度改正を検討する。
アルコール依存症 酒を飲まないと発汗したり、脈が速くなったりするなどの生理現象が表れることがある病気。2004年の厚生労働省研究班の推計によると、依存症の人は国内に約80万人、その「予備軍」も含め依存症の疑いがある人は約440万人。自分が依存症であると認めたがらない傾向が強く、治療を受けているのは2万人程度にとどまるという。
[解説]厳罰化に加え医療的対応を
飲酒運転とアルコール依存症の関係について、調査がこれまで行われなかったのは、警察が担う飲酒運転取り締まりと、医療の分野である依存症対策が、「そもそも別の問題」(警察庁幹部)として切り離されてきたからだ。今回の調査結果は、こうした考え方に見直しを迫るものと言える。
度重なる重大事故を受け、飲酒運転に対する罰則は、ここ数年で徐々に強化されてきた。だが、警察庁によると、一昨年に飲酒運転による死亡事故を起こした人のうち、飲酒運転の再犯者は過去3年の違反歴に限定しても8%以上もいた。
「制度を厳しくするだけでは、無免許で飲酒運転する人が増える」。そう指摘する専門家もいる。依存症の影響による常習者に対し、矯正・治療プログラムなどを課している米国のような制度導入に向けて、警察庁、厚生労働省などが連携し、国として取り組むべきだ。(社会部 中沢直紀)
(2007年7月20日 読売新聞)
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