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http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/0708/200708_062.html
この文章は記事本文の前書きです。
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最近の医療の進歩によって,脳を損傷した患者の生存率が大きく伸びている。交通事故などで脳に外傷を受けたり,心臓発作や溺水事故によって酸素欠乏状態になったりした患者の多くが命をとりとめている。だが,損傷が非常に重い場合は昏睡状態に陥る。昏睡状態の患者の目は閉じられたままで,よくても手足を反射的に動かすくらいの反応しか示さない。こうした昏睡の状態は長くても2〜5週間ほどしか続かない。意識を回復する場合は,通常,数日以内に回復する。あるいは,そのまま亡くなるか,昏睡からは目覚めるものの,意識のないまま「植物状態」になってしまう。
専門家でさえ診断に戸惑うこの植物状態とは,「覚醒」と「認識」という意識における2つの主要な要素がまったく切り離されていて,完全に覚醒しているにもかかわらず,思考や感情をひっくるめた認識は消失している状態だ。「覚醒」と書いたが,実際には,睡眠と目覚めている状態が交互に現れる周期的なパターンを示すことを指す。目覚めているように見えるとき,患者の目は開いていて,ときおり眼球を動かすことがある。そうでないときは患者の目は閉じていて,眠っているように見えるが,触れられたり話しかけられたりすると,目を開いて眼球を動かす。
最近では,こうした無反応な患者の中に隠れている意識の徴候を見つけるため,脳画像診断法を活用する研究が進められている。患者に意識があるというしるしを検知する確かな方法を見つけられれば,回復の見込みがある患者とそうでない患者をもっとうまく識別できるだろうし,こうした研究によって,意識の本質にかかわる問題に新しい光が当てられるかもしれない。
著者
Steven Laureys
ベルギーにあるリエージュ大学のサイクロトロン研究センターで昏睡研究グループを率いており,サート・ティルマン・リエージュ大学病院の神経科主任を務めている。1993年にブリュッセル自由大学でM.D.を取得し,2000年にリエージュ大学からPh.D.を取得した。彼の研究はベルギー国立科学研究基金や欧州委員会,脳科学基金がサポートしている。最近,『The Boundaries of Consciousness: Neurobiology and Neuropathology』(Elsevier, 2006)という本を出版した。
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