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神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/
有機フッ素 猪名川で高濃度検出 西宮などで水質汚染(神戸新聞ニュース) 2007/05/22
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000345491.shtml
動物実験で発がんとの関連などの毒性が指摘されている、有機フッ素化合物の一種による水質汚染が全国に広がり、中でも大阪市とその周辺では高濃度で、住民の血中濃度も高くなっていることが京都大学の小泉昭夫教授(環境衛生学)らのグループによる調査で二十一日までに分かった。
検出されたのはパーフルオロオクタン酸(PFOA)という物質。調理器具や繊維製品などに焦げや汚れが付かないようにする加工や撥水(はっすい)剤などフッ素関連製品の製造過程から環境中に放出されると考えられている。
大阪市周辺には大きな発生源があるとみられるが、詳細は不明。人への影響などはまだ分かっていないことが多く、小泉教授らは健康影響を含めた詳しい調査の必要性を強調している。
二〇〇三年、北海道から九州まで約八十カ所の河川水を調査した結果、全地点でPFOAを検出。汚染の広がりが明らかになった。ほとんどの地域は水一リットル中に数ナノグラム(ナノは十億分の一)から十数ナノグラムだったが、兵庫県の猪名川で四百五十六ナノグラム、大阪市の淀川で百四十ナノグラムと高濃度だった。
周辺をさらに調べた結果、淀川支流の安威川にある下水処理場周辺で採取した試料から六万七千-八万七千ナノグラムと、世界的にも最高レベルの汚染が確認された。また全国十地域で計二百人の血中濃度を調べた結果、京都、大阪、西宮各市の住民の濃度が他地域に比べ目立って高いことも判明。大阪市の水道水中のPFOA濃度が仙台市など他地域の三百倍にもなったことから、人体汚染は飲料水が一因とみられるという。
さらに昨年、安威川近くの大阪市内で二つの井戸の水を採取し、大阪府立公衆衛生研究所の協力で測定したところ、水一リットルに八千三百ナノグラムと五万七千ナノグラムのPFOAを検出。地下水汚染も広がっている可能性が高いことが分かった。
米国では環境保護局と企業側との協定で、五百ナノグラムを超えたら企業が飲料水の浄化などを行うことになっている。
パーフルオロオクタン酸(PFOA) フッ素を含む有機化合物の一種。動物実験で肝臓毒性や発達への影響、発がん、肥満との関連などが指摘されている。環境中で分解されにくく、日本や欧米などの人間の血液中に蓄積していることが分かって注目された。極域の生物など広範囲の環境汚染が問題化、欧米では生産規制が検討され、日本の3社を含む世界のフッ素樹脂メーカーなどが昨年、米環境保護局と共同で、環境への排出削減に自主的に取り組むことになった。環境省の調査でも河川水、大気、食物などから検出され、水の中の最高濃度は水1リットル中100ナノグラムだった。
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