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http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070514/shc070514000.htm
子供のアレルギー 学校は発症対策に全力を
アレルギー症状に悩む子供たちが増えている。初夏を迎え、子供にとっても日常と異なる体験ができるチャンスが増えたが、一方で、ハチや未知の食べ物などに神経をとがらせる時期でもある。
文部科学省が4月に発表した「アレルギー疾患に関する調査研究報告」は、全国の公立小中高校(計約1277万人)を対象にした初の大規模調査だった。その結果、ぜんそくが約73万人▽アトピー性皮膚炎が約69万人▽食物アレルギーが約32万人▽アレルギー性鼻炎が約118万人もいることがわかった。2臓器以上に症状が表れ、命にもかかわりかねないアナフィラキシーを発症したことがある児童・生徒も約1万8000人に上った。
ヒトは体に侵入した細菌やウイルスなどを排除するため体内に抗体を生成するが、アレルギー疾患は、卵や花粉など通常なら害とならないはずの日常的な物質に特異的で過剰な抗体反応を起こす。蕁麻疹(じんましん)や嘔吐(おうと)など症状もさまざまで、激しい場合は死に至る。
仕組みについては、かなり解明が進んできたものの、その治療法となると、発症のきっかけとなる物質(アレルゲン)に接しないのが第一で、まだ決め手はない。
これに対して学校側の対応は、「ぜんそくの発作など緊急時に保護者や主治医へ連絡するなど対応・連絡体制について共通の理解を図っている」ところですら全体の半数強にすぎない。発症の兆しが表れたら迅速に注射が必要なアナフィラキシーにいたっては、薬の保管場所を提供している学校が13%弱と不十分さが目立つ。
アレルギー疾患は子供たちの勉強への集中力を削(そ)ぎ、行動をも制限する。文科省の調査は、医師の指示が確実に学校に伝わる「学校生活管理指導表」づくりなども提言しており、学校側は早急にアレルギー疾患に対処できる態勢を整えてほしい。
アレルギー疾患の増加は(1)洋食化や外食の増加など食生活の変化(2)住居の密閉性とダニ(3)化学物質との接触(4)大気汚染(5)精神的ストレス−など、ほとんどが環境要因によるという。「便利さ」をひたすら追求する現代社会の負の側面ともいえるが、次世代を守るためにも、長期的視点に立った国を挙げての取り組みが求められている。
(2007/05/14 05:34)
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