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日経メディカル・オンライン
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200705/503219.html
2007. 5. 14
iPodでペースメーカー誤作動の可能性
旧モデルで多発か、ペーシング必要時に発火しないトラブルも
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関連ジャンル:心疾患
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「iPodが心臓ペースメーカーに悪影響」――。5月中旬の週末に、ロイター発のこんなニュースが世界を駆け巡った。これは、5月9〜12日に米コロラド州デンバーで開催された米不整脈学会年次学術集会「Heart Rhythm 2007」で発表された研究成果を報じたもの。埋め込み型心ペースメーカーを装着した100人の患者を対象とした臨床試験の結果で、実験中、ペーシングが必要な不整脈時に必要なペーシングパルスが発生しないという重大なトラブルが見られたことも明らかになった。
5月10日の一般口演で研究成果を報告したのは、ミシガン州の17歳の高校生Jay Thaker君。米ミシガン大循環器内科助教授のKrit Jongnarangsin氏ら医師、技師らとの共同研究で、研究発案はThaker君によるという。
対象は、埋め込み型心ペースメーカーを装着しており、実験に同意した患者100人(うち男性63人、平均年齢77.1歳)。装着しているペースメーカーは9割がデュアルチャンバー型で、残りがシングルチャンバー型だった。
実験に用いたiPodは、第3世代型、第4世代型のiPod Photo、動画再生可能な第5世代型、小型のiPod Nanoの4機種4台。すべて2005年以前に製造された製品を採用した。
臨床試験では、iPodを患者のペースメーカーから2インチ(約5cm)の位置に近付けて5〜10秒留め置き、影響を見た。イヤホンは耳に装着するか肩にたらした。患者には心電計を装着し、併せて技師がペースメーカーの動作を確認した。1人の患者に対し、4機種のiPodで、(1)再生のままにする、(2)オン・オフを繰り返す、の2通り、のべ800回の試験を実施した。試験は単盲検試験で、技師はどのiPodをテストしているか知らされなかった。
試験では、(1)過剰検知による動作異常、(2)ペースメーカーからのテレメトリー読み出し妨害など、ペースメーカー自体では感知されなかった妨害、(3)ペーシングが必要な時にペーシングパルスが出ない、の3通りの異常について調査した。
その結果を図1に示す。動作異常をもたらした過剰検知は約2割(19人)の患者で計108イベント発生、ペースメーカーからのテレメトリー読み出しに対する妨害は、3割を超える32人の患者で計296イベント発生した。最も重大なインシデントであるペーシング必要時のペーシングパルス不発火は、今回の試験では1人の患者で1回だけ起きた。幾つかの症例では、iPodを45cm離しても妨害が発生したという。
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図1 iPodによるペースメーカー妨害の発生数
(米不整脈学会2007年年次学術集会、資料提供:Krit Jongnarangsin氏)
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図1を見る限り、最も古い第3世代モデルが最も多く、第4世代モデルがそれに次ぎ、現行モデルの初期型に当たる第5世代モデルとiPod Nanoではイベント発生はごく少ないようだ。
研究グループでは、上記の試験のほか、25人のデュアルチャンバー型ペースメーカー装着者に対して、ペースメーカーの動作モード別の影響と、試験の再現性を見る追加試験を実施、iPod接近の影響には再現性があることを確認している。
Thaker君は、「一般的なペースメーカー装着患者はiPodを利用していないが、彼らはしばしば、iPodの愛用者である孫や若者との接触がある」と指摘している。
Jongnarangsin氏は編集部のインタビューに対し、「本研究は予備的段階だが、速やかに論文化するつもりだ。現時点では(iPodによる)妨害の詳細なメカニズムは不明だが、解明を目指し、ミシガン大学工学部と共同研究を進めている」と話している。
(中沢 真也=日経メディカル オンライン)
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