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http://veritas.nikkei.co.jp/scramble/index.aspx?id=MS3Z04015%2004022008
藤井良憲(08/2/4)
4日の日経平均株価は反発した。企業の2007年4〜12月期業績開示で通期の利益見通しが伸び悩むなかで、強気になりきれない投資家も多いだろう。だが、株式相場がすでに底入れしたことを示しているような株価指数がある。東京証券取引所第1部の単純株価平均だ。
日経平均や東証株価指数(TOPIX)がそろって昨年来安値を更新した1月22日。単純株価平均は308円22銭を付け、2003年3月に付けたバブル後の最安値(308円97銭)を約4年10カ月ぶりに下回った。その後は持ち直し、4日終値は347円31銭まで回復した。日経平均やTOPIXが2003 年に付けたバブル後安値まで下げず、調整一巡感が出ないのとは対照的だ。
単純株価平均は基本的に東証1部上場銘柄の株価を合計し、銘柄数で割って算出する。ただし、銘柄ごとに最低売買単位となる1単元の株式数が異なるので、単元株数をかけて1000で割るという調整を加える。時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすいTOPIX、値がさ株の寄与度が大きい日経平均と異なり、投資家の売買コストの動向を見極めやすいという利点がある。
中期的に単純株価平均が調整を始めたのは2006年2月。いわゆるライブドア・ショック以降、インターネット関連株が売られるなかで、時価総額の大きい「鉄鋼、非鉄、商社など重厚長大産業に買いが向かった」(日本アジア総合研究所の黒川達夫主席テクニカルアナリスト)時期にあたる。時価総額の大きい銘柄に資金が移り、日経平均など主要な株価指数に先駆ける形で、単純株価平均が下げ足をはやめた経緯がある。
単純株価平均は今回も主要指数より先駆して安値を更新した。市場では「株式相場は業績悪化を既に織り込んでおり、調整は一巡した」との強気の見方も出ている。
個別銘柄をみても、業績修正後に急落した銘柄に着実に押し目買いが入っており、株価が業績悪化に対する抵抗力を強めているのが分かる。例えば、1月30日の取引終了後に2008年3月期通期の業績予想を下方修正した大阪ガス。31日は一時2.4%安まで下げたが、4日終値は414円と下方修正発表日の終値に並んだ。
業績悪化が明らかになった銘柄は従来、市場の発生事象に応じた短期売買でのサヤ取りを得意とする「イベントドリブン」と呼ばれる投資スタイルのヘッジファンドなどからの売りを浴びて、急落後もしばらく安値圏でもみ合うケースが多かった。
個別銘柄が投資心理に影響を及ぼす範囲も限られてきたようだ。1日に通期業績見通しを下方修正したイビデン。4日に制限値幅の下限(ストップ安)水準まで売られ、大引けで比例配分となった。それでも業種別日経平均・電機は2%強上昇しており、同業他社への連想売りにはつながっていない。
日本経済新聞社が集計した2008年3月期業績見通しは前週末時点で5.8%の経常増益。中間決算発表時点の5.9%をほぼ維持しており、5期連続の最高益更新が確実になってきた。株式相場が個別企業のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映しているのであれば、外部環境の悪化などを理由に弱気に傾け過ぎたポジションは、そろそろ見直すべき時期を迎えているのかもしれない。