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2008年01月30日
ブリッジ法案が見送り
ブリッジ法案が、衆参議長の斡旋により取り下げとなりました。重要なのは斡旋文の中にある『年度内に一定の結論』という言葉で、それが仮に参院決議ではなく議論を延長する、となった場合は「約束違反だ」として、年度末の国会は再び火花を散らすことになるのでしょう。
野党は委員会採決をとられた時点で、ブリッジ法案が通ると国民の中に『税率維持已む無し』という無気力感が漂い、議論が低調に終わることを心配したのでしょう。今回は玉虫色の決着です。仮に今回の国会が混乱したことに対し、野党が首相に問責決議を提出しても、予算審議を放り出したととられかねません。一方で与党も、このやり方を通せば国民の反発は必至であり、一気に解散機運が盛り上がりかねません。そこで両者とも議長裁定の受け入れに至ったのです。
最大の問題は、首相以下閣僚全てがこのブリッジ法案に対して距離をおいたことです。自民党総裁が内閣総理大臣であり、仮に自民党が議員立法で法案を出しても、その責任は福田氏にあります。幹事長に一任したとて、この法案を提出した責任は全て福田氏にあります。
以前から、政治には説明責任が必要と述べてきました。今回、委員会での強行採決までいったことで、説明もされない法案が一日で通ってしまう可能性を国民の前に垣間見せてしまいました。3分の2条項をもった怖さ、民主政治が数で押し切られる恐怖を国民は感じたはずです。
痛み別けとも見えますが、「自民党は多すぎる」との認識が国民に広がることは確実です。しかも昨日もふれたように、自民党若手議員が立ち上がれないのは、道路特定財源の利権構造の中枢に、選対委員長がいるためです。党四役を選任した福田氏には人事面の責任もかかります。
また、これは昨年国交省によりまとめられた道路整備中期計画を元にした財源確保です。道路整備中期計画を見直せば、10年間という期間も見直せますし、25円という税額を調整する話し合いもできるのです。この暫定税率の問題とは、そもそものこの国土交通省が作成した道路整備中期計画に立ち戻り、要不要の議論をすべきであり、それを二ヶ月で行うのは最初から困難な話なのです。
まだこの計画は見直せます。国民は単に税金が安くなることを喜んでいる訳ではありません。不要な公共工事はバラマキであり、疲弊した財政の中でなぜ道路だけ特別視されるのか、その点に疑問があるからです。その点をきちんと説明しない限り、説明責任を果たさない、調整能力のない首相として、その資質を問われかねない問題となるのです。
英国の政治家の言葉に「忠告は滅多に歓迎されない。しかもそれをもっとも必要とする人が常にそれを敬遠する」というものがあります。今、誰の言葉を聞かねばならないのか、もう一度考えて欲しいですね。
analyst_zaiya777 at 23:10|Permalink │Comments(0) │TrackBack(0) │clip! │政治 | 一般
2008年01月29日
経済の話。最近の為替動向
揮発油税の暫定税率に関して、国会が大荒れです。ブリッジ法案を通せば、自民党は次の選挙で敗北することが確実になります。これは暫定税率云々ではなく、法案の取り扱い方や説明が無責任すぎて、更に利権主義がこの問題に集約されて今後も語られることになるからです。
これが自民党内で止められないところに、国民が政権交代を意識せざるを得ない、膠着した日本の現状があります。省庁から助成金や交付金が出ている企業や団体から、自民党大物議員に寄付金としてキックバックされている。この構図を打破するための手法は、政権交代しかないのかもしれませんね。但しその野党もだらしない面は否めませんが…。
世界の市場が大荒れしています。景気後退が意識される中、FRBの利下げ幅をめぐる期待値、米国でモノライン保険会社への救済策の行方、それらの楽観と悲観が交錯するボラタイルな展開が続いており、ブッシュ大統領の一般教書演説で景気への追加政策もなかったことから、今晩から始まるFOMCがいつも以上に注目されています。
為替の面では円/ユーロの動きが激しくなっており、膠着し始めた円/$と異なり、1日で2円近く動くことも稀になっています。本来、FRBが利下げを続けているのですし、今後も継続される見込みが強いことからも、円/$はこの数日間でもう少し大きく動いても良いはずです。
円/$相場が事前に利下げを織り込み済みかどうかは、他の市場との対比でも分かります。米国FRBの動きに右往左往する他の市場と比べ、円/$だけ落ち着いていられるのは、円高局面では相当に堅い円売り圧力があるから、とすることが出来ます。つまり日本企業にとって、この水準を抜くと増益基調が崩れるので、日本の景気全体に影響する問題になるため売り圧力が強くなるのです。
そんな中で第三四半期の業績開示が日本でも始まりましたが、減益の方が目立つ状況です。一部には増益の企業もありますが、その増益幅は縮まっており、世界経済の減速が日本企業にも影響している、という見方ができます。ここで想定為替レートを大幅に下回る水準となれば、その影響はもっと強く出てくることになるでしょう。
投機筋による円ポジションは、現在どちらにも傾いてはいません。ただ金利動向次第では、投機筋も新たなポジションを組むことが十分に考えられます。為替が新たな水準に突入するかどうかは、FRBの利下げ幅次第ということもいえるでしょう。現在、経済の落ち着きで動くかに見える円/$ですが、次の材料を模索している段階にあるだけであり、それがFRBの金利大幅引下げになると、少し大変なことになるのかもしれませんね。
analyst_zaiya777 at 23:08|Permalink │Comments(10) │TrackBack(0) │clip! │経済 | アメリカ
2008年01月28日
ガソリン税でブリッジ法案提出か?
今日から国会で来年度予算審議が始まりましたが、そんなときに浮上してきたのが『ブリッジ法案』です。租税特別措置法改正案の年度内成立が見送られれば、その間の繋ぎとして税法上の過不足を失くす、というためのものです。つまり与党はこのブリッジ法案と租税特別措置法の二回、3分の2条項を用いて採決し、この国会を乗り切ろうという戦術です。
これほどヒドイ戦術もありません。国民生活の混乱を回避するという理屈ですが、例えブリッジ法案がなくとも混乱は生じません。一つに、元々の揮発油税の道路建設で、国直轄分として計上されている分を地方に割り振り、一時的に地方が減収に陥るという事態を回避すれば混乱も回避できます。その後、暫定税率分の議論を国会審議で深めれば良いだけです。
つまり暫定税率議論を租税特別措置法とわけ、ブリッジ法案ではなく、国会の不手際で起きる問題なのですから、国土交通省がドロを被れば少なくとも今ある地方が混乱する、という理屈はなくなります。しかしそれをすれば、数日か数週間は軽油の値下げとなり、ガソリンも遅れて値下げとなり、国民はその数週の間に満タンにしておこうとはするのでしょう。それを嫌がり、かつ国土交通省の抵抗もあって、結果パイを保存する方向のブリッジ法案などになってしまうのです。
この提案をする理由の一つに、国が直轄でやるより地方で道路を建設する方が安いという事実もあります。国が関与する分、なぜ建設費が高騰するのかを考えた時、宿舎の建設であったり、自民党有力議員へのキックバックがあったりと、今回揮発油税に焦点が当たったことで、様々な問題が明るみに出ています。レクリエーション費に用いることは違法ではない、という説明以上に、税金が道路建設ではない余計なところで浪費される現状は改められなければいけません。そうしないと、この道路特定財源の根拠そのものが崩れるからです。
最近、与党よりと目される評論家も福田政権を批判し始めました。国民ウケが悪く、かつ戦術面、答弁内容等に官僚の匂いが強すぎて、評論家も距離をとり始めたということなのでしょう。むしろ福田氏がこれほど官僚の手の平で踊っていると、裏があるのでは?と勘繰りたくなるほどです。評判を落とした後で、衆院解散の前に内閣総辞職をし、自民党が新政権下で浮揚しようとしているのかもしれません。
どちらにしろ、福田政権で自民党は選挙を戦えないでしょう。今回、大阪府知事選は知名度選挙でしたから勝利できても、国政選挙は政権がとってきた政策、説明がそのまま票に結び付きます。自民党が揮発油税の問題でブリッジ法案などを提出すれば、この流れが顕著になるのかもしれませんね。
analyst_zaiya777 at 22:51|Permalink │Comments(2) │TrackBack(0) │clip! │政治 | 一般
2008年01月27日
雑感、日本の政治はサルカニ合戦?
大阪府知事選で、弁護士でタレントでもある橋下氏がトップ当選を果たしました。二位以下を大きく引き離しており、自公両党の党本部からの支援がない中、自民党府連推薦、公明府本部支持と知名度が有利に働いたのでしょうね。
米国大統領予備選で、サウスカロライナ州で民主党のオバマ氏がクリントン氏に勝利し、2勝2敗のタイに持ち込みました。事実上の一騎打ちですが、民主党候補に選ばれた人物が次期大統領と目され、政策論争と中傷合戦で公開討論会は大変面白いものとなっています。
しかし日本でこうした政策論争を期待された党首討論の場は全く低調で、見るべき価値のないものになっています。二大政党の党首がともに陰に籠もるタイプであり、火花を散らして自説を主張するほど、戦闘的なタイプでもないことが影響しているのでしょう。当然、大連立の話が裏側に燻っていることも多分にはあるのでしょうが…。
面白い話を聞いたので、少し紹介しておきます。今の日本の政界はサルカニ合戦だというのです。サルはカニのもつ参院多数と、大連立を交換することを提案します。カニは大連立を持ち帰って庭に植えようとしますが、ウスやハチやクリに否定されて、それを返してしまったというのです。その実がなっても僕らには取れないよ、といわれて…。
この話の裏には参院多数という『実利』と、大連立という『将来の展望』を秤にかけたところが、サルカニ合戦とそっくりというものがあります。将来、痛い目を見るのがサルなのか、カニなのかは分かりませんが、政界では実をつけるまでにトップは交代してしまうことも多いものです。
先の米国の話ではありませんが、同じ党内で切磋琢磨して代表の座を勝ち取り、それで他党と戦うという風土が日本にはありません。政策でもイメージ戦略でもなく、派閥の調整で全てを決してしまうからです。このため日本では戦術、戦略をねる側の人間は評価されないか、評価されても低いものに留まります。ブレーン機能の低さ、これは日本において顕著な傾向です。
トップはビジョンを示し、ブレーンがその実現のために動く。今の日本にこの機能をもつ政党は存在しません。残念なのは、それがこの国の行方を暗くし、将来を悲観することにも繋がることです。少子高齢化社会を迎え、この国がどういう形を示していくのかをもう一度示すことが今、必要なのですけどね。
analyst_zaiya777 at 23:07|Permalink │Comments(2) │TrackBack(0) │clip! │政治 | 一般
2008年01月26日
福田首相がダボス会議に出席
福田首相がダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)に出席しています。世界経済の減速に関して世界が協調行動をするよう提案すること、ポスト京都議定書の枠組み作りについて、国別総量目標の策定を導入するよう表明することが今回の出席の目的となっています。
7月の洞爺湖サミットに向けた日本の意思表明の場ですが、世界全体で20年までにエネルギー効率を30%改善、そのための日本の技術支援を打ち出しています。ただ京都議定書の基準年の見直しを持ち出しましたので、これがトーンダウンと受け止められると、サミット議長国が主導権を失うことになります。また5月に横浜で開かれるアフリカ開発会議(TICADIV)に向けての提言も盛り込んでいます。
戦略上、京都議定書の達成目標に疑義が生じていますので、日本が基準年の見直しを提案することは間違いではありません。ただし京都議定書は日本が取りまとめた経緯があり、出来ませんから見直して下さいではスジが通らず、代償は求められる形となります。要旨をみる限り、どうやら官僚が作成した台本のようですが、これでは国際的な信頼もなくしてしまいそうです。
福田政権が発足後四ヶ月が経過しましたが、戦略が足りないと思われる部分が散見されますが、その一つに消費者庁の創設があります。官の側にとっては縦割り行政を見直し、横断的な組織を一つ立ち上げることは大英断なのでしょうが、消費者という言葉には国民への訴求力がありません。消費者庁という言葉自体は間違いではありませんが、やることが正しくても政治にはイメージが大事だ、という考えが官僚にはないのです。
これは『低炭素社会』という言葉にも見えます。これが世界的に通用した言葉の直訳でも、低炭素という言葉は低消費にイメージされ、経済的に見ればマイナスでしかありません。経済活動には必ず二酸化炭素の排出が伴いますから、ここは抑制か低排出、もしくは循環という言葉を用いて、国民を誘導していく方が良いでしょう。
このダボス会議には竹中氏も出席していますが、空席や途中退席も目立つそうです。日本の提案は世界に向けて訴えかけるものがなく、実行の伴わない空論にしか聞こえないのでは、ますます日本は見捨てられることになるでしょう。世界経済の減速に、世界的な協調を訴えるばかりで自らは動けない国。ダボス会議における地位の低下も、こうした日本の態度に起因しているはずです。今一度、この国の在り方を見直してみる必要があるのかもしれませんね。
analyst_zaiya777 at 23:10|Permalink │Comments(0) │TrackBack(0) │clip! │政治 | 経済
2008年01月25日
12月消費者物価指数が上昇
まず、日経平均が13500円を取り戻しました。23日から世界には急速に楽観論が広がりましたが、22日のFRB緊急利下げの影響ではないようです。この背景には、モノライン会社への支援検討があり、29、30日に開催されるFOMCで0.5%の利下げが織り込まれたことがあります。
モノライン会社が破綻すれば世界経済の底が抜けることは明らかです。保証された証券化商品はこの会社の破綻とともに保証のないジャンク債に陥り、それに伴う損失計上は世界でこの商品を保有する全金融機関に及びます。当初、州当局が支援を協議したのは銀行などであり、その後市場には大物投資家、ファンド、公的資金の投入など様々の名が挙がっては消えています。
一部メディアでも報じられているように、金融保証保険会社は数兆$規模の保証を行い、その損失はすでに数千億$に及んでいるため、救済不能である可能性も高いようです。各金融機関でも、誰かが補填しなければ間違いなく世界が大混乱することは分かっていても、返済不能で焦げ付き確実なモノライン会社へは、中々支援の手も伸ばし難いのかもしれません。
短期的にはこの辺りの動きが流れを変えることになります。早ければモノライン救済策のまとまりによって、もしくは30日のFOMCで、市場の期待値にのるかどうかです。13500円は節目として重要なポイントであり、この水準までは買い方が必死に戻せても、ここから上に行くには新たな材料が必要です。逆に期待値に届かない時は売り込まれることもあるので、注意していることが必要でしょう。
そんな中で、12月の消費者物価指数が前年比0.8%上昇し、非常に高水準で物価の上昇を示しています。しかも指数を押し上げたのは燃料費や食料品であり、家庭用耐久財の下落で指数を押し下げられていますが、体感的な物価高騰は消費マインドを冷やす水準まできています。
更に電気代、ガス代の値上げが決まり、今後は小麦の卸価格も上昇しますので、物価高が更に進むことは規定路線となっています。政府はこの時、便乗値上げを監視する発言をすべきですが、そう出来ないのは企業も燃料高、穀物価格上昇の煽りを受けてのことというのが自明だからです。つまり今回のインフレは悪いインフレであり、経済を冷やす効果の方が高くなっているのです。
そんな中で春闘が始まりますが、すでに7-9月の企業収益に翳りも見えており、これが10-12月期にどうなるのか?第3四半期の業績開示が始まりますが、非常に気懸かりな部分です。賃金上昇を伴わないインフレ、日本経済はもっとも苦しい局面に入っているのかもしれませんね。
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