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http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20080128-OYT8T00695.htm
原油高騰で離島民悲鳴 大型漁船手放す/ガソリン180円
レギュラーガソリンが1リットル当たり180円前後の奄美市。客からは「この価格はきつい」との声も。
「ひるぎ号」から借りられる上限の5冊を抱える子どもたち(奄美市住用町で) 原油価格の高騰が収まる気配が見えない。一部業界だけでなく、一般市民の生活にも負担が重くのしかかるようになり、国会ではガソリン税の暫定税率存廃を巡る攻防が激しさを増している。輸送コストがかかるためガソリン価格などの上昇幅が特に大きい県内の離島で、増え続ける負担に耐える住民の姿を追った。(高橋幸子)
■漁業者は死活問題
カツオ漁で知られる名瀬漁協(奄美市)は、昨年12月上旬までに、所有していた94トンと60トンの大型カツオ漁船2隻を手放した。原油価格の高騰に伴い、消費燃料の少ない20トン未満の漁船を漁の主力に切り替えるためだ。
キハダマグロの一本釣りに使う5〜10トン未満の漁船でさえも、1回の航海(約1週間)で約600〜800リットルの重油を消費する。2005年は1リットル当たり40円前後だったが、現在は約2・5倍の100円前後となり、漁に出る回数を減らす漁船が増えているという。
久保良蔵組合長(71)によると、組合員たちは、燃料代を抑えるため漁場の情報を吟味したうえで漁に出るようになった。それでも、水揚げから、燃料代を差し引くと赤字になる。久保組合長は「高齢の漁師からは『漁しかできない。どうしたらいいかわからない』と相談を受ける」と明かす。
■節約、工夫も限界
石油情報センターによると、県内のレギュラーガソリンの平均店頭価格は1リットル当たり158・4円(21日現在)。奄美市街地のガソリンスタンドは180円前後とさらに20円ほど高い。
同市内のタクシー業界ではここ数か月間、毎月数十万円単位で経費が増えている。運転代行業者も、必要な時以外はエンジンを切っているといい、ある業者は「信号待ちでも切らなければならなくなる」と漏らす。
離島の重要な足であるフェリーも痛手を受けている。鹿児島市と奄美群島・沖縄を結ぶマルエーフェリー(鹿児島市)とマリックスライン(同)の2社は昨年11月から、燃料費の負担分を運賃に上乗せする燃料油価格変動調整金制度を導入。旅客は400円、乗用車は2000円上乗せした。
龍郷町赤尾木でスーパーマーケット「ストアーテル」を営む里信海さん(58)は週6日、町内や奄美市北部に車を走らせ、「移動スーパー」を開く。田舎の高齢者にとっては生活に欠かせない存在となっているが、里さんの1日あたりの移動距離は約30キロ。自身の生活費を切りつめるなどして商品の価格を維持している。
奄美市住用町の住用公民館は月6回、移動図書館車を町内の学校や集落に派遣し、本の貸し出しを行っている。公用車割引のあるガソリンスタンドを使っているというが、それでも影響は大きく、運転を担当する市住用総合支所地域教育課の川上嘉通さん(57)は「今後も高騰が続けば、巡回の回数がどうなるかわからない」と話した。
■値下げか、道路か
国会では道路特定財源となるガソリン税の暫定税率を巡り、「ガソリンの値下げ効果がある」などとして廃止を訴える民主党と、道路整備の必要性から維持を主張する自民党が真っ向から対立している。
原油価格高騰の影響が深刻な鹿児島には、道路整備が遅れているという事情もある。伊藤知事は21日の定例記者会見で、暫定税率の維持が必要との見解を改めて表明。奄美市の平田隆義市長も「道路整備は地域住民の生活基盤を整えることであり、財源の確保は大事」とし、「原油高への対応と、暫定税率の問題を一緒に考えるのが間違い。原油高は外国がかかわり、個人ではどうしようもない問題。暫定税率とは切り離し、国がしっかり対策を打ち出すべき」と注文をつける。
ただ、市民にとって現時点で切実な問題となっているのはガソリン価格の上昇で、同市の運送業男性(30)は、「もう島の道路は十分整備されている。それよりガソリンを安くしてほしい」と訴えた。
(2008年1月29日 読売新聞)