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出展 http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/c/23d064a3c03ced8720cdb8377570c0c5
現在の金融市場のヤバサ加減をベテランの金融マンの方が告発されています。
如何にまじめなニポンの機関投資家がナメラているか、良く分かると思います。
政治の世界でアメリカにナメられ、ブンどられているだけではなく、金融の世界でもナメられてブンどられているようでは・・・・・・
イヤハヤ、サブプラでなめられて、ブンどられた挙句、困ったらまたカネまで貸す。
そして、そのカネも金利を値切られた上に返ってくる宛てもないとは・・・・
なお、文中のLiborはロンドンインターバンクレート(シティでの銀行間取引レート)と呼ばれている金利の基準レートです。
それからBPと表示されているのは、ベーシスポイントと呼ばれている金利の単位で100BPが金利1%に相当します。
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「日本は世界のごみばこか・・・」---(債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら)
「日本は世界のごみばこか・・・・・・」
マーケット / 2008-01-25 11:54:23
昨日の世界の珍名につきましてはたくさんの応募(?)を頂きましてありがとうございました。コメントで頂いた分は公開させて頂いておりますので是非ご覧下さい。メールの方は「公開が憚られるような」、しかしかなりマニアックなものもあり、そのうち何らかの方法で公開にこぎつけたいと思います。
さて、少しマーケットも落ち着いたので書きたかったテーマの一つを取上げます。いつものように、誰もマッタク取上げないのでやはりここは私がやるしかない。
このサブプライム騒動のなか、昨年からコンスタントにサムライ債で調達を続けていたシティー。そして突如同じサムライ債で資金調達をしたモルスタ(二年4ヶ月ぶり)。メリルもちろんうわさがありますね。オーストラリアの銀行も予定しておりますな。
このサムライ市場。実はあのエンロンがアメリカで資金調達に苦しんで、もうL+300以上でも資金が集まらなくなったにも拘わらず、このサムライ債でごちゃまんと日本から金を調達したという歴史があります。そしてすぐ倒産した。債券のごみばこ・・・といっていい。
定義としては日本国内市場で発行される外国籍企業の円建て債券をサムライ債と呼び、国内市場ですから100%日本人にプレースされる所がミソ。これに対しユーロ円債というものは海外における円建て債(オフショアーといいます)の発行で、これは日本人以外でも買えます。
さて、そのサムライ。もちろんそれなりに金利を払うならいいですよ。しかし、今回のモルガンスタンレーのサムライ債は4年でLibor+120BP!! というレベル。おーい、400の間違いじゃないのかよ!!
だって、先日CICが出した変形CBは転換期限までの金利はなんと2yr Libor +600BP!! この差はなんでしょうか。債券のごみばこと言われるゆえんがここにあるのです。
もちろん、モルガンのセールスマンは
「向こうは株です。飛んだらゼロですからね。こっちはシニアの債券ですからスプレッドが小さくてもあたりまえでしょ」
と言って売る訳です。理論的にはその通り。
しかし、先方(CIC)は最後に株式転換権をもっており、すべて転換すれば約10%という、首根っこを押さえ込める株数をもつ権利がある。また、通常CBであれば株がスウィートナーの役割を果たすので、実は債券よりむしろ金利が低くて当たり前なのですよ。 本当につぶさない覚悟があるのなら株式は当然スイートナーとして機能するのでその分支払い金利は低くて良い。CICがこれだけの高金利を要求したのは株価の下落まで織り込んでいるからです。
更にこの説明には重大な誤謬がある。
金融機関における株式と債券の位置づけをよく考えた方がいい。一般の製造業なら、倒産しました、株はゼロです、工場や設備を他に売り飛ばして債券を支払いますという経路をたどる。
しかし金融機関で資本金がゼロ、ということは何の生産設備もないので営業不能。国債などの優良在庫がある、と主張するかもしれないが、そんなもの倒産に追い込まれるまでにすべてレポに出して資金調達の担保になってるに決まってるではないですか。飛んだら在庫を含めて資産がゼロというのは当然でしょう。
また、この業種、高いROEを要求されますのであまり無駄なもの(例えば本社ビルとか)を持たない傾向が強い。
また、製造業のような誰かがオペレーションすればすぐ物を作り出す生産設備があるわけではないので、資本がないのだから価値はない。その証拠にエンロン破綻で株も飛んだけど債券も飛んだじゃないですか。1995年に破綻したベアリンングはどうでしたか?? ミルケンのドレクセルは? キダー・ピーボディーとかどうなりました??
金融業は自己資本を含めて資本金が飛んでしまえば何も残らないと言う意味ではデットがエクイティーより保全されているのだと言うのは机上の空論でしかありません。リッキーやリッシン(金融債)が保全されたのは政府が資金を入れたから。アメリカではこれは絶対にない。
また、ドルと円のスワップスプレッドがあります、という線もあるけど、それを考慮してもせいぜい30BPもあればいいところなので、少なく見積もっても400BPは完全にぼられている。だって、それが日本市場の実勢なんだからさ、と開き直られてる訳です。
恐らく(確かめてないけど)セカンダリーでモルスタのドル債を拾ってきてアセットスワップをかければ同じ円でL+600位に仕上がる筈。1990年のシティーが潰れかけたときもそうだったから間違いないと思うよ。(アセットスワップのディーラーの方、コメントくださいね)
要するになめられてんですよ、日本は。なぜみんな黙って買うのか・・・まあ、モルスタの販売力からすれば500億しか売れなかったという見方が出来なくも無いのですが、それにしても500億もこれだけ悪条件で販売できるのだから立派と言えば立派です。それに、サブプライムの損失を発表してから調達しているだけまだ紳士的かもしれませんぜ。
シティーの方は実は昨年も五月雨的にこのサムライ債を発行しており、こちらはもっときなくさい。だって、サブプライムのやられは十分分かっていたはずなのに、「男は黙ってもくもくと」サムライ債を売り続けた訳。
これねー、エクイティーファイナンスなら完全に犯罪です。が・・・サムライに関してはこういうディスクロの基準があいまいなので実情をしらされない買い手は泣き寝入りな訳です。(サブプライムの損失可能性を一切隠して販売したという点については道義的責任は問えるでしょうけどね)。
個人的な意見ですが、そういう意味で日本市場はまるでごみため扱いなので、突然サムライを発行したり、何度もサムライを発行してくる企業は、外国で相手にされない為に苦し紛れに日本で調達をしていると考える方が無難です。つまり危ない。
実際エンロンしかり、シティーしかり。まあ、これを言うと、サムライに限らず、日本に来ているヘッジファンドも本当にいいものはアメリカで一杯になってしまい、クローズされてしまうので、日本でしか金が集められない(程度のもの)と考えるのが妥当だと思いますよ。
ですから、見抜くコツは唯一つ。
ファンドにせよ、債券にせよ、とにかく販売アロケーションに本国の投資家や海外の投資家が最低半分は入っているかどうか見極めること。つまり、サムライ債は100%日本の投資家向けなのでいくらでもだまされる。買っちゃだめな商品の筆頭。
ヘッジファンドでも例えばラリー・ポストのファンドは80%がアメリカ人だからOK。一方他社の同じゾーンのハイイールドファンドは70%が日本向けだったりするので要注意。外資系が持ち込む投信は「よもや、100%日本向けじゃないでしょうね」、と疑ってかかる事が大事です。投資戦略なんか二の次。
日本人向けの商品は「こいつら、何やっても絶対さわがねーから」と思われてますからね。半分アメリカ人が入っていればなにかあったら、彼らのおしりにくっついていけば半分くらいは取り返せるかもしれないね。
事実エンロンのサムライ債はとんじゃったけど、なんと返済順位の低いはずのエクイティー(殆どアメリカ人保有)は激しい裁判の末、かなり戻ってきた。債券の方が安全だなんてのがいざ飛んだら机上の空論だ、というのはこういう事です。
万国の労働者よ、立ち上がれ!! ならぬ 日本の機関投資家よ、立ち上がれ!!
であります。
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