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http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080124/145272/
Stanley Reed (BusinessWeek誌ロンドン支局チーフ)
米国時間2008年1月23日更新「At Davos, the Growling of Bears」
スイスのダボスで始まった世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)は、開幕早々、金融市場の混乱が話題をさらった。
極端な悲観論を聞こうと思えば、簡単に見つけられる。「もはや、米国経済がソフトランディングするかどうかという問題ではない」と言うのは、米調査会社ルービニ・グローバル・エコノミクスのノリエル・ルービニ会長。「今問題となっているのは、ハードランディングがどれだけ激しいものになるのかという話だ」。
こうした悲観論に伴って、米国の政策立案者と金融界と消費者が、世界経済を難局に陥れたという考え方が広がっている。欧州委員会で経済・通貨問題を担当するホアキン・アルムニア委員を急先鋒に、欧州の政治家は米国の浪費を公然と批判している(BusinessWeek.comの記事参照:2008 年1月23日「EU Blames U.S. Spending for Turbulence」)。
ローチ氏曰く、FRBのベン・バーナンキ議長は今、前任者のアラン・グリーンスパン氏が犯した過ちを繰り返す恐れがある。つまり、バブル崩壊後に大幅な金融緩和に踏み切り、結局、新しいバブルを生んでしまうという事態である。
「過去8年の間に我々はたくさんのバブルを経験してきた」。ローチ氏はダボスでBusinessWeek誌の取材に応じて、こう語った。「すべてのバブルが相互に関連している。いずれも無責任な中央銀行が過剰流動性をもたらした結果であり、その先頭を走ったのがFRBだ」。
「FRBは、たかが1日か2日の市場急落で利下げに追い込まれたりしてはいけない」。ローチ氏はこう続け、バブルの問題一掃に手を貸すというFRBのメッセージは、「世界経済を運営するうえで、危険かつ無謀、無責任なやり方だ」と批判する。
弱気市場を語るこうした悲観論がダボスのムードを支配しているとはいえ、必ずしも全員がローチ氏やルービニ氏の暗い見方に同意しているわけではない。実際、熱い議論となっているのは、米国の景気減速が各国経済にどれほどの影響を及ぼすのか、という点だ。
例えば、高度成長を続ける新興国からの参加者は、米国人よりもずっと前向きだ。インドのカマル・ナート商工大臣は会場廊下での立ち話で、「インドは米国を襲い始めたような痛みを全く感じていない」と語った。
世界最大の鉄鋼メーカーであるアルセロール・ミタル(MT)のCFO(最高財務責任者)を努めるアディテヤ・ミタル氏もこの意見に同意し、「インドや中国といった国々はかなり経済的な勢いをつけており、その勢いは衰えそうにない」と話している。
ペルシャ湾岸地域も展望は明るい。「湾岸地域の経済成長は極めて力強いため、湾岸地域における商機獲得をイスラエルとパレスチナの和平合意を促す説得材料にできるかもしれない」。サウジアラビアの有力実業一家を率いるカリド・アリ・レザ氏はこう言う。「イスラエルにとってみると、和平後、イスラエル企業が湾岸地域の富をものにできるということは大きな魅力になる」。
だが、ダボスのきれいに晴れ上がった空の下でも、経済の暗雲を予想するローチ氏の意見の方が説得力に富んでいる。ローチ氏は、世界経済のGDP (国内総生産)成長率が2.5%――世界経済の景気後退の目安として定義されている数字――まで低下するとは思っていないが、今一般に思われているよりも、これにかなり近い数字になると見ている。
また、今年10%以上の成長が予測されている中国経済も、6%まで急減速する可能性があるとローチ氏は警告する。スイスアルプスにいるのは「熊(ベア=弱気)」ばかりで、「ゴールディロックス(注参照)」の姿はどこにも見当たらない。
(NBO編集部注:ゴールディロックスは英国の童話に登場する熊の家に迷い込んだ少女の名前で、その童話に由来する“ゴールディロックス経済”は熱すぎず冷たすぎない理想的な状態を指す)
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