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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu160.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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アメリカの利下げは日本の利上げに等しい効果をもたらす。日米の
金利差が縮小して逆円キャリーが起きて、米国はIMFの管理下へ?
2008年1月23日 水曜日
◆金融政策:死に物狂い策 1月23日 今日の覚書
http://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/e/0d1c259448b186ed94baac4673e04737
FRBは基本金利を0.75%もばっさりやって3.5%にした。1月22日火曜日のことである。この決断が下されたのは緊急政策会議である。次回の定例会議は1月29日と30日の予定だったが、ここでは金利が0.5%引き下げられることが広く期待されていた。世界の株式市場が自由落下を続ける中、FRBは変わりにもっと大幅な、そしてもっと迅速なカットが必要だ、と決断。政治の世界で一週間は長過ぎるかもしれないが、金利引き下げを8日間待つことは、金融市場にとって耐え難い負担だったようである。
悪化し続ける経済展望の陰鬱さは、このような積極的な対策も許すのかもしれない。が、このタイミングは理解不能だ。定例会議まで一週間ほどというところで行われた金利引き下げには、パニックのかほり以上の臭いが漂っている。この決定と共に出されたFRBの声明は、この切り下げを「成長へのダウンサイド・リスク」(6つの短いパラグラフの中で2回も繰り返されたフレーズ)への対応として正当化している。また、住宅と雇用に関する先日の陰鬱なデータにも言及している。それでも、金融政策が支出に影響を与えるまでに必要な時間を考えてみれば、経済ニュースはこの数日間で大して悪化したわけではないのである。この急ぎ方は奇妙に見える。
悪化したのは金融市場のセンチメントだ。FRBは、この一週間の間にドン引きするほど素早くパニック・モードのスイッチが入ってしまった市場を元気付けるために行動したのだ、と結論を出すのは楽陳だ。しかし更なる株式市場へのダメージの懸念が金利切り下げの主な動機だったとすれば、これはウォール街での大規模処分祭阻止には殆ど役立たずだったじゃないか。FRBの発表直後に取引開始した途端、ダウ・ジョーンズは400ポイント以上も下がったぞ。連銀が行動する前についてた下げ幅と大して変わらんじゃないか。
市場が金融政策の緩和をナイス・サプライズと思わなかったのなら、それも当然だったろう。その短い任期の間に、ベン・バーナンキFRB議長殿は定例会議を、FRBの主要政策金利を変更するためだけに利用してきた。一週間前倒しして彼が行動したことこそ、FRBは市場が知らない何事かを知ってるんじゃまいか、などという疑惑を生んでるわけだ。それに、気持ち悪いのはタイミングだけじゃないのである。引き下げの規模だって、安心よりも不安をもたらしている。10年間の任期開始早々に金利を6.5%から1%にまで引き下げたアラン・グリーンスパン指揮下のFRBですら、一度として一度に0.5%以上カットしたことはなかった。
FRBの金利決定委員会に異議を表明したのは、ただ一人だった。定例会議を目前にしてこのような行動が許されるほど状況は悪くない、と主張して、ウィリアム・プールはこの引き下げに反対票を投じた。この主張に誰も意見を変えなかった、という事実は、委員会の連中の殆どが今では経済展望を思いっ切り心配しているか、金融市場メルトダウンの超やばいリスクがあるということだ。FRBが穏やかになるだろうと予測するインフレ懸念は、殆ど後回しにされてしまった。
それでも月末の会議は実施に踏み切ると予測されているし、FRBの委員会が黙って手を拱くためだけに開催されるはずもないわけで。1月30日に更に0.25%が引き下げられるだろう、と先物市場は織り込んでいる。恐らく、市場はそれまで何とかなるのだろう。
◆『サウジアラビアが脅えてドル暴落?』 2007年9月24日 今日の覚書
http://blog.goo.ne.jp/kitaryunosuke/e/7742d671f9d5754e046715da1197e52e
サウジアラビアは初めてFEDと共に金利引下げを行うことを断固として拒絶した。石油資源の豊かなペルシャ湾の王国は、中東全域で怒涛の如きドル離れを引き起こす危険のある動きの中で、ドル・ペッグ制を廃止する準備を進めているとほのめかしたのだ。
「これはドルにとって非常に危険な状況だ」とBNPパリバのカランシー・チーフ、ハンス・レデカーが言った。「サウジアラビアは将来世代基金に$8,000億抱えている。地域全体では$3.5兆が運用されている。インフレの脅威に直面するだろうし、アメリカの不景気用金利政策を輸入などしたくもないのだ」
と彼は言った。サウジアラビア中央銀行は今日、同国への莫大な額の資本流入を阻止すべく「適切な措置」を取ると述べたが、アナリストはこの政策は持続不可能であり、ドル・ペッグ制の崩壊に繋がるのは不可避となるだろうと言っている。
アメリカの近しい仲間として、サウジアラビア政府はこれまでのところペッグ制を守ろうとしてきたが、この繋がりは現在自らの経済を不安定化させつつある。FEDが昨日行った劇的な4.75%への0.5%利下げは、既に世界のドル指数で15年ぶりの値下がりを生じており、強力なユーロに対しては$1.40弱で史上最安値に達した。
現在、世界中の投資家がアメリカ債券市場を避け始めるという危険が高まっている。今週公表された外国人保有に関する最新のアメリカ政府のデータは、米国債総売上を含め、米国債購入が$970億から7月にはたったの$190億へ崩壊したことを示している。アメリカとその他の国々との利回りの差が急速に狭まるにつれて、これが加速するかもしれないという危険があり、経常赤字(今年は$8,500億、またはGDPの6.5%に達すると予測されている)を補うために必要な外資流入を途切れさせるかもしれない。
レデカー氏は、海外の投資家は徐々に米長期国際市場から撤収しており、ドルを短期資金調達に依存させていると語った。この2年間は外国人が、アメリカの信用および短期証券市場の25-30%に資金調達してきた。「儲かれば喜んで金を提供してきたが、こんなに劇的に状況が変わってしまった中で何故リスクをとらなければならない?2008年代1四半期までにドルがユーロに対して$1.50まで下がるという可能性もないわけじゃない」。「アジアで危機が起こったけれどアメリカは景気が良かった、という1998年の状況とは全く違う。今回はアメリカそのものが問題だ」。レデカー氏は、ドルにとっての最大の危険は、下がり続けるアメリカの金利がいずれかの時点で逆円「キャリー・トレード」の引き金を引いて、莫大な額の資金がアメリカから日本に戻るようになることだ、と述べた。
商品取引王でありジョージ・ソロスの元パートナーであるジム・ロジャースは、ドルが既に圧力を受けている時にあれほど金利を引き下げるとはFEDは火遊びをしていると語った。リスクは、米国債からの逃避が殆どのモーゲージ向融資の基本価格を決定する長期金利を押し上げ、不動産市場を更なる危機に陥れるかもしれないということだ。「たとえベン・バーナンキが既にやっているよりももっと速く輪転機を回し始めたところで、我々は深刻な不況に見舞われる。ドルは崩壊する。債券市場も崩壊する。山ほど問題が出てくるよ」と彼は言った。
しかしFEDは、突然のダウンターン・リスクが現在は余りにも大きくドル安の危険性を超えている、と明確に計算している。元FED議長のアラン・グリーンスパンは今週、サブプライム危機がより厳しくなるにつれ住宅価格は「二桁台で」下がるかもしれず、家庭に支出を大幅に削らせるだろうと述べた。
明らかに、ドル・ペッグ制はサウジアラビアにとって障害となった。インフレは4%上昇し、M3は22%で急騰中だ。ペルシャ湾岸の別の地域では、その圧力はもっと悪い。UAEの現在のインフレ率は20年ぶりに9.3%となった。カタールは13%に達している。5月、クウェートはドル・ペッグ制を破棄する最初の石油王国となった。過剰なマネーサプライの伸びを抑え付け始めている動きだ。
(私のコメント)
アメリカにとっての最重要同盟国はサウジアラビアと日本なのですが、それは地政学的にも重要な位置を占めているだけではなく、アメリカ経済を支えているのはサウジアラビアと日本なのである。サウジアラビアは石油産出王国であり湾岸諸国のリーダー的存在である。事実、石油が高騰するたびにサウジアラビアは増産して価格の安定に貢献してきた。
またソ連の崩壊においても石油価格を暴落させる事で経済的に追い込むことが出来たのもサウジアラビアの協力があったからだ。また石油とドルとのリンクに協力する事でドルの基軸通貨制度を実質的に支えてきた。ドルでなければ石油が買えないのだから世界各国は争ってドルを調達して外貨として運用してきた。
このようなサウジアラビアの献身的なアメリカへの協力にもかかわらず、アメリカ外交はサウジアラビアに対して冷淡であり、イスラエルよりの政策を続けてきた。決定的に悪化したのは911テロ事件以降であり、アメリカの対サウジアラビア外交は悪化した。それまではサウジアラビアの駐米大使は特別な待遇を受けていたのですが、911テロによる見舞金すらつき返すほどアメリカは冷淡になった。豊富なオイルマネーもアメリカに還流させてアメリカの消費経済を支えてきた。
アメリカはドル基軸通貨制度の特権をフルに使って利益を享受してきた。ドルが長期的に安くなっても湾岸産油国や中国や日本がドルを還流させている限りは、アメリカは金融大国としてマネー戦略を実施する事ができた。アメリカのマネー戦略とは中国などの新興国に集中的に投資をして成長リターンを得る事で金融帝国となることだ。
サウジアラビアがオイルマネーを供給すれば、日本もゼロ金利政策で世界に低金利のマネーを供給し続けてきた。オイルマネーは産出する石油に限りがありますが、日本が供給するマネーは日本の産業力が担保になっているからオイルマネーのような波がない。
アメリカが1%という超低金利政策による住宅バブルで消費経済は爆発的に拡大してアメリカは世界の消費を一手に引き受ける事ができた。中国などの新興国もアメリカからの金融投資によって生産設備を整えて世界の工場となりアメリカに格安の商品を輸出して経済発展してきた。
しかしその仕組みにも転機がやってきた。そのきっかけの一つが日本の日銀がゼロ金利を解除した事で0,25%づつ二度にわたり切り上げられた。その度に円キャリーの逆流が起きて世界同時株安が発生した。しかしまだ0,5%の水準であり日本経済が低迷している限り超低金利は続き、日本からの資金供給が続くと思われてきた。
ところがアメリカも金融を引き締めてインフレ予防に乗り出して、日銀もゼロ金利か解除して金利を上げ始めた。それは特に問題ではなかったがサブプライムローンが焦げ付きはじめてCDOの流通がストップしてしまった。もともと信用度の低い証券のはずなのに格付け会社が高く評価して、アメリカの金融機関も様々なファンドに入れ込んで販売してしまった。
サブプライムローンの残高自体はたいしたことはないが、多くのファンドに紛れ込んでしまった為に評価損の正体が分からずに銀行同士でも疑心暗鬼になり信用不安まで生じはじめている。不良債権の実態すらまだつかめていないのだから公的資金の出動もままならない。プライムローンの住宅の値下がりも広がりはじめて、まさに90年代に体験した日本のバブル崩壊がアメリカで起き始めたのだ。
アメリカ政府やFRBは様々な手を打ち始めましたが、信用不安が収まるだろうか? アメリカの株価の動きを見る限りでは収まったようには見えない。最悪の場合にはドル自身の信用不安にも影響が及んでくるだろう。バーナンキは大幅に金利を下げましたが、それによってドルに連動している通貨国のドル離れが加速するだろう。そうしなければインフレが国内に蔓延してしまうからだ。
日本におけるバブル崩壊は公的資金注入で収まりましたが、アメリカの金融機関はは海外から資金を受けて資本を充実させている。中央銀行からの資金とは違って高金利であり15%で借りている。まさにサラ金並みの金利でありアメリカの金融機関は生活破綻者並みの信用度になってしまった。これが世界に誇る金融テクノロジー大国の末路なのだ。
アメリカ経済の舵取りは非常に難しくてバーナンキは金利低下に大きく舵を取りましたが、インフレがひどくなりドル安が本格化して長期金利が急騰して株が暴落して、本格的な大不況がやってくるかもしれない。アメリカは毎年100兆円近くもの海外からの投資に頼っている。しかし低金利になれば逆にアメリカからマネーが逃げて行く。まさにバーナンキはエンジンの逆噴射をしているのだ。アメリカこそIMFの管理下において構造改革しなければならない。