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『無法バブルマネー終わりの始まり』 松藤民輔:著 日本の金融機関は労せずして、欧米の金融機関に「不戦勝」してしまった
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投稿者 TORA 日時 2008 年 1 月 17 日 16:42:04: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu160.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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『無法バブルマネー終わりの始まり』 松藤民輔:著 日本の金融
機関は労せずして、欧米の金融機関に「不戦勝」してしまったに等しい。

2008年1月17日 木曜日

◆「無法バブルマネー終わりの始まり」 松藤民輔:著
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=R0308686

ゴーストタウン化が始まった!

いま、金融機関ばサププライムローンによる融資どころか、プライムローン(なんの延滞もない健全顧客向けのローン)にまで融資をストップしている。年収五〇〇〇万円を超えるリッチな顧客向けのジャンボローンですら、新規融資は止まったままである。それほど過剰反応している、ということだ。

当然、住宅を販売しようにも売れない。新築住宅の適正在庫期問は四ヵ月なのだが、いまや延びに延びて一〇ヵ月である。中古住宅マーケットはさらに"塩漬け〃状態である。ロサンゼルスでわたしが見たように、売れない在庫が溜まると、それはそのまま地域一帯がゴーストタウン化することにもつながっていく。地域の治安、安全という観点でも、すぐに解決すべく取り組まなければならない重要な問題であるのだが、手の打ちようがない。

「サブプライムローンの利上げを今後五年問凍結する」とブッシュは発表した(一二月六日)。残念ながら焼け石に水にすぎない。債務者の多くは安く買って、高く売る転売時の利ざや稼ぎのためにサブプライムローンを契約したのだ。よりよい住生活を満喫するためではない。

これだけマーケットが冷え込んでいると、おいそれと住宅を販売したり、転売できるとは考えにくい。当然、延滞率のさらなる上昇は避けられまい。元本はもちろん、利息だって支払えない。仮に一〇年凍結されたとしても、効果は薄い。それよりも融資した資金が回収できなければ、金融機関(=住専)はどうなるのか? もちろん、すべてが不良債権化し、破綻してしまうことになる。

シティがとりわけ大幅な損失を被っているのは、この債務担保証券(CDO)について、自己投資分(「プロップトレーディング」という)のほか、投資家向けの販売在庫を抱えているため、予想外にロスが膨らんでしまったからである。CDOは価格変動が激しいうえに、相対取引(一対一の取引)のため、価格形成過程も不透明きわまりない。「本当の価値を評価できる人は少数」(銀行関係者)といわれるほどで、アメリカの金融機関では、ほとんど格付け会社の信用格付けをべースに価格を計算しているにすぎなかったのである。

メリルの巨額損失を皮切りに、大手格付け機関のムーデイーズ・インベスターズ・サービスが大量のCDOを格下げしたことが、じつはシティの評価損をさらに膨張させることになった。いわば、CDOの格下げが金融機関の評価損を拡大し、評価損の拡大が経営を圧迫し、経営の圧迫がさらにCDOの格下げを招いてしまう、という負の連鎖(悪循環)が欧米の金融機関を襲ったのである。

さらにシティの場合、懸念すべきことが一つある。それはオフバランス(簿外)のSIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)という運用会社が大量の住宅関連証券を抱えている場合、当局(アメリカ証券取引委員会)はこれを銀行本体の財務から切り離さず、連結対象にするかもしれない、という問題だ。もしそうなったら、資産が数百億ドル(数兆円)という規模で増えることになるから、自己資本の積み増しが必要になってくる。

今後、これらの証券についてどういう判断をするか、政府介入による救済となるか(おそらく、口先だけの介入)、シティならずとも固唾を飲んで注目しているのが現在の金融機関の実情であろう。

「クレジットクランチ」の恐怖

アメリカの住宅ローン会社が経営破綻やリストラに追い込まれている。すでに一〇〇社が新規貸し出し停止、破産を申請せざるをえなくなり、数万人という単位で従業員が解雇されている。

日本人なら思い出すはずだ。右肩上がりのどきは、住宅(不動産)を担保に銀行はいくらでも融資してくれた。ふつう、融資は物件相場(時価)に対して七掛けの七掛けである。たとえば三〇〇〇万円の不動産なら、三〇〇〇万円×○・七×○・七で、一四七〇万円が適正融資額とされる。ところが、バブル期にいたっては、値上がり率が一〇パーセントなら、時価ブラス値上がり額の総額を融資していたのである。つまり、三〇〇〇万円の不動産には三三〇〇万円融資してくれたのだ。

かたや一四七〇万円、かたや三三〇〇万円。この融資力ともいうべき銀行経営の見識の差が、そのままバブル崩壊後の銀行生き残りを左右した。三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)が生き残れたのは、バブル最盛期でも「バンカーの物差し」が揺らぐことがなかったからであり、一方、消えた銀行は、ブームに踊ってしまって自らの物差しを見失った結果にすぎない。そのときは小さな違いかもしれないが、「経営」においては、このボタンの掛け違いがあとあとになって大きく響いてくる。

さて、住宅ローン会社の経営が悪化したのは、なにより銀行や投資家が、それまで認めていた住宅ローンを今度は担保として認めなくなってしまったからである。いわゆる、金融機関のは「貸し渋り」が始まったのだ。近々、「貸し剥がし」も展開されるはずだ。いや、もうすでに始まっているのではなかろうか。

従来、ローン会社は、ローン債権や証券を担保に資金を借り入れたり、社債を発行して資金まかなを賄っていた。だが、これもサブプライム債による「クレジットクランチ(信用収縮)」で吹っ飛んでしまった。金融機関同士で資金を融通し合う「インターバンク」ですら、疑心暗鬼でフリーズしているのだ。無理もない。

アメリカの金融マーケットは、住宅ローン証券(七〇〇兆円)、社債(一〇〇〇兆円)、国債(四〇〇兆円)などの債券市場が五〇〇〇兆円分もあり、株式市場はその半分くらいしかない。

アメリカ最大手の住宅ローン会社カントリーワイド・フィナンシャル社など、一年という短期間に返済期限が来る負債が六〇〇億ドル(七兆円)と全体の三割を占めるのに対して、現金は一一億ドル(一二六五億円)しかなかった。社債発行ができず、四〇行もの銀行団から一一五億ドル(一兆三〇〇〇億円)の資金を融通してもらって、なんとか事業を継続することができた。融資の前日まで、「倒産か!」という噂がまことしやかに流れていたものである。NYダウ暴落の翌日(八月一七日)、FRBは公定歩合を○・五パーセント引き下げて五・七五パーセントにしたが、じつは、「カントリーワイド社を助けるため?」というのが金融市場でのもっぱらの話だったのである。

全米の住宅ローン市場の一三パーセントものシェアを持つ最大手であっても、サブプライム債を発火点とする「クレジットクランチ(信用収縮)」の前には無力であったといわざるをえない。

カントリーワイド社は"輸血"で命を取り留めたわけだが、もう一つの大手住宅金融専門会社アメリカン・ホーム・モーゲージ・インベストメント社は、資金調達難に陥ったまま、八月六日に廃業(倒産申請)している。住宅業界ならいくらでも融資してくれた時代とは様変わりである。これが「クレジットクランチ」の怖さなのだ。

いったん「クレジツトクランチ」が始まってしまうと、どんな優良顧客でも、ローンは組めなくなってしまう。そして、現金での購入者以外に住宅が売れなくなってしまえば、もはやビジネスとして成立しない。住宅産業は青息吐息だ。ここまで来てしまった以上、ブッシュの戦略も破綻せざるをえない。そればかりか、アメリカ経済そのものが完全に失速してしまう。(P56〜P61)

日本がラッキーなこれだけの理由

不幸中の幸いというか、日本の場合、メガバンクは公的資金注入によって身動きがとれず、サブプライム関連商品はその六パーセントを保有するにとどまっている。

少々個別に見ると、野村ホールディングスが一〜九月期で一四五六億円の損失を計上し、みずほ証券は九月期中間決算で二六〇億円のサブプライム関連損失を発表した。下期にも追加ロスが発生しかねないからか、二〇〇八年一月に予定していた新光証券との合併を五月七日に延期することとなった。

また、滝野川信用金庫は七三億円のロスを出し、九月中間期は最終赤字としている。あいおい損保は、サブプライム債を組み込んだデリバティブで九月中問決算で二五二億円の評価損を計上する、と発表した。

あいおい損保が購入したのは、資産担保証券(ABS)をさらに束ねた債務担保証券(CD〇)であり、九月末で一一一四億円分を保有しているとのこと。ほかに証券化商品に投資するファンド(SIV)が発行した債券も四〇億円分保有しているが、こちらは評価損を計上しない。なぜなら、CDOを売却せずに満期まで持ち続け、格付けが高く維持されれば元本割れリスクは小さくなる、という判断だからだ。、評価損を吸収しても、業績が好調なために傷は少ない。連緒経常利益は一〇二億円と上方修正しているほどだ。

さすがに株安、円高を背景にした国内の投資信託の成績は急速に悪化してしまっている。海外の不動産投資信託(REIT)はサブプライム問題の影響をダイレクトに受ける。とくに海外REITで運用する投信の落ち込みは目立つ。下落率がいちばん激しかったのは「ワールド・リート・オープン」で一五・八パーセント。八月一六日までの一ヵ月半で、過去一年間の上昇分をすべてご破算にしてしまうほどの落ち込みだ。

しかし、わたしは日本企業の場合、どれだけ損失を出そうが、サブプライム問題についてはびびそれほど心配しないでいいと考えている。メリルリンチやシティに比べたら微々たるものだ。日本のメガバンクなど、金融の中心部はなんの心配もいらない。

もし、これがバブル期に遭遇していたらと思うと、恐怖のあまり卒倒しかねない。あの〃イケイケドンドン"の雰囲気の中で狂乱していた日本人のことだ。二一世紀中には、とても復活できないほどのダメージを受けていたと思う。それを考えれば、日本は”ついている”と思わずにはいられない。

しかも、アメリカと違って、日本人の金融資産は一五〇〇兆円もある。世界最大の「国富フアンド」といってもいい。海外に資金を移そうという資産家も稀有であり、バブル経済のピーク時でも金融機関や不動産、ゼネコンなどのプロ以外の一般市民は投機に手を出さなかったばかりか、ゼロ金利時代を通じてさらに資産を増やしてしまう国民である。

今後、欧米の金融機関は、かつての日本の銀行がそうであつたように、しばらくは身動きがころとれないはずである。勝手に投機して、勝手に転んで、勝手に沈んでいく。この間、日本の金融機関はなにもしなかった(できなかった)。労せずして、欧米の金融機関に「不戦勝」してしまったに等しい。(P78〜P81)


■松藤民輔氏(株式会社ジパング代表取締役)略歴
 1955年福岡生。明治大学卒業後、日興證券、メリルリンチ、ソロモン・ブラザーズで年収2億円(当時)の敏腕セールスとして活躍。日本のバブル崩壊を読み切り、投資の主役は「ペーパーマネー(株式、債券)」から「ゴールド(金現物)」の時代に移ると予見。95年に株式会社ジパング設立。2005年にアメリカ・ネバダ州の金鉱山を買収。日本第3位の金鉱山オーナーとなる。
 世界的な投資家・ファンドマネジャーと公私ともに親しく、『英エコノミスト』誌に「この10年間でいちばん注目すべき日本人」と紹介される。
 10/19放送『ガイアの夜明け??マネー動乱』(テレビ東京系)に出演。著書にベストセラーシリーズ『アメリカ経済終わりの始まり』『世界バブル経済終わりの始まり』、最新刊に『無法バブルマネー終わりの始まり』(いずれも講談社)がある。


(私のコメント)
日本の株式はかなり売り込まれていますが、円高によって外人投資家にとって売りやすくなっているためだ。円高といってもユーロなどと相対的に見れば円は90円台でもおかしくはないはずだ。だから円高で輸出企業の採算が悪くなるから売られているのではない。ヨーロッパや中東などへの輸出で採算はいいからだ。中国の元も徐々に切り上げてきているから円高ではなくドルの独歩安が実態なのだ。

ドルの独歩安の原因はアメリカのいわずと知れたサブプライムがらみのクレジットクランチが原因なのですが、アメリカの大手金融機関の内情が今どのようになっているか世界中が疑心暗鬼になっている。しかし日本人なら誰もが体験してきた事だからある程度は推測できるのですが、松藤民輔氏のようにかつてメリルリンチやソロモンで働いてきた人なら推測が出来る。

私もかつては銀行員だったからバブル時代のイケイケムードはわかる。私は仕事をしながら銀行はこんなことをしていて良いのだろうかと支店長などに意見を具申した事がありましたが、金融情勢や経済情勢に疎い人たちばかりで会社の外の世界が分からぬ井の中の蛙のような世界だった。しかし金融の世界で生きていくには情報分析力がないと生きていけないのに、銀行員達はノルマを達成する事しか関心がない。

本当に有能なビジネスマンなら会社を辞めても一人でやっていけるから私も銀行を辞めたが、私のいた銀行は今や影も形も無い。確かにバブル当時の土地神話は誰もが疑わず焦げ付いても担保の土地や建物は右から左に売れた。だから不動産融資は質よりも量でビジネスが出来た。しまいには貸し出しノルマまで出して銀行は貸し出し競争に走った。私は客に対して今は止めた方がいいとアドバイスして後に感謝された記憶がある。

このような状況で三菱銀行だけは融資限度額を守っていたからこそバブル崩壊でも経営破たんせずにすみましたが、バブル当時は土地でありさえすれば担保になって銀行からいくらでも金が借りられたし、銀行の方から土地を斡旋して買わせたりしていた。まさに当時は土地は宝物のようであり、国鉄の跡地ですら売り惜しみをしていた。

これと同じような現象がアメリカやイギリスやスペインなどで起きていたことであり、住宅ローン会社や金融機関は証券化ビジネスなどでリスクを転売できるのだからこれほどおいしいビジネスはなかったようだ。シティなどが巨額な評価損を計上したのは販売在庫がそれだけ大量にあったということであり、他の金融機関も多額の評価損を抱え込んでいるはずだ。金融機関よりもファンドの方が大量のサブプライムがらみのCDOを持っているはずなのですが、それはまだまだこれからの話だ。

松藤氏によればアメリカもバブル崩壊で住宅ローンがストップ状態であり、資産家向けのローンですら出ない状況ではまさにクレジットクランチが起きている。金融機関も資金の手当てが出来ずに社債の起債すら出来ない状況だ。日本の銀行もバブル崩壊で不動産と聞いただけで融資の話は断られて、私の不動産ビジネスも開店休業になってしまった。不動産にしてもCDOにしても銀行にとっては買い手がなければ価値はゼロなのだ。

日本の銀行はハゲタカ外資に不良債権の担保を二束三文で売らされましたが、今度はアメリカの不良債権の担保物件を日本が買い占めるチャンスがやってくる事だろう。アメリカのバブル崩壊はまだ始まったばかりであり、欧米のこれから10年から20年は「失われた時代」になるだろう。日本は実体経済がしっかりしていたから耐え抜く事ができましたが、アメリカは金融と不動産しか産業と呼べるものがない。その二つが駄目になったらアメリカは農産物しか売るものがない。

日本は奇跡的にサブプライムがらみのCDOなどに手を出す事が無くバブル崩壊の波に飲み込まれることを免れた。一般国民もこのような高利回りの金融商品には手を出さなかったから1500兆円も金融資産は無傷だった。この1500兆円の日本の金融資産が世界経済を救う事になるだろう。確かに中東の産油国や中国のバブル成金はまだ景気はいいですがアメリカがおかしくなれば一蓮托生だ。

松藤民輔氏の「無法バブルマネー」の本はサブプライムの事ばかりでなく、中国経済やロシア経済の今後の見通しなども書いてある。中国も元の切り上げと狂乱インフレでバブル経済の化けの皮が剥がれる時も近づいている。ペトロチャイナの時価総額が世界一といっても流通しているのは2%ほどであり、この2%を吊り上げれば政府保有分も含めて計算すれば世界一になる。まさに上海の超高層ビルと同じであり中国の虚像なのだ。その化けの皮が剥がれるのがバブル崩壊だ。

米中バブル経済崩壊で共倒れの時はすぐそこに迫っている。日本はこの大波に飲み込まれないように慎重に行動する必要がある。インチキな経済評論家やエコノミストに騙されてはならない。「株式日記」を書いている私や松藤氏のような実際に経済活動をしている人で無いと本当の経済が分かるわけが無いのだ。学者や新聞記者のような耳学問では裏の裏が分からない。


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