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2兆円超…整備新幹線への「風圧」、選挙で強まる
1月8日21時49分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080108-00000934-san-pol
■ルール無視なら財政再建に逆行
次期衆院選を控え、与党内で整備新幹線の未着工区間の早期着工を求める声が強まっている。政府・与党の整備新幹線検討委員会は昨年末、北海道、北陸、九州の3路線の未着工区間について、今年度内に建設財源の確保にめどをつけることで合意した。だが、2兆円を超える巨額の建設財源を確保するめどは立っておらず、今後の展開次第では財政再建に逆行するとの批判が出かねない。(橋本亮)
■国交省に“圧力”
整備新幹線の議論が活発化した背景には、衆院選を控え、未着工区間を地盤とする国会議員らから早期事業化を求める声が強まったことがある。
安倍晋三前首相が昨年夏の参院選で検討委員会設置を約束したこともあり、自民、公明両党の整備新幹線建設促進プロジェクトチームが昨年11月、北海道(札幌−新函館)、北陸(金沢−敦賀)、九州(武雄温泉−長崎)の3路線の整備、並行在来線の支援を政府に要請し、政府・与党一体での議論に発展した。
国交省は当初、「選挙向けのポーズ」とみてこれらの動きに傍観の立場をとっていたが、勢いづく国会議員から「国交省も『しっかりやれ』とギリギリやられた」(国交省幹部)ため、対応せざるを得なくなった。
■具体策なく
平成16年の政府・与党申し合わせでは、新幹線の新規着工を決める際の5原則を設けた。
安定した財源と採算性の確保などに加え、並行在来線のJRからの経営分離、地元自治体が同意しなければ着工は認められない−などだ。特に財源については、膨大な旧国鉄債務を招いた反省や、なし崩し的な着工を防ぐため、原則として借り入れをしないことになっている。
3路線の未着工区間の整備には約2兆円が必要で、与党内には着工済みの整備新幹線の完成後にJR各社が受ける波及効果を利益に換算した「根本受益」を財源に充てる案なども浮上した。
しかし、JR各社は「合理性を欠き、株主の理解は得られない」(JR西日本)などと、負担を強いられることへの警戒感が強い。
与党からの風当たりが強い国交省の担当者は「(具体策は)現時点ではないのが正直なところだ。政治家は『決まって万歳』で済むが、後のことはわれわれが責任を持たなければならない」と八方ふさがり状態だ。
■長崎ルートなし崩し
そんな中、沿線自治体の反対で凍結されていた九州新幹線長崎ルートに関し、長崎、佐賀両県とJR九州が昨年12月17日、JR長崎線の並行在来線区間を経営分離せず、JR九州が運行を継続することで合意、19年度内にも着工する見通しとなった。
16年の政府・与党の申し合わせでは、並行在来線を第三セクターなどに経営分離する場合、地元自治体の同意が必要としている。沿線2市町は地元が経営した場合の負担増などを理由に反対していたが、JR九州が運行を続けるため同意が不要になった。
だが、合意は、新幹線開業後の並行在来線の運行で見込まれる赤字のうち、半分以上をJR九州が背負うというもの。新幹線開業で並行在来線の赤字を上回る利益をあげなければ、JR九州の経営を圧迫する。政府・与党はこの合意を認める方針で、「並行在来線の経営分離」という原則は骨抜きにされかねない。
財源についても、与党内には「後で考えるべきだ」との意見もあり、着工を急ぐあまり原則をねじ曲げ、不採算路線の延伸に歯止めがきかなくなるとの懸念もある。
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最終更新:1月8日21時57分