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2008年01月06日
経済の話。米雇用統計の悪化
年初から経済が注目される一年も珍しいことです。4日に米国で発表された雇用統計で1万8千人の増加、失業率が5.0%と0.3%も上昇したことで、米景気の減速懸念が年初から台頭する形となりました。原油上昇に伴うインフレ懸念と共に、米国に漂う景気減速懸念が今後も付き纏いそうです。
米国経済を考える時、サブプライム問題はきっかけでしかなく、景気全体としてみれば信用収縮、雇用情勢の悪化に伴う消費動向の推移が危惧されるところです。実態として信用市場は危険水域で推移しており、複数の金融機関が破綻してもおかしくない水準です。それを当局が大量に資金供給をして、破綻懸念を払拭しているのが現状です。
雇用統計もブレが大きいものですが、この数値が米国経済の先行指標として使われている以上、注目せざるをえないものです。雇用が鈍化し、失業率が高まれば個人消費の落ち込みが懸念されます。以前も取り上げましたが、クレジットカードもサブプライム同様証券化されており、失業率の上昇は金融機関の破綻懸念を更に強める問題になっているのです。
日本の証券会社から出されるレポートでは、年央からの回復を示唆するものが多くなっていますが、それらも米国から出される次の対策次第という期待値がのったものと考えた方が良いものです。割安の指標として用いられるPERや配当利回りなども、経済が一定の水準を切ってくると、企業業績の悪化により自動的に調整が進むものです。決して不動の数値ではないのです。
現在、私が注目しているのは生産と在庫の水準です。ハイテク関連の下げもきつくなっていますが、DRAM価格の下落に見られる生産過剰の状態がどの程度続くのか?仮にここから在庫が積みあがり始めると、ITバブルの二の舞となり、ドル安局面にあっても生産が進まない状況が米国で起こります。金融機関の破綻懸念と生産調整が同時に進めば、米国経済は深刻な打撃を受けるでしょう。
これらの多くの問題を一挙に解決する策は、米国にもないでしょう。景気刺激策に減税をうち出す算段もあるようですが、減税と緩和、それに弛緩した金融システムで描いてきた好景気だけに、米国がなすべき喫緊の課題は金融システムの再構築だと考えています。
私は昨年も年末まで米国経済の反転は難しい、としましたが、影響を長引かせればダウも10000ドル台に突入する可能性は充分にあります。今年、楽観することは極力戒めるべきであり、有効な経済政策を政治が打ち出せるかは、日米ともに重要となってくるのでしょうね。
analyst_zaiya777 at 23:05|Permalink │Comments(0) │TrackBack(0) │clip! │経済 | アメリカ
2008年01月05日
雑感、政治の動きなどを少し
福田首相が年頭会見で当面の内閣改造の見送りを示唆しました。政治とカネの問題に絡み、身体検査が必要となった閣僚選びの難しさを考慮したと同時に、総選挙時期を睨んで、その後の大連立に含みをもたせた形です。福田カラーを出さない今の状態の方が有利な側面もあり、この辺りは解散と絡んで改造時期も変動することになっていくのでしょう。
暫定税率の延長議論を通常の予算審議より前倒しする方針を自民党が示しています。族議員にとって暫定税率を維持して道路建設予算を確保したいためであり、参院で否決されても衆院で再可決する算段ですが、これは国民理解の難しい話であり、仮に再可決などになれば福田内閣にとって更なる支持率低下に繋がる問題となります。
これは特定財源ですから、道路を使う人のために道路を造るという受益者利益の原則もありますが、これだけガソリン価格が高騰すれば車の利用者が減ることになり、税率維持の根底が崩れる話となります。よほど納得のいく説明を用意しない限り、次の選挙は厳しいことになるでしょう。
福田内閣のメディア戦略は年金問題の再燃で見直しを迫られています。いい加減で適当な発言は官房長官時代から目に付きましたが、年金問題でソレをしてしまったことで、国民の反発を買う結果となりました。しかしこれは福田氏のパーソナルに関する部分であり、修正するのも難しい問題です。
そんな中での年末訪中でしたが、事前の予想通りに成果はなく問題の先送りに終始しました。それでもメディア向けに意義を強調して見せましたが、外交手腕に未だに疑問符がつく福田氏にとって、対中国をより重要視する上でも『中国に強い福田』のイメージ作りは、メディア戦略上も必要なことだったということでしょう。
政治の舞台が以前と比べ、ダイナミックさを失いつつあるのは、小泉氏の功罪の部分です。日本が変わらねば、と国民の誰もが意識した時代から10年近くを経ましたが、変わった部分はほとんどなく、あっても見せ掛けの変化ばかりで、この国は閉塞した状況に陥っています。
2008年は既存の枠組み、仕組みを変える新たな取り組みが必要です。そこに政治が一歩踏み出せるかで、この国の未来図がまた違ったものとなるでしょう。官僚よりの姿勢を示して既得権益の確保に努めるばかりでなく、そうした取り組みに手をつけられるのか?それが福田政権に求められていることなのだと考えています。
analyst_zaiya777 at 23:05|Permalink │Comments(0) │TrackBack(0) │clip! │政治 | 一般
2008年01月04日
経済の話。原油高騰
新年、明けましておめでとう御座います。本年もよろしくお願いします。年初から日経平均は600円以上の下落と、史上最悪の大発会になってしまいました。これはモチつき相場を狙った層の期待値が剥落したことなど、需給面もありますが、やはり原油高、円高、米証券市場の下落という年末から年初にかけての世界の動向の変化が大きいと考えられます。
原油に関しては米国のイラン侵攻がBIS報告書により事実上消滅したことから、一時的に落ち着きを見せていました。しかし年末にパキスタンでブット首相の暗殺、トルコのクルド人勢力への越境攻撃などが報じられ、中東における緊張感が一気に高まり、これを見て投機筋の資金が流入したことにより、再び原油は最高値をとる動きへと変わりました。
一部でOPECの増産を期待する声もありますが、これは平時の原油供給量が問題なのではなく、戦時の原油供給量をどう担保するのか、が解決されない限り抜本的対策とはなりません。中東と南アジアの平和、安定をどう確保するのか、それがより重要な対策となるのです。
米国はイラクで躓き、イランで足踏みし、アフガニスタンで混乱を拡大させ、パキスタンで核の流出懸念という事態に直面しています。米国による対イスラム戦略は悉く失敗したといえ、それがこの地域に混迷を生み、供給不安のために投機筋が値をつり上げているだけではない根拠となり得てしまっています。これが修正されない限り、1バレル100$は簡単に越えてくるでしょう。
これは仮にパキスタンの核が管理不能に陥ったとき、イランの核開発の時以上に世界が軍事介入する可能性が強まったことを示します。開発段階で止める選択肢ではなく、すでに撃てる状態にある核がテロに流出する懸念は脅威でしかなく、パキスタン情勢の緊迫化という事態は、中東における戦争危機へと直結する問題となるのです。
しかし原油は寒冷地に住む人間の生活に直結する問題です。原油価格の安定化には、開かれた市場の確保より優先すべき、実需ベースの価格決定という選択肢も必要なのかもしれません。原油取引の急増は過剰流動性の産物でしかなく、先物価格を商う限りは投資家の意思が色濃く反映される相場となります。多数決が絶対の正義でないように、多数の意思は時に想像もしない悪影響を引き起こしかねないものなのです。
OPECだけではなく、G7が協力してこの問題への対策をとるべき段階にきています。原油価格が更に高騰すれば世界経済を急速に冷やしかねず、そうした貧困が生む混乱がまた戦争危機へと繋がってしまうことになるのですからね。
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/