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「崩壊に向かう米の支配
From : ビル・トッテン
Subject : 崩壊に向かう米の支配
Number : OW804
Date : 2007年12月25日
経営者として私が今一番懸念していること、それは米国発の大恐慌が会社に、日本に、そして世界に及ぼす影響である。
(ビル・トッテン)
崩壊に向かう米の支配
私にできることは、まずは自分の家庭とそれから経営する会社についてであり、そのために何ができるのか、あらかじめどのような準備をすればよいのか、そんなことを日々考えている。会社は私一人のものではないので、役員や管理者にも同じような問いかけをし、また一般社員にも、社内SNS(ソーシャル・ネットワーク・システム)を利用したインターネット上で、考えてほしいと投げかけている。
1929年10月、米国株式市場で株価が大暴落したのを皮切りに世界規模の大恐慌が起きた。私が生まれる以前の出来事だが、当時の話を私は父親から嫌というほど聞かされて育った。父はエンジニアを目指す優秀な学生で、希望通りカリフォルニア工科大学に入学した。しかしこの世界恐慌によって食べることにも困るようになり、大学を1年で中退しなければならなくなった。生きるために、父は海軍に入隊したのである。
1930年、世界大恐慌の波を受け、日本経済も危機的状況に陥った。株の暴落、企業倒産、それによる失業、社会不安、そして日本が戦争に突入していったことは歴史を振り返るまでもないだろう。
今、米国の友人たちと交わすメールのやりとりでもっとも多いのは、米国経済がいつ崩壊するのかという話題だ。いつ破滅してもおかしくないほど腐りきった米国経済は、ベルリンの壁が崩壊したように突然倒れるのか、それとも徐々にゆっくりと破滅に向かうのか。私個人としては、今この瞬間にも一気に崩壊することすらあり得ると見ている。
米ドルの価値は、他の通貨に対して下がり続けている。米国企業と広告契約を結んだスーパーモデルも、契約金をユーロ建てにして欲しいと要求したという。954,484百万ドル(平成19年10月末)もの外貨準備高を抱えている日本政府、米国債を保有する金融機関、米国を市場とする輸出企業に、ドル暴落が及ぼす影響は今後徐々に明らかになっていくだろう。
これほど広範にわたる不透明な、しかし膨大な損害がもたらされたのも、世界の金融市場を動き回っている「金融商品」の正体が、扱っているトレーダーでさえわからなくなっているためである。そしてこのデリバティブという金融商品は、経済の本質である生産的な活動とはまったくかけ離れたものなのだ。
デリバティブはもともとはサブプライムローンで問題になったような実際の住宅の借金や担保という、有形の取引から派生したものである。それがウォール街の「貪欲はよいことだ」という哲学で運用され、意図的に人を欺く犯罪行為につながった。(米国では不動産鑑定会社が、銀行と結託し住宅ローンの担保住宅の評価を実際より高く見積もり、多額の融資実行を助けた疑いで起訴されている。)この実体のない投資取引に基づき、期待だけが膨らんだ金融市場が崩壊することは時間の問題だ。
それでもまだ、多くの米国民はクリスマス商戦に踊らされ、借金を重ねて買い物を続けている。人生における成功とはたくさんの物を買うこと、そのためにたくさんのお金を儲けることという、朝から晩までメディアがくりひろげるプロパガンダに洗脳され、限界まで借金をして、クレジットカードを使い続ける。12月中に米国経済がクラッシュしなくても、このクリスマスショッピングが精算される2月頃には、さらに膨らんだ借金によって大きなクラッシュとなるだろう。そしてそのあとは、長い時間をかけて生活の悪化が続くのだ。1929年同様、銀行や企業の倒産など、待ち受けるのは厳しい生活である。さらに当時と異なることは、石油という、この工業文明を下支えしてきた資源の減耗とそれによる高騰でますます今の生活水準を維持することが難しくなることだ。米国では、ガソリンが品薄になってスタンドに行列ができるようになれば、たちまち人々はこの重大性に気づくだろう。
米国政府の自滅的な失策とウォール街の貪欲さによって、米国の世界支配そのものが崩壊に向かいつつあること自体は当然の帰結であり、惜しむべきものはなにもない。しかしそれによって、日本にも同じように大きな厳しい荒波が襲いかかることは避けられないし、そのショックをどのようにして小さくするべきか、その答えは容易にはでてこない。」
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/1184738_629.html