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07年、政府・与党が読み違えたメッセージ         「日経ネットPLUS」
http://www.asyura2.com/07/hasan54/msg/311.html
投稿者 怪傑 日時 2007 年 12 月 26 日 10:56:57: QV2XFHL13RGcs
 

◇竹中平蔵(慶応大学教授、日本経済研究センター特別顧問、元総務相)
 2007年もいよいよ大詰めだ。1月の世界経済フォーラム(ダボス会議)では「世界同時好況」が話題となり、エコノミストたちは何とか経済のリスク要因を探そうと努力していた。しかし今や、経済の深刻な減速が世界中で懸念されている。とりわけ日本は、政治経済ともに大きな変動を経験した。政治の不安定化と経済の悪化が相互作用することを、改めて実感した年になったのである。

 なかでも最大の出来事は、7月の参議院選挙だった。以降、「改革の影」「地方への配慮」などが政治的スローガンとなり、改革の勢いの弱まりが鮮明になった。そして改革のスピードの低下が、経済に対する期待の低下となって株価などに反映されるようになった。この1年の日本の株価低下は、主要国の中でもっとも大きいものとなっている。

■改革の勢いが弱まれば都市部の票を失うことに
 私は、07年の経済運営の最大のポイントは、政府・与党が参院選のメッセージを読み違えて、誤った政策判断をしたことと考えている。このような判断の誤りが続き、改革への勢いが引き続き弱まれば、次の選挙ではさらに悲惨な結果になるだろう。

 今回地方票を失った与党が、次には都市票を失うことになる。7月の参院選については、かなり以前の出来事のように思われるが、改めてメッセージを正しく受け取り、軌道修正しなければならない。

 まず比例区の票について見てみよう。自民党の得票率は前回04年の30.0%から今回28.1%へと低下した。この低下は、確かに小さいものではない。しかし決定的に大きなものではなかった。ちなみに小泉内閣が誕生する直近2回の参院選得票率(95、98年)は、それぞれ27.3%、25.2%であり、今回はそれよりむしろ高かったのである。社会保険庁の不祥事、政治とカネなど多くの問題があったことを思うと、この点はむしろ強調されるべきだ。議席数で見た選挙結果は「歴史的惨敗」――多分に選挙戦術の失敗による――であったが、今回の自民党得票率は決して極端に低くはなかったのだ。

 その中で、都市部はどうだったか。東京、神奈川などは、前回と比べてほぼ横ばいか微減程度である。したがって、地方の票の低下が全体としての得票を下げたのは事実である。

 では具体的にどこで低下したのか。都道府県別に見ると、前回から7〜9%ポイントといった大幅低下を記録した県が五つある。山梨、熊本、徳島、福島、そして富山である。お気づきのようにこれらはおしなべて、郵政造反議員(反対、棄権、欠席を含む)の大物がいる県ばかりである。綿貫民輔氏(富山)、堀内光雄氏(山梨)、荒井広幸氏(福島)らの名前が思い浮かぶだろう。

■自民党は郵政造反議員とともに沈むのか
 要するに、支持を失った最大の要因は郵政造反議員の安易な復党にあったと考えるべきなのである。

 次に選挙区(いわゆる地方区)の得票を見てみる。選挙区では、まず東京の得票数は前回に比べ32%の大幅増加となった。これは立候補者を増やしたこともあるが、いずれにせよ東京・神奈川・大阪の合計で見ても得票数は増加しているのである。構造改革が進んだのは都市であり、地方では進んでいない。地方銀行の不良債権比率はまだ高いし、地方の主力産業である農業の構造改革はほとんど進んでいない。地方票を失ったのは事実であるが、言い方を変えれば構造改革を進めていれば地方での得票は減らずに済んだのである。

 さらに象徴的な事実がある。四国4県で自民党が全滅したことが知られているが、4人のうち3人が郵政造反議員であったという点はあまり話題にならなかった。

 選挙結果から政府・与党が厳しく受けとめるべきメッセージは、郵政造反議員に絡む選挙区で票を失った、という点に尽きる。この点を反省すべきであるにもかかわらず、実際は地方への財政資金再配分にばかり関心が集まっている。そうした中で、海外の投資家がすでに日本に対して厳しい目を向け出したが、政治的には都市の有権者が次第に厳しい目を向けていくだろう。最近の内閣支持率低下は、明らかにその兆候である。

 郵政造反議員については、もう一点次のような事実がある。今年の参院選で改選期を迎えた造反議員は15名いた。しかし9名は不出馬(引退、転向など)を余儀なくされ、立候補したのは6名にとどまった。その中で2名が当選し4名が落選した。要するに、15名のうち生き残ったのはわずか2名である。

 自民党が郵政造反議員とともに沈んでゆくのか、反省を踏まえ都市の有権者の支持をつなぎとめられるのか−−。2008年の選挙で問われるのはまさにこの点である。


◆滝田洋一(日本経済新聞社編集委員)
 確かに、参院選での郵政造反議員の話は遠い過去の出来事ではありません。殷鑑(いんかん=戒めとすべき失敗例)遠からず、近くにあり。目下の改革姿勢の試金石は独立行政法人の改廃問題でしょう。「民にできることは民に」の原則からは、「独法」(旧帝大が得意としたドイツ法の意味ではあるまいし、嫌な略語です)を極力絞り込む必要があります。

 ところが渡辺喜美行政改革担当相の獅子奮迅の働きにもかかわらず、独法を傘下に収める大臣はどちらを向いているのか分かりません。町村信孝官房長官しかり。肝心の福田康夫首相までが指導力を発揮したとは思えません。天下りと一体になった官業を温存するような姿勢からは、改革の見取り図は描けません。これでは、自民党は地方ばかりでなく都市部の支持をも失う可能性が高まるでしょう。

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