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投資家にも高いレベルを求める証券化商品・最大損失額の公表義務付け(KlugView)
2007/12/18(火)20:14
マスコミ報道によると、金融庁と企業会計基準委員会は、証券化商品のリスクについて、欧米並みの情報開示ルールを作る方針を固めたようです。欧米では、証券化商品を保有する企業に対し、最大損失額の公表を義務付けているほか、米国では市場で取引価格が付かない商品についても残高や評価手法の開示を求めています。そこで日本においても、証券化商品の予想される最大損失額を貸借対照表や損益計算書の「注記」に記載するよう金融機関や事業会社に義務付けるようです。報道によると、この新ルールは2009年4月1日に始まる事業年度から導入されるようです。
最大損失額を計算する際には、「バリュー・アット・リスク」という統計手法を使うのが一般的となっています。この統計手法では、過去1,2年程度の平均値をもとにリスクを計算します。また、金融危機といった特別な出来事(イベント)が発生したときの最大損失額を試算する際には、「ストレステスト」と呼ばれる方法を利用します。これは、ブラックマンデーといった歴史的なイベントの時のデータをもとに、同じような状況が発生したと「仮定して」最大損失額を計算します。
これまで日本では、証券化商品の最大損失額を開示するのは、大手の銀行、証券会社、保険会社、商社の一部が自主的に開示するにとどまっていました。このため、今年8月にサブプライムローン問題が顕在化してからは、予想外の企業で証券化商品による損失が発生したことが突然判明し、投資家は予想外の対応に追われました。報道にあるように、証券化商品の最大損失額の開示が義務化されれば、投資家は各社が抱える損失リスクを明確に判断することが可能になります。また、企業側も最大損失額を開示する必要が出てくることで、利益を狙って過度に証券化商品を保有することを控える傾向を強めると思われ、結果として不意な損失を被るリスクが低くなることになると期待されます。
ただ、注意すべきは、たとえ企業が証券化商品の最大損失額を開示したとしても、本当に最大損失額が開示したとおりになるとは限らないということです。「バリュー・アット・リスク」は、あくまで過去1,2年程度の平均値をもとにして計算されるため、過去に比べて大きいイベントが発生すれば、「バリュー・アット・リスク」の結果を上回る損失額が発生することはありえます。また「バリュー・アット・リスク」を補うために実施する「ストレステスト」にしても、結局は過去のイベントをもとに計算されるため、字義通り「過去最大」のイベントが発生すれば、「ストレステスト」が示す最大損失額を上回る損失が発生することも考えられます。
実際、みずほフィナンシャルグループは、2007年3月期決算で、トレーディング業務などで最大474億円の損失が発生する可能性があると自主公表していましたが、今年9月の中間期にはサブプライム関連で700億円弱の損失を発表しています。証券化商品の最大損失額を開示するルールは、投資家にとって歓迎すべきことですが、投資家は開示情報を鵜呑みにするのではなく、開示情報の妥当性や開示情報の前提などを理解する必要があることを忘れてはなりません。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
「バリュー・アット・リスク」って何?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
過去1,2年程度の平均値をもとにリスクを計算する統計的手法
http://www.gci-klug.jp/klugview/07/12/18/post_1927.php