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「題名:No.803 金融システム崩壊の始まり
From : ビル・トッテン
Subject : 金融システム崩壊の始まり
Number : OW803
Date : 2007年12月17日
原油価格が高騰を続けている。3年ほど前、石油の減耗とピークオイルの話題を取り上げ始めた頃、ほとんどの人は私が間違っているか、またはただ単に危機をあおっていると思ったか、無視されることも多かった。しかしさすがに今では、以前より多くの人が耳を傾けてくれるようになった。
(ビル・トッテン)
金融システム崩壊の始まり
さらにここにきて、米国ではサブプライムと呼ばれる低所得層を対象にした住宅ローンの焦げ付きに始まり、経済停滞も問題となっている。米証券大手メリルリンチでは巨額損失を出した責任をとってCEOが辞任、日本の日興コーディアルグループを買収したシティグループでもCEOが辞任した。ウォール街の証券会社で、経営者に数億円のボーナスが配られたのは昨年のクリスマスだったが、それらはすべてトリックにも等しい方法で手にした、バブルのようなものだった。「サブプライム」ときけば「プライム」(優良)よりもすこし落ちる程度のような呼び名だが、その中身は地鶏と称してブロイラーを販売したよりも粗悪なものだったからだ。
サブプライムは日本の金融機関にも影響が及んでいる。野村證券、みずほフィナンシャルグループなども多くの損失がでていることを明らかにしている。米国で端を発したことが世界に波及するのは、金融に国境がないこと、そしてわれわれが依存している金融システムというものがいかに複雑なものかを表しているといえる。
この金融業界で起きている問題は、ピークオイルとも深く関連している。人々がそれに気づけば、世界の金融市場のメルトダウンはより早く進むだろうが、もしかすると実際に資源が減耗する前に、「ピークマネー」とでもいえる現象によって、われわれは大きな変化に直面せざるをえないかもしれない。
金融とは本来何かといえば、銀行や証券会社などが「金融機関」と呼ばれるように、資金を余剰しているところから不足しているところに融通することである。昭和時代の日本がそうであったように、消費が急増してそれに見合う生産能力が求められ、企業は常に追加投資が必要となった。銀行はこの需要増にあわせて企業に資金を貸し出し、利益をあげ、その結果日本経済は発展し、また銀行も強大になっていった。金融とは、有益な経済活動や生産的な活動のために投資を集めることなのである。
石炭や石油という安い豊富なエネルギーによって産業が拡大するにつれて、金融業界も複雑さを増していった。最初は銀行が発行した通貨だけだったものが、株券や債券がお金と同じように交換されるようになった。しかしそれらは投資された、または貸付されたお金の額を表すものの、それ自体は「お金」ではない。それでも過去150年くらいの間に(世界大恐慌などはあったが)、株も債券も、額面どおりではないとしてもほぼお金と同じような価値を維持してきた。
それが近年、実体経済を超えて、つまり金融が本来奉仕するべき経済活動の大きさ以上に膨れあがっていった。市場は限界まで伸びきっているのに、利益を出すためにはごまかしてでも債券や株を売りつけなければいけない。こうしてサブプライムローンのように返済能力のない人に高利で貸したローンを何千も束ねて、そこから小口債券化したようなものが商品として出回った。金融の本来の姿とかけ離れた、この「金融商品」とその崩壊が象徴しているのは、生産的な投資先を失った金融をそれでも無限に成長させようという期待であるが、ピークオイルに向かい代替エネルギーを見つけていない工業社会ではそれは持続不可能であることは誰の目にも明らかだろう。
使い切れない富を持ちながら、さらにそれを増やしたい人の行き場のないお金が余っている。だからこそ、お金の足りないところへ融通するという本来の「金融」の意味とはかけ離れ、持てる者の富をさらに増やす目的で世界中を駆け巡っている。これは金融システムの崩壊の始まりに過ぎない。デリバティブという商品が金融機関の帳簿をいかに腐らせているか、ピークオイルを人々が認識するに従い、徐々にそれも明らかになってくるだろう。 」
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/1184737_629.html