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ここまで落ちた日本の経済パフォーマンス。
デフレの進行は日本の経済構造を完全に輸入と輸出に頼る経済に変え、内需の息の根を止めようとしている。
この内閣府発表の7ー9月期の統計資料を見ていただきたい。
内需の寄与度が-0.1% 外需寄与度が0.5% GDPデフレータが、-0.4%である。
成長の外需寄与度が非常に大きい。これは内需が縮小しているために比率が大きくなっていると考えられる。そして物価デフレータがマイナスである。これは資金が国内市場に回っていないことを的確に表している。すなわち国内の売上が増えていないか、又は増えていたとすると、企業が利鞘を十分に載せずに販売しているということになるだろう。
私達の所得はこの利鞘の大きさで決まり、これから賃金や税金、保険を支払っているのである。この部分の成長が無いことは我々の資金が減っている証しなのである。それは民間の賃金が9年連続で減少していることでも分かるだろう。また石油製品の値上がりを吸収できないで消費が退潮に転じることでも明らかであろう。
内需が無く、外需に頼る経済は発展途上国と同じ経済構造である。違いは日本の輸出入は、先進国型であり、輸出は付加価値の高い高級財であり、また輸入は下級財であることだ。
しかし輸出入が活発であっても、また先進国型の貿易内容であっても日本経済のデフレは進行しているのである。これは内需の停滞した国は、貿易収支が黒字であっても、また貿易内容が良くても、国内に資金が回り難くく、内需の停滞を止められないということを表している。ひょっとすると逆に内需を食っているのかもしれない。
多くの発展途上国が輸出入を活発に行っても発展しない理由が良く分かるデーターである。
この輸出がいくら活発であっても内需の停滞を止めることはできない。
なぜなら外需を相手に作った生産物は国内市場を循環する事なく輸出され、輸出により得た還流資金は、同じように国内市場に回る事なく直接輸出企業に入るか、あるいは金融資産に投資されたり外貨に投資されているのである。国内の金融資産や土地資産の価格が部分的に上昇しているのは、この資金によるところが大である。
国内のハートランドの停滞は輸出によって得た資金がハートランド内の投資資金にまわらず、ハートランド内を循環しない。これは、停滞した国内市場に有効な投資先がないためである。
また輸入は、確実にハートランドから(国民所得を形成する産業経済基盤)資金を奪い、確実に縮小させている。デフレにおいて輸入品が多くなることは、それだけ資金が流出していること指し、ハートランドの多くの企業が退場していることを意味する。それは多くの廃業と淘汰が行われ失業が増えているのである。
このことから分かるように輸出は思ったようにハートランドに資金を増加させず、輸入は確実にハートランドから資金を奪い、ハートランドを縮小させていることが分かる。
このような内需が停滞している経済は、輸出や輸入が増えても、内需を活発にするようにならない。
多くの発展途上国が外国との貿易を活発に行っても、なかなか内需を活発にできないのは、輸出や輸入が、内需の足を引っ張るからである。
貿易収支が黒字であってもその資金は、その国のハートランドに入らず、資産や外貨、外資に流れる事になる。それは内需が不足している事が原因である。
それ故デフレの場合、(貯蓄より借金などの負担の方が多い)、たとえ貿易黒字であっても内需は発展しないのである。
返ってその弊害が現れるくらいである。たとえ貿易収支が黒字であっても
輸出入の総額が多いと、返って内需を圧迫することになる。
輸入が多いとハートランドの消費が輸入品に流れ、資金が直接海外へ流れることになる。
また輸出が多いと、国内の輸出部門が拡大するが、その拡大する輸出部門に国内の資金や、労働人口、生産資材が集中し他の国内産業が疲弊し空洞化することになる。
さらに同じ生産物であっても内需の停滞から、国内へ販売すると十分に付加価値がとれない価格で販売しなければならないため、国内に回すより海外で輸出する方を選びがちになり、国内の生産物資材が少なくなりコストが上がりがちになるため、ますます国内企業が
圧迫される。
(これは今現実に日本で起こっている問題である。多くの方はまだ御存じないかもしれないが、大企業の競争力のある資材は、日本国内で販売するより、外国で販売する方が儲けが良いため、海外優先になっている。そのため、価格を内需に合わせたものにせず、外需の価格に合わせたもので販売し、それが駄目なら買うなというような強気の姿勢が顕著になってきている。
現在の石油製品の高騰も、この強気の姿勢の現れであり、日本の内需を圧迫し始めたのである。)
このことから、輸出分から得られる名目所得をむやみに国内の名目所得に加算したもので名目所得を評価してはならない。また輸出される生産物の増加による実質GDP伸びを日本全体の伸びと捕らえてはいけない。また輸出から輸入額を差し引いた貿易収支の業績から、日本全体のパフォーマンスを評価することは、あまりに稚拙なことといえるであろう。貿易収支からは内需の停滞度合いが分からないからである。
往々にして政策担当者は、少しでもよい統計資料を優先しがちであるが、これをしっかりと糾弾しなければならない。というのはデフレは日本で起きているのであり、外国では起きていないからです。
例えば貿易収支の黒字が多い少ないは、デフレの場合ほとんど意味がなく、それより輸入がどれだけ国内市場を食いつぶしているか、あるいは輸出の寄与度が多い場合、国内産業が国内向けにどの程度の生産をし、販売しているかが大事なのである。
この統計資料から見えることは、外需の寄与度が非常に大きく、物価の上昇度合いが全く無いことから、内需が停滞し輸出に大きく依存していることが分かる。内需が停滞し外需の寄与度が増えても、国内市場への資金流入は少しも増えていない。減少しているようにみえる。
ここまで落ちぶれたのは、デフレが長期間続き、今なおその渦中に有り、間違った経済政策がこれを助長しているのである。
小泉政権下における、特に低金利過剰融資政策は、完全なデフレ助長策であり、究極の失敗であった。さらにそれを促進させるように取った政府の成長戦略は、日本を完全な発展途上国型の貿易構造にしたのである。
この完璧な失敗は自己破産の増加、自殺者の増加や、さらに生活保護以下の所得者の増大などにより、所得の偏差値が大きく下層に振れていることで明らかである。
デフレは生産能力に比べ極端に資金が不足したものである。生産物の過剰から付加価値の低下、価格の低下を招くものである。それ故に資金を増やす政策が必要なのである。
しかし低金利過剰融資政策は、資金を減少させ、生産力を刺激するものである。政府の成長政策は企業に、融資や補助金を与え名称にかかわらず生産量を増やす方向にもって行くものである。
これではやっていることが全く正反対であり、デフレを促しているに過ぎないのである。
まさに人災である。
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/参照
なを現在一言主ホームページにてデフレインフレの一般理論の全章を掲載していますので、お正月のお時間のある時にでもお読みいただければ幸いです。
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi
ここかしこ。