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Vol.71 Nov/15/2007
2.サブプライム問題
サブプライム問題で色々な動きが出てきておりましが、いまだ実態が明らかにされてきていません。
前号でお知らせしました<SIV>ファンドにつきましても、世界のマスコミで少しずつ報じられてきてはいますが本当の実態につきいまだ隠されたままになっています 。
恐ろしくて誰も口に出来ないからでもありますが、本当の実態は破綻して司直の手が入ってからでないと分からないのかも知れません。
ここでは余り報じられない実態につき解説させて頂きたいと思います。
まず、今、NY州クオモ司法長官はとてつもない疑惑を暴こうとしています。
【ワシントン・ミューチュアル】
米国最大の貯蓄金融機関(S&L)である【ワシントン・ミューチュアル】社を不動産価格吊り上げ・不当な融資を行ったとして調査を行っており、場合によりましては米国最大のS&L社である【ワシントン・ミューチュアル】社は経営破綻に追い込まれるかも知れませんが、ことはこれだけでは済みません。
この【ワシントン・ミューチュアル】社が手がけました住宅ローン債権のうち総額325億ドル、円換算で3.6兆円が連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が購入しているからです。
【ワシントン・ミューチュアル】社が刑事訴追されましたのは、貸し付けた住宅ローン債権がかなり上乗せされた価格ではなかったのか、という点であり、訴状の中ではなんと46%もの上乗せがあった事例も指摘されています。
この上乗せもあり、今後【ワシントン・ミューチュアル】社のローン債権が無効になる可能性もあり、そうなれば【ワシントン・ミューチュアル】社は破産法11号を申請せざるを得ず、米国最大(即ち世界最大になりますが)のS&L社が倒産するという事態になるのです。総額で50兆円を超える破綻となりますが、これが引き金になり不動産関連金融会社は軒並み経営破綻していくことになります。
ところでここで問題になりますのは、この担保価格吊り上げは何も米国だけで行われたことではないということです。
イギリスでも日本でも行なわれており、日本でも監督官庁により不当価格で不動産を売り買いしたとして不動産投信(REIT)が摘発されていますが、今後この手の摘発が相次いで行われれば、年金資金等の機関投資家は不動産投信(REIT)を持つことが出来ないとして投売りを出してきますのでREIT価格は暴落することになるはずです。
今でも東証REIT指数は1,800ポイントすれすれのところまで下落してきておりますが、今後1,500ポイント、1,000ポイントも視野に入ってくるかも知れません。
日本では殆ど報じられませんがここでイギリスの惨状につきご覧に入れたいと思います。
<グラフ2-1>は、イギリスの大手不動産マネージメント会社である【Mapeley】社の株価ですが、年初の40ポンドから今や15ポンドまで下落しており60%を超える下落率になっているのがお分かり頂けると思います。
株価は半年先を見るといわれますが、今後、イギリスの不動産価格はこの【Mapeley】社の後を追いかけるような急落を演じるかも知れません。
次に『サブプライム関連商品時価評価問題』で正直な金融機関が赤字に転落し、そうでないところは黒字になっているのではないかという疑念が金融市場に出てきています。
サブプライム関連商品での評価損につき色々議論がされていますが正直な評価をした金融機関があります。
【大和生命】です。
大和生命が11月16日に発表しました9月中間決算では、以下のような評価をしているのです。
サブプライムを含む証券化商品を19億円保有しており、このうち14億円を評価損として計上する。
なんと73%を超える損としているのです。
価値は26%しかないと計上しているものでこれは先日記載しましたサブプライム関連の金融商品の時価は大よそ20%程であるということに合致した数字となっています。
今の時点では【大和生命】はきわめて正直な処理をしたことになります。
ところが、他の金融機関はどうでしょうか?
評価損率
シティーグループ
20.0%
メリルリンチ
19.3%
バンカメ
18.5%
モルガンスタンレー
35.5%
みずほ
25.0%
三菱UFJ
9.6%
三井住友
25.7%
大和生命
73.7%
上記の通り凡そ20%前後に集中しており、20%にしようと申し合わせたような動きとなっていますが、【大和生命】はそのような動きには一切目をつむり、現時点で妥当と言われるほぼ20%の評価にしたものです。
今後、金融市場がこの【大和生命】基準に動き始めれば追加損失は一体幾らになるでしょうか?日替わりのように追加赤字計上となるでしょうが、サブプライム関連金融商品の価値は事実上無いわけであり、最悪の場合、公表された残高ベースでもシティーで6兆円、バンカメで2兆円もの損失になります。
これに公表されていないSIV等を入れれば一体幾らの損失になるか想像を絶する損失額になることになるのです。
FRBが必死で支えています金融市場ですが一旦支えきれなくなった場合大崩壊を起こすことは避けられず、今や世界はFRBがどこまで支え続けることが出来るのかこれにかかっているとも言えますが、反対にこの支えがなくなれば、即、死を意味します。
FRBウオッチが今ほど重要なことはありません。
http://www.collectors-japan.com/nevada/main/m_071115_1.html