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米FRB、追加利下げにブレーキか=原油高騰によるインフレ加速懸念で    −Klugー
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投稿者 怪傑 日時 2007 年 12 月 15 日 01:59:20: QV2XFHL13RGcs
 

増谷栄一のアメリカ経済情勢ファイル

−米11月PPI、34年ぶり大幅上昇=11月小売売上高も急伸で景気リスク後退−

 【2007年12月14日(金)】 − 前日発表された11月の米生産者物価指数(PPI)は前月比3.2%上昇と1973年8月以来、34年3カ月ぶりの大幅上昇となった。急伸の主因は、最近の原油高騰によるエネルギー価格の大幅上昇(前月比14.1%上昇)だったが、このPPIの予想外の急伸に加え、明日発表される11月消費者物価指数(CPI)も前年比4.2%上昇と2年以上ぶりの大幅上昇となった可能性があり、FRB(米連邦準備制度理事会)が望ましいとしているインフレ上昇率+1〜2%を大幅に上回ることになるだけに、市場では、FRBは、景気リスクよりも重いインフレリスクに直面することになったと見ている。

 また、この日、米商務省が発表した11月の米小売売上高も、ガソリン販売価格の上昇による売り上げ増という面もあるが、前月比1.2%増と、10月の同0.2%増を大幅に上回り、市場予想の同0.6%増の2倍という急伸ぶりで、リセッション(景気失速)懸念が疑わしくなるほどの堅調ぶりを示した。これら2つのデータを受けて、NY債券市場では、2年国債の利回りが前日の3.113%から3.20%に、10年国債も4.076%から4.17%に急伸。それに伴ってドル買いが活発になったほか、金利先物市場では、来年以降のFRBによる追加利下げの回数の減少(利下げ幅の縮小)を予想し始めている。

コアPPIも前月比0.4%上昇と1年ぶりの大幅上昇

 11月のPPIの前月比3.2%上昇は、市場予想の同1.5%上昇の2倍で、コアPPI指数(値動きが激しいエネルギーや食品を除く)も同0.4%上昇と1年ぶりの大幅上昇となり、これも市場予想の同0.2%上昇の2倍というすさまじさだ。物価急伸の主因はエネルギー価格で、エネルギーは前月比14.1%上昇となり、1990年1月に記録した過去最高の13.4%上昇をあっさりと超えた。特に、ガソリン価格は同34.8%上昇となり、1999年4月に付けた過去最高の28.8%上昇を上回り、過去最高を更新している。

 内訳を見ると、中間財価格は前月比3.7%上昇で、1974年の4.5%上昇以来33年ぶりの大幅上昇となり、エネルギー関連の中間財価格も同13.3%上昇と、これも1990年1月の過去最高10.1%上昇を更新した。原材料価格も同8.7%上昇となり、また、FRBがインフレ判断材料として重視しているコア中間財物価指数(値動きが激しいエネルギーや食品を除く)は同1.0%上昇となり、2006年5月の1.1%上昇以来、1年半ぶりの大幅上昇となっている。

 米労働省は13日のPPIの急伸について、インフレが経済に打撃を与える懸念が出始めたと指摘している。エコノミストも今回の34年ぶりの大幅上昇に驚きを隠せず、とうとう心配していた原油高騰の価格転嫁が一般経済に波及してきたと見ており、今後数カ月は物価上昇が一段と悪化するとして警戒している。また、その意味では、FRBが11日に利下げを0.5%ポイントでなく、0.25%ポイントに抑えたのは正解だったとの見方も出てきている。

11月CPI、前年比4.2%上昇と2年以上ぶりの大幅上昇予想

 明日発表される11月の米CPIは、エコノミスト予想では、全体の総合指数は前年比4.2%上昇と2年以上ぶりの大幅上昇が予想されている。これは、原油価格は一時、1バレルあたり100ドル近くまで高騰し、最近はピークを過ぎているものの依然、高水準が続いており、その影響が最大の急伸要因となる。ちなみに、原油高騰が起きる前の8月のCPIは同2%だったので、その2倍以上になった模様だ。

 なかでも、エネルギー価格は同22%上昇(前月比約6%上昇)が予想されている。過去には、2005年9月に14年ぶりの大幅上昇となった4.7%上昇という記録があるが、最近(10月)は3.5%上昇となっている。また、コアCPI指数(値動きが激しいエネルギーや食品を除く)も前年比2.3%上昇(前月比0.2%上昇)が予想されている。コアCPIは2006年9月に同2.9%上昇の過去最高を記録して以降、ここ数カ月の2.1-2.2%上昇から加速したと見られている。

 こうしたインフレ加速懸念は、米国だけでなく、欧州でも広がっており、イングランド銀行(中央銀行)と英世論調査会社Gfk・NOPが13日発表した、英国の11月の消費者インフレ期待調査結果によると、英国民は、今後1年間のインフレ率は3.0%になると予想しており、前回調査時(8月)の2.7%から上昇していることが明らかになった。これは英中銀のインフレ目標である2%を大幅に上回るもので、英中銀は先週、景気リスクから、0.25%ポイントの利下げを決定したが、今後は金融政策担当者にとって、インフレリスクは大きな懸念材料になると見られる。

11月小売売上高も前月比1.2%増と5月以来半年ぶりの大幅上昇

 また、この日発表された11月の米小売売上高(季節調整後)も前月比1.2%増(前年比6.3%増)と5月以来、半年ぶりの大幅上昇となり、前月の同0.2%増から急伸した。市場予想の同0.5%増の2倍以上となったわけだが、この増加要因は感謝祭のバーゲンセール効果とガソリン販売が価格上昇で、同6.8%増と2005年9月以来、2年2カ月ぶりの大幅増となったためで、ガソリンを除いた小売売上高は、同0.6%増となっている。また、ガソリンと自動車(前月比1.0%減)を除いた売上高は同1.1%増で、10月の同0.2%増を大幅に上回っている。

 この小売統計は、GDPの約70%を占める個人消費の約半分を占めるほど大きいが、この11月の結果や10月企業在庫指数の発表を受けて、金融機関は、第4四半期(10-12月)GDP伸び率の上方修正に動いている。モルガンスタンレーは、従来予想の+0.2%から+1.2%へ、また、バンク・オブ・アメリカも同様に+0.1%から+0.5〜1.0%に成長率を引き上げている。マクロエコノミック・アドバイザーズは+0.9%へ、ゴールドマンサックスも+1%とし、景気リスクについては下降から上昇バイアスに変更している。リーマン・ブラザーズも従来予想の+0.1%から1%近くへ、JPモルガンは+0.5%から+1.5%に変更している。

金利先物市場、FRBによる利下げ回数の減少を予想

 FF(フェデラル・ファンド)金利先物で見た利下げ確率は、インフレ懸念の上昇と堅調な小売売上高を受けて低下し、今後、FRBによる利下げの回数は減少すると見られている。13日のCBT(シカゴ商品取引所)で、FF金利先物の来年2月物は、来年1月29-30日のFOMC(公開市場委員会)で、政策金利が現行の4.25%から4%に引き下げられる確率を依然、100%織り込み、来年4月物も、来年3月18日のFOMCで4%に引き下げられる確率を100%織り込んでいるものの、さらに3.75%に利下げする確率は前日の60%から46%に大幅に低下している。(了)



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