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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu157.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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今の中国経済がバブル気味であるので、切り上げは国際収支の均衡を
是正すること、インフレを抑制することという一石二鳥の効果を発揮する
2007年12月11日 火曜日
NHK特番「中国激流」より
◆急がれる人民元のさらなる切り上げ 12月5日 余永定
http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/071207world.htm
中国社会科学院 世界経済政治研究所所長
余永定
人民元切り上げに関する最大の誤解は、切り上げがアメリカからの圧力に屈服して行われるものであり、アメリカにとって有利であるが中国にとっては何のメリットもないという考え方である。人民元の切り上げはすでに避けて通れない問題となっている。中国企業は「幻想を捨て、競争に備える」という積極的な姿勢で、この問題を考えるべきである。
◆アメリカに多大な利益
人民元レートは、1981年以前は1ドル=2元という水準だったものが、後に1ドル=約8.3元という水準までに切り下げられた。今回の切り上げによって、現在1ドル=約7.4元前後を推移している。この二十数年の間に、数回にわたって為替に関する制度改革が行われた。
人民元レートと貿易の問題は密接な関係にある。中国の経済発展戦略は、改革開放以降「輸出主導」に重点を置いてきた。中国の為替政策はこの戦略に従っており、輸出を後押ししている。
改革開放初期から1994年に人民元レートが一本化されるまで、人民元レートは全般的に下落傾向となっていた。1994年に人民元レートが一本化された際、為替レートが大幅に切り下げられた。その後多少上昇したが、基本的に安定している。
1997年のアジア金融危機の時、中国は人民元の切り下げ圧力に直面していた。激しい資本逃避が発生した一方で、東南アジア各国の為替レートが下落したにもかかわらず、人民元レートは保たれていた。そのため人民元が割高になり、中国の対外貿易は大きなダメージを受けた。1998年、中国の対外貿易額は前年比0.4%減となり、まれに見るマイナス成長となった。
通貨危機に直面したとき、中国政府は“人民元レートを変えない”という政策を選択した。振り返って見ると、これはとても正しい選択であった。もし当時人民元も切り下げられていたら、それによって東南アジアでは新たな通貨の切り下げが起きていたかもしれず、東南アジアでの金融危機は一層悪化していただろう。中国でも、「為替レートの下落→海外への資本逃避→さらなる為替レートの下落」という悪循環が発生していたかもしれない。当時、中国政府は人民元の切り下げを許さなかっただけでなく、切り下げ期待の形成をも許さなかった。なぜなら、そのような切り下げ期待は資本逃避を拡大させるからである。
2002年後半から、中国は完全にアジア金融危機の影響から解放され、デフレから抜け出した。一方で、日本はその頃依然としてデフレに悩まされており、人民元の切り上げを強く求めた。日本は、中国が「デフレの輸出国」だと考えたのである。このような要求および考え方には正当な理由が欠けている。実際、日本経済が回復の軌道に乗るようになったのは、中国がデフレから抜け出し、それによって日本からの輸入が大幅に増えたからである。そのような事実があったため、その後日本は中国に対して“中国発のデフレ輸出論”を持ち出すことはなくなった。
2003年後半からは、アメリカが日本に代わり人民元レートの問題について中国に圧力を加え始めた。これは主にアメリカ国内における政治的要因によるものである。つまり、アメリカでは産業調整が進む中で、一部の失業者は中国人が彼らの仕事を奪ったと思い、「中国政府に人民元の切り上げを強く求めてくれ」とアメリカ政府に圧力をかけたのである。
しかし、実はアメリカは過小評価された人民元の為替レートから多大な利益を得ている。まず、アメリカは大量の安価な製品を輸入することが可能になった。次に、中国は貿易黒字から得た外貨で米国債を大量に購入している。これは中国がアメリカに資本を輸出することに等しい。このことは、アメリカにおける融資コストを抑えることを通じて、アメリカの不動産市場ひいてはアメリカ経済全体に活気をもたらしている。
アメリカ政府はこれらのことをよく知っているはずである。しかし、アメリカは国家利益の最大化を図るため、人民元の為替レートの問題を駆け引きの道具にし、中国政府に対して金融市場のさらなる開放を求めている。また、アメリカの国会議員も選挙対策の1つとして、これらを大げさに取り扱っている。
◆為替レートの合理的な水準とは
為替レートの合理的水準を考える際、二つのことを考えなければならない。まず、均衡為替レートとは何か、そして何が「合理的な」均衡為替レートであるかということである。
簡単に言えば、政府介入のない状況で、一国の為替レートが長期にわたって外貨の供給と需要の均衡を維持することができるならば、その為替レートは均衡為替レートと言える。しかし、それが「合理的な」為替レートかどうかは、判断しがたい。いくつかの証明方法はあるが、広範に受け入れられているものではない。
一般的には、発展途上国は国内の不足しがちな貯蓄を補うために外資を必要とする。そのため、これらの国はしばらくの間ある程度の貿易赤字と経常赤字(資本収支の黒字)を維持しようとする。このときの為替レートはこのような国際収支構造に適応するべきである。
しかし、長期にわたり貿易赤字を維持し、そして経常赤字が7%−8%という高いレベルであるならば、その国の通貨は過大評価されていると考えられる。それと反対の事情になると、その国の通貨が過小評価されたと考えられる。前者の場合は金融危機を引き起こすことになり、後者の場合は資源の無駄使いを招くことになる。
1980年代の初めごろから、アメリカはずっと経常赤字が続いている。しかし貿易赤字は、他の国が米国債を大量に購入し、アメリカに資本を輸出する形で埋め合わせている。そのため、しばらくの間米ドルが過大評価されたと言いがたかったのである。しかし、アメリカの経常赤字がどんどん増加し、対外債務残高はますます高くなっているため、国際投資機関は米ドル資産に対する信認を次第に失いつつある。そこで2002年から、多くの経済学者は米ドルが過大に評価されていると判断するようになった。
◆「為替レートの切り上げに一利もなし」という最大の誤解
人民元の切り上げに関する最大の誤解は、切り上げがアメリカからの圧力に屈服して行われるものであり、切り上げはアメリカにとって有利であるが中国にとってはなんのメリットもないという考え方である。2003年から私は次のことを何度も強調している。つまり、人民元レートの上昇は一時的な苦しみをもたらすかもしれないが、長期的に見るとそれは中国自身の利益になることである。外圧に屈する形での切り上げはしない、という選択は理性的ではない。具体的にどのように切り上げるのか、どの程度切り上げるのかについて、検討すべきである。
中国の事情はかなり特殊なものである。われわれは大量に外資を導入している一方で、貿易の面では黒字を続けている。また、われわれはまだ発展途上国であるのに、資本の純流出が起こっている。中国の経常収支と資本収支においては持続的、かつ大規模な「双子の黒字」を実現している。このような事情は恐らく国際的には例を見ないことである。「双子の黒字」を継続させることは次の理由から中国自身にとっては利益にならないと考えられる。第1に、1人当たりGDPで見るといまだ中国は世界第128位に位置している。しかし、2005年から、中国は世界第3位の資本輸出大国になっている。常識的に考えると、貧しい国は資本輸出国になる理由はない。第2に、中国は世界第3位の外資受入国となっているにもかかわらず、中国は経常赤字になっていない。本来、外資投資から得られた資金は外国の製品や技術の購入に使うべきだが、中国はそういう用途に費やしていない。では、なぜ外国から資金を借りるのかという疑問が生じる。第3に、中国が持っている1兆4000億ドルを超えた外貨準備高の相当の部分は(低金利で米国に融資されているため)アメリカにとって巨額の補助金に当たる。第4に、2002年以来アメリカドルはすでに20%以上下落してきた。これから、さらに大幅に下落するだろう。計算して見ればすぐ分かるが、今1兆4000億ドルの外貨準備高で買えるものは5年前に比べてだいぶ減っている。
つまり、中国は絶えず自国の製品でアメリカ政府が発行する国債と交換している。中国と東南アジア諸国は絶えず米ドル資産を蓄積しているため、アメリカよりドル安を恐れている。
確かに、かつての中国は上述のことをやらざるを得なかった。中国の「輸出依存、外資牽引」という発展戦略は非常に成功した戦略であった。しかし、現在の情勢は以前と異なり、かなり変化している。中国は成長モデルと発展戦略を変えなければならない。人民元の切り上げは、まさしく中国の成長モデルと発展戦略の転換を推し進めるものである。
為替レートの切り上げは、資源配分の最適化や企業収益の向上に役に立つ。ドイツは為替レートの上昇が企業の生産効率を高める手段だととらえている。中国の人々は、人民元切り上げ問題をポジティブに捉えるべきである。実際、人民元の切り上げはすでに避けて通れない問題となっている。中国の企業は「幻想を捨て、競争に備える」という姿勢を持つことが重要である。
◆適切に切り上げを加速する
人民元改革に関して、中国は小幅な切り上げという方法を選んでいる。「段階的に大幅な切り上げを」とか「一気に目標値までに切り上げを」というような意見もある。たとえば、1994年1月1日に人民元レートが一本化された際、為替レートが1ドル=5.8元から1ドル=8.71元に切り下げられた。このような方法も提案されている。
「小幅な切り上げ」という選択による最大のメリットとは、企業に為替レートの変化に対応していく時間を与えることである。しかし、デメリットとして投機筋に切り上げに関する明確なシグナルを示し、彼らに利益獲得の余地を与えてしまうことが挙げられる。これは中国の国内資産を流失させてしまうことになりかねない。
過去2年間における人民元レートの上昇から見ると、中国企業の人民元切り上げに対する対応能力は、われわれの想像より強い。そのため、人民元を切り上げるという選択もある。
しかし、「一気に目標値まで切り上げる」という主張には賛成しない。なぜなら、結局誰も「合理的な」水準を知らないからである。個人的な意見ではあるが、一気に切り上げるより段階的に切り上げる方が良いのではないかと考えている。具体的な計画は詳しく検討する余地があるが、大切なことは、如何に投機筋に利益獲得の機会を与えないかということと、投機的資本の流入を最大限に抑えることである。
ここで強調したいのは、人民元切り上げを恐れる必要はないことである。ここ数年、韓国やタイの通貨が十数パーセントから二十数パーセント程度上昇したが、両国とも貿易の面では深刻な影響を受けていない。また、今の中国経済が少々バブル気味であるので、切り上げは国際収支の均衡を是正すること、インフレを抑制することという一石二鳥の効果を発揮することができる。つまり、今はまさしく切り上げるべき時なのである。
NHK特番「中国激流」より
(私のコメント)
日曜日のNHKの特番で「中国激流」をやっていましたが、中国は改革開放政策の曲がり角にきているように見える。現在のような外資導入を続けていけば中国は21世紀の経済的植民地になってしまうということだ。欧米や日本の企業資本は、グローバル経済に乗ってアジアや中国の人件費の安いところで生産して豊かな欧米や日本にその製品を売っている。
中国における労働賃金は奴隷的低賃金であり、世界一の貿易黒字大国が世界最低の低賃金で働いてきたのだ。しかし中国においても労働者不足で賃金上昇が目立つようになりました。しかし超低賃金から超が取れただけの低賃金であり、元安である事から世界から工場を移転させてグローバル企業の生産拠点に成っている。
これは日本の高度成長期を思わせますが、日本は外国から技術を買って自主開発で松下やソニーといった独自ブランドを育ててきましたが、中国の場合は技術も資本も外資に頼ったままの経済発展なのだ。だから中国独自のブランド商品は出来ておらず、中国は世界の下請工場なのだ。
中国の元についても現在のような水準で止めていて良いのだろうか? 余氏の記事にもあるように1981年までは1ドル=2元だった。それが現在では1ドル=8元前後である。元は四分の一にまで切り下げられて世界にデフレをばら撒いてきたのだ。まさに奴隷的低賃金で中国人は外国資本に働かされているのだ。
それに対して日本は1ドル=360円から1ドル=79円まで4倍以上も値上がりしたが国際収支は黒字を続けている。日本企業は最初は欧米の技術を買って導入したが、中国のような合弁で技術も資本も一緒に取り入れることはしなかった。合弁ではいずれ技術も資本もある外国資本に主導権を奪われるのは分かりきった事だ。
中国の元がなかなか切り上げられないのは独自の技術開発力が無いからであり、宇宙ロケットにしてもロシアのソユーズのコピーに過ぎない。中国が世界の工場と呼ばれる割には軍事の兵器は相変わらずロシアから購入している。軍事の兵器こそ国産化しなければ意味の無い事なのですが、金を出さないとライセンス生産はさせてもらえない。
中国がなかなか独自ブランドで世界に輸出できないのは外国資本に技術も資本も頼りきっているからだ。「中国激流」でもその軋轢が表面化しているのですが、食品や飲料に関しても国内市場を自国資本で支配するのは難しいのだろうか? いずれ中国内部から愛国主義が台頭してきて外国資本と摩擦が絶えなくなるだろう。
海外のグローバル企業から見れば中国の元は安いほうが儲かるから元安を放置している。しかし労働者から見れば奴隷的労働を強いられているのと同じだ。労働者の天国であるはずの共産主義国家の中国が労働者にとって地獄なのだ。これほどのパラドックスは無い。私は2003年の株式日記に次のように書いた。
◆なぜ人民元の引き上げが必要なのか 日本のためでなく中国自身のためである 2003 年 6 月 18 日 株式日記
http://www.asyura2.com/0306/hasan27/msg/635.html
<中国としてはこれでいいのだろうか。3000億ドルもの溜め込んだ外貨の多くがアメリカ国債に投資されている。しかし経済規模以上の外貨を溜め込み元安を維持することがベストであろうか。元をある程度高くして国内基盤整備や産業に投資したほうが一番利益になるだろう。
この事は日本についても同じ事が言える。政府日銀は円を安くするためにドル買い介入し外貨を溜め込んでいる。外貨が増えるたびに円もまた高くなる。このような馬鹿げた事をいつまで続けるのだろうか。私はドルを買うよりユーロに外貨をシフトさせることを提案している。EUと貿易するためにはEUからの輸入を増やす必要がある。その為にはユーロが必要だ。>
現在では中国は1兆4000億ドルもの外貨を抱えているが、その外貨をアメリカ国債など買わずに技術パテントなどを買うようにすればいいのではないかと思うのですが、合弁でやれば只で技術も資本も手に入ると思い込んでいるのだろう。中国はまさに盗みの天才であり、技術を金で買うという文化ではないのだ。だからこそ工作員を世界に派遣してスパイ行為を働いている。日本のように技術を金で買えば誰も文句は言わないのに盗んだ方が只だからいいと思い込んでいるのだ。
これではいつまでも自主開発は進まず外国の技術に頼ってしまう事になる。元も四分の一に切り下げれば競争力は強くなりますが中国の労働資源を安売りするのと同じ事だ。中国は紙切れに過ぎなくなるドルを1兆4000億ドルも貯め込んで喜んでいる。まるで中国人はバカであり金は使ってこそ意味があるのだ。つまり中国は守銭奴国家なのだ。