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[東京 5日 ロイター] 5日の東京市場は、ドル高、株高、債券安。経営の悪化している英住宅金融大手ノーザン・ロック(NRK.L: 株価, 企業情報, レポート)が国有化される可能性があるとの報道を受けて、日本時間の正午にかけて時間外取引で米株がプラス圏に上昇。
リスク回避の円買いが一巡するとの見方から、円が売り戻された。つれて株価はプラス圏に浮上、債券は一段安となっている。
<円買いの流れが一変>
為替市場では正午にかけて一転して円が売り戻された。民間の買い手による救済が間に合わなければ、ノーザン・ロックが2月までに国有化される可能性があると5日付の英テレグラフ紙(電子版)が報じ、材料視された。マイナス圏で推移していたGLOBEX(米時間外金融先物取引)の米株先物が反発したことで為替市場でも円買いの流れが一変した。
英ポンド/円は226円後半まで急反発。豪ドル/円も96円前半に切り返した。英ポンドは対米ドルでも上昇し、午前の安値2.05ドル半ばから後半まで買われた。ユーロ/円は午前の安値161.90円から162.85円まで、ドル/円も一時110.40円まで上昇した。
一段の信用収縮懸念の後退でリスク投資の復活という通常のパターンが意識された、という。
<株式は買い直しムード>
この流れは株式市場でも引き継がれた。ドルが110円前半のドル高/円安基調となっていることで、松下電器産業(6752.T: 株価, ニュース, レポート)などのハイテク株がしっかり。短期的に売り持ちしていた参加者の買い戻しも誘っている。
市場では「英ノーザン・ロックに関する報道は、国が本腰を入れて関与するという意味では株式の買い材料になる。ただ、日本株については、これを受けて円安に振れた為替の影響のほうが大きそうだ」(日興コーディアル証券シニアストラテジスト、河田剛氏)との声が聞かれた。
午前中は米株安と円高を嫌気し、日経平均が続落していたものの、底堅さは指摘されていた。「海外勢はトヨタ(7203.T: 株価, ニュース, レポート) などコア銘柄の一部が売り先行となっているものの、全体はリバランス中心で売り圧力は強くない。1万5400円以下では押し目買い注文も目立ち、底堅さが出ている。ヘッジファンドの決算に伴う売りが一巡したため、外部環境が多少悪くても大きく崩れない」(大手証券エクイティ部)という。
利下げ幅が焦点となる11日の米連邦公開市場委員会(FOMC)やサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)借り手救済策の発表などを控えて「先物市場でも売りを仕掛けにくくなっている」(外資系証券トレーダー)ことも大きい。
「米国での利下げとサブプライム総合対策が出る前の様子見相場となっている。この2つがセットで打ち出されれば市場には安心感が出てくるとみるので、それまでの模様眺めだ。日経平均は25日線を上回って推移しており、水準としては踏みとどまっているといえる」(カブドットコム証券、マーケットアナリストの山田勉氏)。
大和総研シニアストラテジストの成瀬順也氏は借り手救済策について「具体的に詰めていくとハードルが高く、結局、実効性の乏しいものに終わる可能性がある。しかし、その場合も市場が強く失望することはないだろう。市場にとってのポイントは、まず、財務省が取り組み姿勢をみせていることだ」と指摘。米利下げについては「一時は0.5%を期待して日米株価がリバウンドしたが、これがややはげてきた。0.25%は完全に織り込んでおり、株価の押し上げ要因が乏しくなっている。ただ、今の局面の金融政策のポイントは景気より金融市場の動向。雇用統計よりFOMCまでの市場の動きが利下げ幅を決めることになる」と話している。
<海外勢が円債の売り主導>
円債市場は午後に下げ幅を拡大させている。英ノーザン・ロック国有化報道や米サブプライムローン決策への観測から「年末にかけて懸念されている信用不安が緩和されるとの思惑」(国内金融機関)が出ている。海外勢の売りが目立っている、という。
上値追いを続けてきた相場だけに、高値警戒感は付きまとっている。安田投信投資顧問、債券運用部長の小泉治氏は「長期金利1.4%付近は、量的緩和政策時に時間軸効果が働いた時の水準。現在の景況感と金利水準との間にかい離がみられ、積極的に買い進むことは難しい」とみている。ただし、サブプライムローン問題に関連して「年末にかけては欧米を中心に資金繰りに対する不安感が台頭しやすい。ファンダメンタルズを無視した相場展開で、クリスマス前後にかけては米金利の低下につれて円金利にも低下圧力がかかりやすい」と話している。
年明け以降については「米金融機関の本決算が想定よりもいいとの判断ができれば、市場参加者の関心は次第に底堅いファンダメンタルズに向き、金利は上昇方向になるのではないか」という。
(ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者)