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(回答先: アメリカの連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)株価 200日移動平均線 【MSNマネー】 投稿者 hou 日時 2007 年 12 月 05 日 21:52:01)
http://www2s.biglobe.ne.jp/~yshr-mat/hitorigoto13.htm
WEALTH MANAGERのひとりごと 12
2004年3月
ファニーメイ・フレディマック債の持つリスクの変化
今回は日本の投信にも多く組み込まれている、フレディマック・ファニーメイの発行するMBSの持つリスクについて考えましょう。
ファニーメイ(federal National Mortgage Association)は米国の民間企業で連邦住宅抵当公社と訳されています。フレディマック(Federal Home Loan Mortgage Corporation)も同様に米国の民間企業で、こちらは連邦住宅金融抵当金庫と訳されています。どちらもGSE(Government sponsored Enterprises)と呼ばれる政府援助企業の1つでニューヨーク証券取引所に上場しています。この2つは設立された時期は異なりますが、基本的機能は同じで民間金融機関からローン債権を買い取り、証券し、市場で住宅ローン担保証券を発行する業務を行っています。これらは証券化機関である一方、発行した債券を自己勘定でも保有する機関投資家としての性格もあります。さらに証券化したMBS(Mortgage Backed Secirity)の元利金支払いの保証も行っています。日本では住宅金融公庫が最近になってこれらの証券化の手法を取り入れはじめたところです。
米国の住宅ローンの証券化の歴史的背景を簡単に説明すると、1970年代から80年代にかけて金融の自由化が進み、多くのS&L(貯蓄貸付組合)が破綻しました。これらS&Lは当時、長期の固定金利住宅ローンを多く保有していたため、金融の自由化と長期金利の上昇に耐えられず破綻していったのです。しかし、住宅ローンの市場を健全に育成することは国策であったことから、金融機関が住宅ローンを安心して推進できるよう、住宅ローンを行うことのリスクを分散させるため、証券化が推進されたのです。つまり、日本では金融機関が住宅ローンを行う場合、すべて(貸付から回収までのすべてのプロセス)において、自行のポートフォリオ内でリスクを吸収することが必要ですが、一部のリスクを証券化して販売することにより、自行のポートフォリオから住宅ローンの持つリスクを切り離すことが可能となるのです。
ところで、3月10日のニュースとして次のような記事がありましたので、引用します。
[ワシントン 9日 ロイター] スノー米財務長官は9日、米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)
ファニーメイとフレディマックはジニーメイと違い、政府の保証はない、ということを述べているのですが、このような発言は以前にもグリーンスパン議長が行っており目新しいものではありません。しかし、フレディマックの会計問題に端を発し、両社の財務内容が明らかになるにつれ、想定以上に問題があるということがわかってきました(自己資本の低さ・レバリッジの高さ・保有資産の流動性リスクなど)。両社の発行する債券はマーケットでは米国債に次ぐ信用力があり、米国内の投資家はもちろん、世界中の投資家が購入しています。日本でも、最近はやっている毎月分配型の投資信託などには多く組み入れられています。
MBSに対するリスクといえば、代表的なものは期限前償還リスクといわれるものです。これは簡単にいうと、金利低下により担保となる住宅ローンの繰上げ返済が加速し、債券の期限前償還が活発化するリスクで、投資家は償還された資金をより低い金利の債券に再投資することが必要となってしまうというものです。
いままで、この両社については「大きすぎて、つぶせない」とか「暗黙の政府保証」がついているとか言われてきました。実際に両社が破綻するということになったら、世界経済は崩壊するかもしれません。それぐらい規模の大きな会社です。したがって、この問題については米国政府は大統領選挙後、ハードランディングは行わず、何らかの自律回復的なソフトランディングを目指すことと思います。そしていずれは完全民営化することと思います。
投資家としては、両社については、いままで期限前償還リスクを中心として見てきましたが、大統領選挙後、政府は両社に対しどのような対応をとっていくのか注視しつつ、信用リスクについてもウォッチしていくことが必要かと思われます。
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