★阿修羅♪ > 国家破産53 > 724.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
[東京 29日 ロイター] オイルマネーの資金流入が注目されている。原油価格の上昇を背景に潤沢となったこれらの資金が、先行き株式市場で強力な買いセクターになるとみる関係者は多い。
さらに、中国、ロシアの株式運用がニュースになるなど、今後はオイルマネーだけではなく新興国からのホット資金の買い期待は高まる方向だ。これらが日本株を買う場合、ターゲットになるのは世界に通用する国際優良株になるとの見方が出ている。
<オイルマネー流入を確認>
これまで原油価格の上昇を背景に、オイルマネーが国内株式市場に流入しているとの観測が幾度となくあったものの、欧州系の金融機関を経由するケースなどが多いため、マーケット参加者はその実態をつかみきれていなかった。
しかし、ドバイの投資会社であるドバイ・インターナショナル・キャピタルが、同社のグループ会社がソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)に対し「多大な投資」をしたと発表。取得したソニー株式の保有比率や投資額などは明らかにしていないが「現実に投資していることが明らかになったことで、今後も中東諸国系のマネーが日本株に流入する期待を高める」(準大手証券情報担当者)という。
クレディ・スイス証券、日本株ストラテジストの市川眞一氏は「オイルマネーがどれだけ金融市場に流れているかは定かではないが、世界のマーケットの流動性を高めているのは確か。日本株にも流れるとみられる」と指摘する。
<ブランド力で選別>
こうした中、オイルマネーや新興国の資金が日本株を買い付ける場合、買いのターゲットになるのは国際優良株になるとの見方が出ている。
エース証券・専務の子幡健二氏によると「過去にオイルマネーの流入が騒がれた80年代は、トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)や松下電器産業(6752.T: 株価, ニュース, レポート)などの国際優良株が中心になった経緯があり、今回も同じようになると考えられる」という。
子幡氏は「欧米の投資家に比べると日本株なじみがないため、業績内容のほかでは、ネームバリュー、ブランド力が優先されることになる。ブルドックソース(2804.T: 株価, ニュース, レポート)を買う──などといったケースは考えにくい」と指摘する。
クレディ・スイス証券の市川氏は、オイルマネーが買う日本株に関して「中東諸国と同様に資源価格上昇で潤った商社や海運などが今年の相場で人気化した。しかし、彼らは自分たちと同じベクトルのセクターを買うとは考えにくいため、これらの銘柄はオイルマネーが買い主体となりそうな今後の相場で狙いは下がる」とコメントしていた。
<欧米中心のIR活動に課題>
他方、ソニーではIR活動の一環として、12月にドバイで開かれる投資セミナーで、業績動向について説明する。同社の広報担当者は「中東地域も重要な地域だが、特定の地域に重点を置くことはなく、欧米を中心に海外投資家向けにIR活動を行っている」と話す。
ただ、企業の海外向けのIR活動は、現時点で欧米が中心となっていることは否めない。オイルマネーのほか、中国やロシアなど新興国のマネーが株式市場で期待されている中で、企業側からは「毎年1回、米国と欧州でインフォメーションミーティングを、年4回の決算発表については電話会議形式で海外向けの説明している」(トヨタの広報担当者)「年1回、社長とIR担当役員が欧米でアナリストミーティングを開催しているが、アジアや中近東は行っていない」(松下の広報担当者)などの声が出ている。ソニーでも「IR活動で中国には行っていない」という。
ある外資系証券では、日本株調査部門のプレゼン先を欧米偏重から中近東や中国にシフトさせようとしているが、今のところ実現していない。証券業界全体では日本株のストラテジストやアナリストなどが中近東を訪問するケースが目立つ。しかし、欧米に比べて十分とは言い切れないのが現状であり、今後は中近東など新興国の投資家向けIR活動や日本株セールスを拡充することが課題になりそうだ。
(ロイター日本語ニュース 記事執筆:水野文也、編集:橋本浩)