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石油超大国ブラジルの衝撃 【国営ペトロブラスが怪物級の油田を発見!】---BusinessWeek
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投稿者 梵天 日時 2007 年 11 月 29 日 22:06:21: 5Wg35UoGiwUNk
 

【石油超大国ブラジルの衝撃】国営ペトロブラスが怪物級の油田を発見!---BusinessWeek

出展:http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071128/141768/?P=3


石油超大国ブラジルの衝撃
【国営ペトロブラスが怪物級の油田を発見!】
Joshua Schneyer (BusinessWeek特別特派員、リオデジャネイロ)
米国時間2007年11月19日更新 「Brazil, the New Oil Superpower」


「我が輝けるブラジルは“至高の神”の寵愛を賜った。だから我らが国営石油会社に祝福が舞い込んだのだ」

 ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領は先日のラジオ放送でそう語った。
国営石油会社ペトロブラス(PBR)が巨大油田を発見したことで、ブラジルは石油の自給自足で精いっぱいの国から輸出大国へと変貌しようとしている。


○空前の規模の深海油田

 11月8日、ペトロブラスはトゥピ油田・ガス田で確認埋蔵量50億〜80億バレルの軽質油および天然ガスを発見したと発表した。
同油田は、ブラジル南部の沖合155海里(約287キロメートル)の海底に位置し、英BGグループとポルトガルのガルプエネルジアも権益の一部を所有している。
 2000年にカザフスタンで120億バレルの油田が発見されて以来の世界最大油田であるとともに、深海油田としては空前の規模だ。

 さらに特筆すべきは、ペトロブラスが今回の発見を“ほんの序の口”と考えていることだ。今後国内で続々と“エレファント級”の油田が発見される可能性があると見ているのだ。(NBO注:エレファントとは、10億バレルを超える巨大油田を指す業界用語)

 「まずは、日量約10万バレル程度の生産を予定しているが、2020年までには100万バレルまで増やしたい。これは、米国最大のアラスカ州プルドーベイ油田を上回る規模だ」と、ペトロブラスの探鉱・生産戦略マネジャー、ウゴ・レプソルト氏は豪語する。この数字について、英コンサルティング会社ウッド・マッケンジー(本社ロンドン)の中南米エネルギー部門アナリスト、マシュー・ショー氏は「怪物級だ」と感嘆の声を上げた。

○ブラジルよ、お前もか!

 トゥピ油田の規模を前にして、ブラジル人は自国の石油資源に対する考え方を早くも変えつつある。“石油国粋主義”ともいうべきものに火がつこうとしているのだ。ベネズエラのウゴ・チャベス大統領はその先例であり、米エクソンモービル(XOM)やシェブロン(CVX)といった石油メジャーから国内の油脈や生産インフラを没収してしまった。

 実際、ペトロブラスによるトゥピ油田発見のニュースの翌日、ブラジル政府は民間石油会社の締め出しに動いた。近々入札を予定していた312探鉱区のうち、トゥピ近隣の41探鉱区を除外すると発表したのだ。

 「我が国はここ10年間、石油権益を民間会社に開放する傾向にあった。だが、新しい巨大油田については、提携の是非も含めてその方法を再検討している」とブラジル政府はコメントしている。

 監督機関であるブラジル国家石油庁(ANP)によると、議会に提出する新しい石油法案を草稿中だという。この法案により民間石油会社は、岩塩地層下の油田には関与しにくくなりそうだ。加えてルラ大統領は、トゥピ油田で原油生産が始まる2011年頃に石油輸出国機構(OPEC)に加盟すべきだと発言している。

 「こうした動きにより、政府と民間石油会社の役割についての大討論の火蓋が切られたように見えるが、政府は今後も民間会社と共に操業することを望むだろう」と、英ケンブリッジ・エネルギー・リサーチ・アソシエーツ(CERA)のディレクター、ソフィー・アルドベール氏は見ている。

○「石油ピーク説」に風穴?

 とはいえ、トゥピ油田の開発は技術的にかなりの困難が伴い、規模の割に生産コストは高めになると予想されている。ペトロブラスの国内油田での生産量は、現在日量180万バレル。トゥピ油田を見込んだ投資額は今後5年間で1120億ドルに膨れ上がるもようだ。

 そもそも原油は、海面下4.5マイル(約7242メートル)にある。到達するには、海面から7000フィート(約2100メートル)下の海底までパイプラインを張り巡らしてから、1万7000フィート(約5100メートル)もの砂、岩、分厚い岩塩層を掘り下げなければならない。

 この岩塩層は、厚さ1マイル(約1600メートル)以上に及ぶ可能性もある。10年前には、ブラジル沖合に横たわるこの岩塩層の下を探査する技術がなかったが、今ではデータ解析用スーパーコンピューターの利用により、超深海域の岩塩層の下にある何十億バレルもの新油田を3次元映像で映し出すことができる。

 地質学者は、今回の発見によって、石油会社は世界中の利用できる原油をほぼ発見し尽くしてしまったという「石油ピーク説」に風穴を開けることになったと考えている。

 ペトロブラスは以前から、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)、英BP(BP)、シェブロン、エクソンモービルと共に大手石油会社と見なされていた。深海掘削の経験も豊富だ。ブラジルの原油生産の大半は深海でのものだが、岩塩層下の原油生産は初めての試みとなる。

○「ナイジェリアとベネズエラの間に割って入る」

 「当社が開発しようとしている貴重な軽質油によって、ブラジルは確認埋蔵量順位でナイジェリアとベネズエラの間に割って入ることになる」

 先週、ペトロブラスのホセ・セルジオ・ガブリエリ総裁はそう語った。現在の原油と天然ガスの確認埋蔵量は、ブラジルの120億バレルに対し、ナイジェリアがその約3倍、ベネズエラは約7倍である。

 ペトロブラスのレプソルト氏がざっと見積もったところでは、トゥピ油田の開発では100の油井を掘削する必要があるという。そのため「500億〜1000億ドルのコストがかかる」とショー氏は見ている。最初の井戸の掘削には、2億4000万ドルのコストと2年の歳月が必要だ。

 「だが、それ以降の油井ではもっと効率化できる。コストは1カ所につき約6000万ドル、期間も半年程度だろう」とレプソルト氏は言う。ペトロブラスは、より詳細な調査と試削が必要だとして、トゥピ油田の開発費用の見通しについては言及を避けた。

 「かつてこれほどの深海で原油が生産されたことはない。ペトロブラスは、先駆者となるためにいかなる努力も惜しまないだろう。だが、原油価格が国際的に暴落すれば、かなりの打撃を受けることになるだろう」と、CERAのアルドベルト氏は言う。

○巨大プロジェクトに沸き立つ油田開発業界

 今のところ、原油価格は史上最高値目前にある。トゥピ油田発見はブラジルにとっても、米国テキサス州に集積している海底掘削装置の製造・リース会社にとっても、大変な朗報である。沖合いの分厚い岩塩層を掘り下げながら水深3万フィート(9000メートル)以上の超深海に到達するためには、こうした特殊な装置が必要になるからだ。

 現在、このような装置は世界で40基程度しかない。操業を手がけるのは、トランスオーシャン(RIG)とその合併相手グローバルサンタフェ(GSF)、ノーブル・コーポレーション(NE)、ダイアモンド・オフショア・ドリリング(DO)、プライド・インターナショナル(PDE)などのテキサス企業だ。
トゥピ油田は原油生産開始前から、大規模な海上石油プラットホーム(浮体式生産設備)の建造や管理に携わる企業に恩恵をもたらしそうだ。シンガポールの造船所やテキサスの掘削装備会社のほか、仏テクニップ(TECF)、米シュルンベルジェ(SLB、本社ヒューストン)、米ハリバートン(HAL)をはじめとする石油エンジニアリング・掘削専門企業などである。

 仮にトゥピ油田で日量約100万バレルを生産する場合、最大級の海上プラットホームが5〜6基は必要になる。1基当たりのコストは10億ドル以上。現在、ペトロブラス最大の海上プラットホームで可能な生産量は日量18万バレルにとどまっている。

 地質学者ロベルト・ファインスタイン氏は、油田探索サービス会社シュルンベルグでの地震波映像を使った探索によって今回の大規模新油田の発見に貢献した人物である。ファインスタイン氏は、「この岩塩層下での発見により、世界中で同じような掘削が相次ぐだろう」と予想する。

 実際、石油メジャーやメキシコ石油公社(PEMEX)は、メキシコ湾の岩塩層下の掘削作業を急いでいる。アンゴラ、ガボン、赤道ギニアなどの西アフリカ諸国の海底岩塩層は、「ブラジルと似ているため、各社が先を争って掘削を始めるだろう」とファインスタイン氏は言う。

○ブラジルは“石油の呪縛”とは無縁?

 海中の岩塩層は、世界3大海洋石油地帯(メキシコ湾、西アフリカ、ブラジル)のすべてにある。しかし今のところ、岩塩層下で原油を生産しているのはテキサス州とルイジアナ州のメキシコ湾岸だけだ。そこでは、BP、米シェル、エクソンモービル、シェブロン、米アナダルコ・ペトロリアム(APC)などが重要な油田を発見している。

 ここ10年、民間石油メジャーは、ブラジル海洋での石油探索に数十億ドルを投じてきた。だが、トゥピ油田に遠く及ばない小規模油田さえ発見できなかった。「国際メジャーが新油田に手を出せなくなったら、石油業界に激震が走るだろう」と、ウッド・マッケンジーのショー氏は言う。

 ベネズエラのチャベス大統領は価格強硬派として知られており、最近も「石油生産国は、原油価格を1バレル100ドル近辺で“安定させる”よう努力すべきだ」と発言した。

 ブラジルのルラ大統領は逆の姿勢を取っており、「我が国の新油田によって国際原油価格が現行水準から下がり、貧困国がもっと原油を買えるようになってもらいたい」と述べている。

 「ブラジル人が前途洋々の気分で浮かれるのも無理もない」と、米シンクタンク、インターアメリカン・ダイアローグ(本社ワシントンD.C.)のピーター・ヘイキム所長は言う。

 国内経済が多様化、工業化した末の新油田発見だけに、「ナイジェリアやベネズエラのように、石油という単一資源にすべてを依存せざるを得ないという“呪縛”がないのだ」(ヘイキム氏)。

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(私の意見)
 かなり前に阿修羅でも「ピークオイル説」が論議され「石油の無機起因説」等も飛び出しましたが、その後に新興国の石油需要の増加を理由とした投資ファンドによる石油買占め、100ドルを目前にした価格高騰など、今にして思えばあの論議は「何かの前哨戦」だったと思わざるを得ません。この報道も石油価格暴落の為の「前哨戦」かもしれませんが・・・・・

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