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皮肉になりかねない日本経団連の景気への配慮(KlugView)
2007/11/22(木)10:33
11月22日付の日本経済新聞によると、日本経団連は、2008年の春季労使交渉(春闘)で賃上げ容認を打ち出す方針を固めたようです。日本経団連は、12月半ばに公表する経営側指針において、従来どおり横並びのベースアップに否定的な立場をとるものの、企業収益に応じた賃上げを容認することで、業績が拡大する企業での賃上げを促す見込みです。
報道によると、経営側指針では、「賃上げは内需拡大に資する」ことも記され、日本経団連が企業のことだけでなく日本景気全体に配慮する姿勢も打ち出すようです。日本経団連は、今年(2007年)の春闘で、生産性の裏づけのないベースアップは企業の競争力を損ねるとし、賃上げに対して強い拒否感を示していました。それだけに、今回の日本経団連の変化は、それなりに大きなものに思えます。
日本経団連が賃上げに対する姿勢を変化させた背景の1つに、賃金の出し渋りがあります。日本の企業業績は、5期連続で増益を続けていますが、従業員への賃金は大きく増えていません。たとえば厚生労働省が発表する毎月勤労統計をみても、団塊の世代の大量退職という特殊要因もあるものの、一人当たり賃金(現金給与総額)の伸びは年1%未満で、企業が得た利益を従業員に対して十分に分配しているとはいえません。
企業が利益を溜め込み、賃金を据え置く姿勢に批判も高まっています。最近では、原油を始めとする原材料高の進展で、食料品を中心に物価の上昇が目立つ一方で、賃金が伸び悩んでいることから、消費者マインドの悪化が進んでいます。企業がこのまま賃金の出し渋りを続けていると、いずれ個人消費が停滞し、日本景気全体が悪化する可能性も考えられます。日本経団連の姿勢の変化は、こうした指摘に対応したものともいえそうです。
ただ気をつけるべき点は、日本景気が5年以上も景気を拡大させている大きな理由が、企業利益の拡大にあることです。企業が従業員への分配を大きくする(賃上げする)ことは、個人消費の拡大を促すでしょうが、企業業績(利益)の拡大がなければ、賃上げは限られた利益(パイ)の奪い合いに過ぎません。
日本経済新聞社が発表した2007年9月中間決算調査によると、中間期の連結経常利益は、前の年に比べ11.8%の増益となっていますが、通期では6.7%の増益となっており、中間決算より伸びが鈍化しています。中間決算の増益率を四半期別にみても、4−6月期は20%の増益ですが、7−9月期は4%に留まっています。つまり、日本企業の業績は、すでに伸び率を低下させており、今後もさらに伸びが鈍る可能性があります。
日本経団連の賃上げ方針は、一見、日本景気全体を配慮する姿勢のように見えるかもしれません。しかし、賃上げの前提である企業業績の拡大が止まるようでは、日本経団連の配慮は、(皮肉にも)日本景気の拡大にストップをかける行為となることに注意が必要です。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
来年(2008年)の春闘での日本経団連の方針は?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
賃上げ容認
(今年は賃上げに否定的)
http://www.gci-klug.jp/klugview/07/11/22/post_4770.php