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『米中経済同盟を知らない日本人』山崎養世ドライな中国人が、みんなで我慢して給料カットやリストラに取り組むことなどできない
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投稿者 TORA 日時 2007 年 11 月 22 日 15:48:43: GZSz.C7aK2zXo
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu156.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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『米中経済同盟を知らない日本人』 山崎養世:著 ドライな中国人が、
みんなで我慢して給料カットやリストラに取り組むことなどできません


2007年11月22日 木曜日

◆米中経済同盟を知らない日本人 山崎養世:著
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31849439

◆米中がお互いにトロイの木馬になる

経済でのチャイナ・アズ・ナンバーワンの時代はもう始まっています。中国は世界の工場です。経済同盟の相手であるアメリカはもちろん、ヨーロッパ、韓国、シンガポール、さらにはインドの企業も進出します。政治的に難しいからといって進出しなくては命取りになりますから、日本はもちろん台湾の企業も進出せざるをえません。中国経済の強さを支える根底は、低コストで人口世界一の労働力です。でも、それだけではありません。

南北に長い海岸線に面して工業地帯ができ、船で世界中から原材料を運び、作った製品を輸出できるから強いのです。南は香港、深洲、広州、中央の上海から北京と港町・天津、そして東北の大連や藩陽までが巨大な産業地域になっています。

さらに、世界に例が無いのが、大河.揚子江に沿った東西の地域です。内陸の重慶から河口の中国最大の経済都市・上海まで東西に2000キロの流域が、揚子江という大河に面して100万都市が連なる産業地帯に変身しています。日本の京浜工業地帯やアメリカのニューヨーク港や五大湖地方とはまるでスケールが違います。

中国は、東西南北を結ぶ鉄道、高速道路、船、飛行機の交通網を整備し、沿岸の都市の開発を進めています。東西南北の十字路に位置し、世界に開かれているのが上海ですから、今後ますます重要になるでしょう。

沿海部の生活はどんどん先進国型に近づいています。パスタや寿司も食べ、スーパーやコンビニで買い物をし、ファツションに気を使い、冷暖房のあるマンションや一戸建てに住み、テレビやパソコンを見て、携帯電話で話し、週末はドライブに行き、海外旅行を夢見る。銀行に預金し、生命保険に入り、マンションや株に投資もします。ローンも借ります。

こうして、沿海部は世界中の企業が競争する巨大な消費市場になりました。そして、中国の国内企業も伸びてきます。石油、通信、銀行、保険などの統制色の強い産業でも、家電、自動車、不動産、小売といった競争の激しい分野でも、株を上場した国営企業やたたき上げの民間企業の中に大きく成長する会社が出てきました。そして、まだ少数ですが、ITの分野において、フアウェイのような、世界市場への挑戦をする会社も現れました。

そうなると今後は、外資系を国内企業より優先するというこれまでの方針は消え、逆に中国企業を優先するという方針に変わっていくでしょう。そうなる前に進出して中国に生産の基盤を作り、消費者に支持されてシェアを取れるかが、日本を含めた外国企業の勝負の分かれ目になるでしよう。

世界中の企業が中国でいかにもうけるかが、世界の経済成長を決める大きな要素になってきたのです。中国の成長が早すぎれば、世界の資源や環境に深刻な問題を与えることは明らかです。また、アメリカを始めとした先進国の中に深刻な格差を生んでいることも確かです。かといって、中国の成長が止まれば、世界の経済も止まります。まして、1989年の天安門事件のような事件が再び起きて、世界と中国が断絶状態になれば、世界の経済は深刻な不況になり、株式市場は暴落するでしょう。

天安門事件は、世界の経済には影響を与えませんでした。日本でもアメリカでも、株式市場はバブルの破裂まで上昇を続けました。しかし今は違います。2005年に中国で反日デモが起きただけで、日本の株は暴落しました。もし反米デモやアメリカとの貿易の停止などが起きれば、アメリカの株も暴落するでしょう。もちろん、そのときは中国経済も大打撃を受けるでしょう。中国と世界、とりわけアメリカは、もうお互いに人質をとっているような相互依存の関係にあるのです。

中国の強さの源は、外国と比べたときのコストの安さです。それを、相当の部分、決めているのが為替のからくりです。中国の人民元は、89年以来ドルに対して2分の1になりました。アメリカ人から見たら中国のコストが2分の1になったのです。その間、中国は、経済制裁を受ける国から世界一の外貨準備を持つ国に変身しています。経済学の教科書ではありえない話です。

これが、逆に1971年からの円のように、3倍や5倍になっていたら、中国のコストは今の6倍や10倍になっていたことになります。そうなれば、いま年問2000ドルといわれる中国の人件費は、1万2000ドルや2万ドルにはね上がります。アメリカとさほど変わらなくなります。

すると、中国で生産しているアメリカ企業の利益は激減します。おまけに、中国で作った製品を、何倍にも値上げせざるをえなくなります。世界で売れなくなります。アメリカ企業の利益がさらに減ります。アメリカの株式市場は暴落するでしょう。

そんなことになれば、チャイナ・アズ・ナンバーワンは消えてなくなります。中国に外貨が入ってこなくなります。中国は、石油や食料を買えなくなります。アメリカ企業の中には、中国の従業員を解雇するところも出るでしょう。失業者が増えれば、車や家は売れなくなるでしょう。不景気になります。ストライキや反米運動が起きて、さらに事態が悪化するかもしれません。中国が米国債を買うこともなくなるでしょう。米中経済同盟が成り立たなくなります。

日本は、70年代、80年代半ば、90年代半ばの3回にわたり、最大で5倍にも及んだ円高を乗り切り、輸出大国の地位を守りました。日本は、1968年以来いまも世界第2位の経済大国です。たいしたものです。

しかし、いまの中国に、1年で2倍になるような人民元の大幅高に耐える力はありません。あとで説明するように、深刻な社会不安が起きるからです。アメリカも、急激な人民元の上昇は望みません。中国に進出しているアメリカ企業の収益が大幅に減って、景気が悪くなり、国全体の雇用も減って、国民全体が困ることになるからです。もちろん、世界の金融市場を牛耳るアメリカの金融機関も困ります。

人民元が急上昇したら困るのは、米中だけではありません。中国で生産を行う日本やヨー.ロッパなど他の国の企業も、急激なコストァップで利益が激減するでしょう。急激な人民元の上昇は世界の経済に急ブレーキをかけ、株式市場の急落を招き、チャイナ・クラッシュを起こすことになります。

こうしてみれば、世界中が困る人民元の大幅上昇が起きる可能性は少ないでしょう。かといって、人民元がいまのままの水準であれば、世界の経済に歯止めがかからず、資源と環境の問題、先進国での格差の問題はひどくなります。

結局、世界の経済には、急ブレーキでなくゆるやかなプレーキが必要になります。それが、人民元のゆるやかで安定した上昇です。そんな芸当を実現するためには、中国を先進国の経済安全保障の体制に入れなくてはいけません。プラザ合意の日米独のG3で始まったG8の体制の主要メンバーにし、世界経済への責任ある行動をとらせるべきです。それはまた中国の利益につながることです。

そうなれば、米中経済同盟が勝手に行動することに対する押さえにもなるでしょう。もちろん、中国の社会も、人民元が急に2倍になるようなショックには耐えられません。かつての日本が急激な円高をはね返したような力を持っていないのです。

なぜなら、円高をはね返したのは日本企業でしたが、中国経済の主役は外国企業だからです。.人民元が大幅に上がれば、アメリカなどの外国企業は、損を減らすために教科書どおりの対応をするでしょう。コストが高くなった中国での生産と輸出をやめるか小さくして、他の国に移すだけの話です。中国に外貨が入ってこなくなり、給料や家賃も入らなくなります。外国企業が出て行ってしまえば、中国の企業だけで世界の工場の地位を守ることなどできないでしょう。

ドライな中国人が、日本式に、みんなで我慢して給料カットやリストラに取り組むことなどあまり期待できません。より高度な製品を開発したり、新技術によってコストを大幅に減らしたりすることも、ほとんどできないことでしょう。中国製品は売れなくなります。中国の経済成長はストップします。

そうなると、中国の社会そのものがおかしくなります。これまでの、共産党の独裁は続けながら経済は改革開放するという、綱渡りの国の運営が行き詰まります。再び天安門事件のような形で、反政府運動が広がるかもしれません。そのときには、中国の成長に乗っかっている世界の経済も大混乱になり、株式市場は暴落するでしょう。チャイナ・クラッシュが世界を襲うことになります。

下手をしたら、米中経済同盟が、お互いに相手を破壊するトロイの木馬になるかもしれないのです。

そんなことを、世界のほとんどの国は望まないでしょう。とくに、米中両国にとっては絶対に避けたいシナリオです。かといって、いまのあまりに安い人民元が、中国での資源のムダづかいと世界の資源価格の上昇を招き、自分たちの首を絞めていることも、両国にはわかっています。

さらに、アメリカの中産階級を没落させてアメリカ国民の不満が高まっていることも、中国で貧富の格差が広がっていることもわかっています。そんな問題の解決のためには、人民元は上げていかなくてはいけない。でもそれは、アメリカ企業が中国から出て行かない程度のゆっくりとしたスピードにして、ショックを与えないようにしよう。両国の指導者がこのことに気が付いていなければおかしいでしょう。

中国もアメリカも、そして世界経済も、着実に成長できる程度に、人民元をゆっくり上昇させる枠組みを作り出す必要が出てきました。それが、新しいプラザ合意であり、中国がG8の国になることなのです。

そうなれば、中国経済は、量から質への転換をしていかなくてはいけません。外国から見たら中国での生産コストは上がるのですから、資源やエネルギーのムダづかいは減らさなくてはいけません。外国の技術に頼らずに、より高度なものを作ることができるようにならなくてはいけません。

中国企業も、経営の管理を学び、従業員の質を高め、研究開発を進めていく必要が出てきます。人民元が上がるのは、短期的には大変なことです。しかし、長期的にみれば中国企業は、特に物づくりの分野で、実力をつけていくでしょう。

それは、日本企業にとってさらに強力なライバルが出現することを意味します。いまでさえ、中国企業の安い製品は途上国でのシェアを広げています。将来、先進国でも中国企業が低価格品から高級品へとシェアを伸ばすときに、日本企業は追い上げられます。日本も新しい世界戦略が必要になります。

そのとき、米中経済同盟も大きな曲がり角を迎えます。ケ小平が生きていたころは、中国企業よりも外国企業を優先する経済特区を各地に作りました。それをフルに利用して経済を復活させたのがアメリカでした。

しかしこれからの中国の課題は、人民元が高くなる中でも経済が成長できるように中国企業を強くすることです。これからは、逆に国内企業優先が中国政府の政策となっていくでしょう。アメリカも日本も、戦略の練り直しを迫られるようになります。

もっとも、中国がそうした経済高度化に向かうには、越えなくてはいけないハードルがいくつもあります。なかには、独力では越えられそうにないものもあります。 (P86〜P93)


(私のコメント)
米中の狭間にある日本が生き残る為には、アメリカや中国の戦略の裏まで研究し尽くして日本の戦略を考える必要がありますが、日本にはそのような戦略を考えるところも無ければ考える人もいない。90年代の日本の狼狽ぶりは思考停止状態に陥り、マスコミの記者たちは盛んにアメリカのシンクタンクにまでお伺いに行った。

しかし米中同盟による日本たたきの戦略を考えたのはアメリカのシンクタンクなのだ。その辺の事情については「通産省国売り物語」
http://1234tora.fc2web.com/kuniuri1.htm
に詳しく書かれています。もちろんそれはアメリカの国益を考えての事であり、日本に内部協力者がいて始めて出来ることだ。内部協力者とは政治家と官僚の事であり、彼ら自身はそれを自覚していないかもしれない。

米中同盟と言っても山崎氏が言っているように正式な同盟ではなく目に見えない同盟関係なのですが、日本人が米中同盟に気がついたのはつい最近のことだ。そのことを書いたのは山崎養世氏であり『米中経済同盟を知らない日本人』という本を見ればその実態が書かれている。山崎氏はゴールドマン・サックスにいた人であり、国際金融資本がどのようなことを考えているのかがある程度分かる。

今頃になって分かってきた事が悔やまれますが、アメリカがなぜ日本を敵視して中国に投資をするのかが分からなかった。日高義樹氏もクリントンが日本を二流国家に叩き落す戦略を書いていますが、90年代の日本はバブル崩壊で右往左往するばかりで政治的混乱で外資系ファンドのなすがままになってしまった。

アメリカからは執拗にグローバルスタンダードを受け入れろと言う圧力を受け規制の緩和が進んだ。規制の緩和は景気の良い時にすべき事であり景気の悪い時に進めれば弱肉強食で地方経済は切り捨てられてしまった。工場がどんどん中国に引っ越してしまって空洞化が進み、大手スーパーやコンビニが地方の商店街をシャッター通りにした。

昨日のNHKの「クローズアップ現代」では「検証金融危機10年」をやっていましたが、ゲストの大学教授が言っていたように潰さなくてもいい北拓銀行を潰し北海道は火の消えた所にしてしまった。夕張市の破綻は政府に責任がある。火の消えた地方は企業がどんどんつぶれて地方財政が破綻すればそのツケは国にやってくる。

アメリカの戦略としては、日本を借金の火の車にして97年の東南アジア諸国や韓国のようにIMFの管理下において、国際金融資本が主要産業を買い取る事でしたが、日本だけがなんとか持ち堪えた。最近ではサブプライム問題でアメリカ本国に火がつき始めている。ロックフェラーの金庫でもあるシティーバンクも大分危ないようだ。


◆シティ、日本が“国有化”!?アノ人が来日し根回しか 11月19日 ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_11/t2007111905_all.html

 米国の低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)問題で巨額損失をこうむった米シティグループ。その先行きを不安視する市場関係者が増えており、「サブプライム問題は端的にいえば、シティの巨額損失をいかに穴埋めするかということに帰結する」(在米金融機関幹部)とまで言われている。金融界では今、日本の金融機関がシティの支援に乗り出すのではとの観測も出ている。

 シティは2007年7〜9月期決算で、サブプライム関連の損失が約65億ドル(約7500億円)発生。さらに11月には、最大110億ドル(約1兆2600億円)もの追加損失が発生する見通しであることを発表、損失は合わせて2兆円規模に達する見込みだ。

 こうした状況を受けてシティの株価は急落し、10月初旬まで40ドル台後半で推移していたものが30ドル台半ば近辺まで下げている。

 「シティの株価が低迷から抜け出すには時間がかかるだろう。というのも、シティのサブプライム関連の損失は現時点で2兆円規模と見込まれているが、米国の金融関係者の間には『実際はその5〜10倍、10兆〜20兆円はあるのではないか』とみる向きもあるからだ。最終的な損失額はいくらなのか。そのあたりがクリアにならなければ、シティへの不安は払拭(ふっしょく)されないだろう」(在米金融機関幹部)

 そんななかで浮上しているのが、日本の金融機関がシティへの資本支援などに乗り出すのではないかという観測である。

 こうした観測が浮上してきた背景の1つが、ロックフェラー財閥のデビッド・ロックフェラー氏(92)が11月上旬に来日したこと。表向きは著書「ロックフェラー回顧録」(新潮社)を10月に出版したことを受けての来日とされるが、額面通りに受け取る金融関係者はいない。

 「デビッド・ロックフェラー氏は親日家として知られるが、それでも世界的な財閥の重鎮が本の出版くらいでわざわざ日本まで来たりはしない。シティはロックフェラーとつながりがあるとされている。来日の目的は、シティ支援の感触を確かめることだったのではないかとみる金融関係者は多い」(大手銀幹部)

 その支援について、先の在米金融機関幹部が次のように指摘する。

 「万が一、シティがサブプライム問題で重大なダメージを被るようなことになれば、信用崩壊から世界恐慌に発展する恐れすらある。最悪の事態を回避するため、米国側が日本にシティ支援を求めることは十分ありえる話だ」

 気の早い日本の金融界では、支援策をめぐっていろいろな観測が飛び交っている。

(私のコメント)
ロックフェラーと言えば三菱が80年代にロックフェラーセンターを買い取ってジャパンバッシングの火付け役となりましたが、実際にはビルの売買を仮装した数千億円の利益供与だった。だから今回もシティ救済という名の利益供与が行なわれるのだろう。またしてもアメリカの大銀行を日本が買い取ったと言う事でジャパンバッシングが再発する事だろう。

山崎養世氏が書いているように、アメリカ企業は中国を経済的植民地にして中国人を奴隷的低賃金で働かせてグローバル企業として利益を上げている。しかし中国が破綻すればアメリカ企業も破綻するわけで米中共倒れした時には、日本が米中を救済することが望まれる。

90年代は日本がアメリカの大攻勢に耐えましたが、10年代からは日本の反撃が始まる。中国は結局は安い商品しか作ることが出来ず、元を切り上げたら中国経済の致命傷になってしまう。日本が360円から80円までの切り上げに耐えた技術力は中国にもアメリカにも無い。結局は物作りの技術力が産業の勝敗を決める。

しかし政治家や官僚にアメリカや中国の内部協力者がいて「通産省国売り物語」が再発しかねない。80年代には日本の銀行が世界のトップ10位を独占するほどだったのに今やその面影も無い。米中同盟に挟み撃ちにされてしまったからだ。

いわば日米安保は愛の冷え切った夫婦関係であり、米中関係は愛人関係にある。やがては愛人に裏切られてアメリカは日本に援助を請うて来る事だろう。その場合は日本という正妻は迎え入れてあげるべきだろうか? アメリカもいくらドルが安くなっても製造業が復活する事はない。あるのは金融やサービス業ぐらいで農産物しか売るものが無い。

山崎養世氏が指摘しているように、アメリカにしても中国にしてもトロイの木馬を内在させている。どちらかが倒れれば共倒れになるのだ。日本はこの共倒れに巻き込まれないようにしなければならないが、そこまで考えている戦略家がいるのだろうか?



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