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【円ドル人民元】米国より打撃大きい日本 サブプライム危機で
11/18 17:09更新
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「市場が壊れている」(みずほフィナンシャルグループの前田晃伸社長)。同グループなど日本の金融機関の米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)関連損失額は日を追うごとに増えている。さらに日本の株価は米国以上に不安定だ。ニューヨークの火災がなぜ世界に広がるのか、類焼の憂き目に遭っている東京の火勢がなぜ火元より強くなるのか。
根本原因は世界の余剰資金のニューヨーク市場一極集中構造にある。
米国は基軸通貨ドルの強みを生かして世界から余剰資金を集め、ドル相場や金融市場を安定させてきた。そればかりか世界の余剰資金を全世界に再配分してきた。代表的な機関がヘッジファンドで、日本などの余剰資金を米国や新興国市場に配分してきたが、逃げ足も速い。1997年にはタイから投機資金を引き揚げてアジア通貨危機を引き起こした。危機は広がり、韓国は財閥が破綻(はたん)、インドネシアはスハルト体制が崩壊した。ロシアの金融危機はニューヨーク市場を揺るがせたこともある。
これらの災厄はサブプライム危機に比べると、取るに足りないかもしれない。何しろ、米国が集め、再配分する資金の規模は10年前とは比べ物にならないほど膨張している。
米国が必要とする外部資金は貿易など経常収支赤字の穴埋めだけではない。外に向かって投資する資金はもっと大きい。これらの外部資本必要合計額の国内総生産(GDP)比は95年に6%を突破、アジア通貨危機後には急上昇し、2000年には約10%、04年13%台、06年14%台、そして07年前半は実に19%近くまで跳ね上がった。
外のマネーをひきつけてきた主役が住宅ブームであり、その波に乗ってきたのがサブプライムローンを証券化して組み込んだ金融商品である。つまり、米国は低所得者層や返済延滞常習者まで動員して国内ばかりでなく欧州、日本、中国の投資家や金融機関を取り込んだ。
サブプライム危機の勃発(ぼっぱつ)で金融市場が動揺し外から資本が入ってこないから、米連邦準備制度理事会(FRB)はドル札を増刷して市場に流し込む。するとドルは暴落し、米金融市場が破綻すると一般には思われがちだが、米国はそんなにやわくはない。
ドルには円など他通貨にはない強みがある。ヘッジファンドや産油国などの投資家がドル建ての証券を売ったあとの逃避先は、石油や金。いずれもドル建て市場である。これらの商品相場はドル安に伴うインフレ予想から値上がる。石油価格が急騰すると、石油消費国はますますドルを必要とする。米国に反逆するイランを除けば石油はドルでしか買えないからだ。
ドルに対する需要がある限り、いくら刷ってもドルが紙切れになるはずはないと米通貨当局は安心できる。対照的に、円高のあおりで企業収益が減るという予想から日本企業株が真っ先に売られる。新興国市場もドル安によるマイナスの影響が出始めている。石油価格高騰ショックと重なると、打撃はもっと深刻になる。
日本は中国、インド、ブラジルなど新興市場国と同じ船に乗り合わせている。新興国と協調し、ドル債を買う、つまり対米証券投資するのと引き換えに米国にドルの安定策を求めるべきだろう。(編集委員 田村秀男)
■サブプライムローン 所得が低いか、多重債務、延滞など信用力の低い消費者に住宅購入資金を貸す米国特有の高金利ローンで、借り手は担保の住宅さえ差し出せば返済義務がないところがミソ。貸付機関は住宅担保ごとサブプライムローンを証券に換えて市場で売れば焦げ付きリスクを証券の買い手に転嫁し、現金にできる。
証券化とはいわばババ抜きゲームを軸にしたギャンブル商法である。担保になる住宅価格が上昇していればサブプライム証券の買い手が殺到し、相場が急騰する。逆に下落に転じると、リスクが表面化し証券相場は急落する。買い手もつかなくなったのが現状でローン証券相場は日ごとに下がり、投資家の損失が膨らんでいる。
サブプライム証券は一般の投資信託商品のように国債など他の低リスク証券と組み合わされリスクが隠されていた。同証券が日本や欧州、中国などの金融機関や投資家に幅広く買われていた一因である。サブプライム残高は米国国内総生産(GDP)の約1割の1兆3000億ドルにも上る。
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