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http://markets.nikkei.co.jp/column/fxwatch/index.cfm
(2007/11/13)
金融市場が再び大混乱に陥っている。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連での米国金融機関の損失がさらに拡大しているということが次第に明らかになってきているために、米国株式市場が急落していることが混乱の直接的な原因となっている。金融市場が混乱してきたことで投資家がリスクを縮小する動きを活発化し、それまでのトレンドが反転しているということである。各国の株式市場が調整で下落し、為替市場ではそれまでのドルと円が安い局面の反転ということで円全面高の影響となり、ドル円は円高・ドル安となっている一方、対円以外の通貨ではドル高の展開になり、ドル相場はねじれた動きをみせている。高騰してきた金価格も昨日急落した。原油価格も98ドルの史上最高値から反落してきている。まさに投資マネーの逆流が起きているのである。
7−8月にサブプライムローン問題で市場が大混乱に陥った後、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げなどの対応を迅速に行ったため、市場にはいったん落ち着きが戻った。しかし、こうした対応は対処療法でしかなく、根本的な解決は全くなされていないため、再びこの問題に火がついてしまったのである。
そもそも、サブプライムローン関連の問題が一向に解決しないのには理由がある。サブプライム担保証券にはそれを売買する市場がほとんどないために、単純に売却することができない。7―9月の四半期決算で各金融機関は大きな損失を計上した。しかし、これはこうした証券を売却した売却損ではなく、証券を保有した状態での評価損でしかなかった。つまり損失は確定していなかったのである。その後、市場はさらに悪化し、証券の評価損も拡大していった。そのことが投資家の不安心理をあおっているのである。
当初、この問題に関しての損失は全体で10兆円程度という見方が大半であった。しかし、その後、損失は拡大し、現在では全体で 20兆円近い損失に拡大するという見方が強くなってきた。さらに今週、ある外資系のアナリストがサブプラムローン関連での損失は全体で44兆円程度にまで拡大する可能性があるというレポートを出している。時間が経過するにつれて損失が拡大していく現在の状況の中で、最終的にどの程度まで損失が拡大するのが全く不透明になってきている。そのため投資家にも不安心理が広がり、リスクを縮小しようとする動きが広がってきているのである。
この市場の混乱は、サブプライムローン問題の出口がはっきりしてくるまで断続的に続くのであろう。
今井雅人
グローバルインフォ株式会社
代表取締役社長
1985年上智大学卒業、三和銀行に入行。1987年よりディーリング部門へ。シカゴ支店で先物取引等のディーリングを経験。1993年からは東京本店の円デスクのチーフディーラー。2000年より三和銀行、UFJ銀行の為替部門の統括次長。2004年に独立。マットキャピタルマネージメントCEO、早稲田大学インド経済研究所研究員を兼任。元、外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事