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ライオンは眠れない
サミュエル・ライダー著 実業之日本社 2001年刊
2001年に発行されベストセラーになった本です。
トヨタ自動車の奥田会長が関係者に一読を勧めたとも言われています。預金封鎖ブーム(?)の草分けともなった本です。
あれから約3年たちましたが、未だに預金封鎖は実施されていません。それは、景気が幾分持ち直したからということもいえるでしょう。今後ふたたび金融不安のようなことが起これば、現実味を帯びてくると思われます。預金封鎖についての入門編としてわかりやすい内容です。 (なわ・ふみひと)
預金封鎖がやってくる!
預金封鎖は、たしかに昭和恐慌のときに起きてるね。昭和2年、片岡蔵相の「渡辺銀行が破綻した」という失言をきっかけに、つぎつぎに銀行が休業・破綻に追い込まれた。結果的には全部の銀行に3週間のモラトリアム(支払猶予)を実施して、何とか収まった。
2度目の預金封鎖は昭和21年2月16日。その日は土曜日で、夕方になってラジオで発表されたんだな。実施は月曜からだった。
正式な名称は「金融緊急措置令」。悪性インフレを抑え、取り付け騒ぎによる銀行の倒産を防ぐために発令されたんだが、国民はまさに寝耳に水だった。とにかく、銀行や郵便局に預けてある自分のお金が突然引き出せなくなったのだからね。
同時に新円切り換えも実施された。このときの交換比率は1対1だったからデノミではないが、2週間ほどの間に新しい札に切り換えないと失効となるので、みんな慌てて金融機関に走った。ところが、新円で払い戻してくれたのは1人100円だけ。残りは強制預金させられたんだ。
そのときに国民の資産調査が行なわれ、10万円を超える資産に対しては25パーセントから最高90パーセントの「財産税」がかけられた。資産家たちはこれで完全にぺしゃんこになったそうだね。もともと国としては、ヤミ行為で儲けたヤミ成金のカネを没収するのが狙いだったからね。
このほか、郵便貯金をしていた人もひどい目にあった。10年間の払い戻し拒否がなされたんだが、実際に10年たったら、利息どころか、物価はなんと300倍にも跳ね上がっていたからね。
そういうことは日本だけじゃなくて外国にもあったことなの?
もちろん、財産税は、国家が苦しくなるとしばしば用いられている。たとえば第一次世界大戦後にドイツやイタリアで行なわれてるね。デノミや預金封鎖なんかは、それほど珍しいことじゃない。フランス、ソ連、フィンランドなんかが40年ほど前にデノミをやったし、ほんの数年前にもインドネシアが預金封鎖を、そしてロシアが1000分の1のデノミとルーブルの切り下げをやっているんだ。
日本の破産を救う道、Xデーはいつか?
でも、日本は本当にそれをやらなくてはならないところまできてるの? それって最後の手段なんでしょ?
そこまできているんです。日本という国は債務超過で破産の一歩手前。いや、もうとっくに破産していてもおかしくない状態なんです。
平成12年度の国の税収は52兆円ほどありました。ところが、地方も含めた国の借金はいくらあると思います? なんと666兆円です!
しかも、このほかに政府が保証した特殊法人の借金が250兆円ほどあるんです。これを足すと916兆円にもなる。これは税収の17.6倍ですよ! これで返済が可能だと思いますか? 利息を2パーセントとしても、毎年18兆3千億円払わなくてはならない。元本返済どころか、利払いだってままならないはずです。
国は当然苦しいから、どんどん国債を発行して、利払いに当てている。でも、それってサラ金からお金を借りて他のサラ金に利息を払うようなもので、タコが自分の足を食ってるようなもんです。借金は雪だるま式に増えていきます。破産するのは目に見えてますよ。
へえー、知らなかった。ショック!
もっとショックなことを言いましょう。国民が持っているお金、1400兆円は、すでにかなりの比率で不良債権化してるんですよ。政府だから安全だと思って預けた郵貯・簡保・公的年金の積立金などが、財政投融資という形でムダな公共事業に費やされ、そこで焦げついてしまってるんです。不良債権になって、かなりの部分が回収不能という状態。いつ騒ぎになってもおかしくないんですが、これを政府がどう処理するかがこれからの大問題なんです。
国に解決する力はないんでしょうか?
ほとんど無理だろうね。債務超過なんだから。
日本という国が債務超過に陥っているという事実は、じつは新聞でも確認できるんだ。これは国自体が平成12年に認めた。政府はなぜか「国の貸借対照表」を突然発表したんだ。そして、債務超過を初めて認めたんだね。
それによれば、将来に支払うべき年金給付額を負債と見ると、債務超過は776兆円にのぼる。しかし、地方自治体や特殊法人の負債はこのなかに含まれていないから、実際にはそれ以上の数字となるわけだ。これを念頭において、日本国がほぼ破産状態にあることを、財務省のトップが認めたのだ。
平成13年3月8日。場所は衆院予算委員会。当時の財務大臣だった宮沢喜一氏が、ポロッとホンネをしゃべった。「わが国の財政は、いま破局に近い状況‥‥」と、やってしまったんだね。これは極めて衝撃的な発言で、さっそく海外の有力紙は、朝刊の1面トップで宮沢発言を大きく取り上げた。
ところが、奇妙なことに日本の新聞は大した反応をしなかった。たとえば、朝日新聞が翌日の朝刊に「財政は破局、財務相発言にドキリ、官房長官火消しに躍起」という小さなコラムを載せたくらいでね。むしろ重要すぎて取り上げづらかったのかもしれませんね。国民の不安を煽るということで。
政府はできるだけ認めずにいたいだろうね。そうやって延ばし延ばしにしてきたのがこれまでだ。ところが、ここにきて風向きが変わってきた。財政危機が誰の目にも明らかになって、もはや隠しておくことができなくなった。
このままいったら大問題になる。とくに、郵貯のお金を財投で費消してしまったことは、大問題に発展しかねないと、政府関係者も焦りだしたんだね。
そこでまず無駄遣いの元凶である公共事業や道路特定財源、特殊法人の廃止と見直しをはかって、出るお金を少なくしようとしているのが今回の構造改革だ。国債の発行も断じて抑える。そして、なんとか民営化して国民のお金を守ろう、というのが小泉首相の考えなんじゃないかな。その姿勢はぜひ貫いてもらいたい。
問題は、それが間に合わないんじゃないかということなんですよ。ものすごい不景気になって、失業者があふれ、銀行もつぶれて大恐慌の一歩手前みたいになる。そこでやむなく最後の手段、国民の財産を没収する預金封鎖に踏み切るってわけでは‥‥?
このままいけば日本国債の暴落は必至でしょうね。その後はデフレから一転して超インフレに‥‥。
日本はアメリカの国債を買いすぎました。そのへんで致命的なことが起こるような気がします。
米国の株もそうだが、僕は石油と金の動向を注視している。
そこらもポイントですね。兆候としてはつかみやすい。
いつ大波がくるかな?
さあ、それはわかりませんが、いずれ必ずきますね。
預金封鎖も起こる?
私は起こると見てます。いつかはわからないが近いうちに。
http://www.h2.dion.ne.jp/~apo.2012/bookstand-lion.html
トラ・トラ・ライオン!(サミュエル・ライダー 著) 【晴読雨読】
2005年09月18日
2004年、20年ぶりに日本の紙幣が新しくなる。
いよいよ、日本政府の「X計画」が現実のものとなるのだ。
長く続く不況を抜け出し、景気回復の特効薬となる政策は、
・都市計画区域の見直しによる、住宅建設の促進
・第1次産業の復活による、食料自給率のアップ
・借金にはならない、政府紙幣の大量発行
そして、極めつけはデノミと新札発行による財産税の徴収だという。
ベストセラー「ライオンは眠れない」の著者が論じる、
危機的状況にある日本経済を立て直すための秘策。
日本経済のデフレの現状を説明し、この危機的状況を乗り切るための
秘策についてあれこれ提案をしています。
全編のほとんどが会話形式で書かれていて読みやすく、
現在の日本が抱える諸問題を理解するにはお手ごろな本だと思います。
新札発行と同時に政府はデノミ、財産税課税に踏み切るという
著者の予想ははずれましたが、今後起こらないとも言い切れません。
自分の財産は自己責任で守るという時代がやってくるのでしょう。
著者の提言する秘策は極論だという気もしますが、
こういった問題提起をしてくれる本がたくさんあるのはいいことですね。
そういう本の中から情報を取捨選択して判断し、
自分の資産を守るというのが自己責任の本当の意味なのでしょうから。
この記事へのコメント
1. Posted by ssn 2006年09月08日 15:36
新札というのは実は電子マネーのこと。
サミュエルライダーは、農業経済出身で、
計量経済学に明るく、東南アジアにも土地勘の
ある日本人(経企庁出身のエコノミスト)。
原田泰著『デフレはなぜ怖いか』も読んでみなされ。
2. Posted by mask 2006年09月09日 02:58
ssnさん
コメントありがとうございました。
サミュエル・ライダーが日本人だなんて全然知りませんでした。
「デフレはなぜ怖いか」ですか。
面白そう。探してみようと思います。
3. Posted by ssn 2007年01月10日 20:29
ハドソン研究所、『超大国日本は完全復活する』、徳間書店
と比較読書してみると面白いですよ。
http://mask.livedoor.biz/archives/50089953.html